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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第19話 魔法獣の謎


早朝。


広縁ひろえんの障子と窓を開けると、湿った空気が肌に触れた。くもり空のせいか、まだ薄暗い。



庭を見る。


落ち葉一つ見当たらない、見事に手入れされた庭だ。園路に配置された飛石の周囲には白砕石はくさいせきが敷かれており、明るい印象になっている。

ひょうたん型の小さな池には、残念ながら何も住んでいない。



犬柘植いぬつげという木の下に、丸い穴が空いた木箱が置いてある。寝室からはちょっと死角になっていて、知らなければまず気づかない。



「エル、ビット。いつもありがとうね」



そこに、気まぐれ屋の二人の妖精の魔法獣……エルとビット二人の寝床がある。


呼んでもあまり来ないのに、たまにこの中に勝手にいたりする。

前に会ったのはいつだったか。



魔法獣は、術者の魔力で作られた生物のことで、術者の能力を使うことができる……いわば、動物型の分身みたいなものだ。

自分で戦いたくないときや、手数がほしいときに召喚することが多い。



この二人は、俺が寝ている間に庭の手入れをしてくれているらしい。

魔法獣がそんなことをするなんて、本来ありえないはずだ。

というのも、魔法獣は、普通は術者が起きているときしか活動できないから。


じゃあなんで?と疑問に思ってはいるが、理由はわからないし、調べる手がかりもない。


俺が属性魔法の使い手じゃないからできるのかもな。


そう自分に言い聞かせて納得することにした。



魔導士の法には、魔法で生物を生み出すことを禁止していない。そのことについて、霜月先生はこんなことを言っていた。



「どれだけ正確に作っても、所詮は魔法でできているんだよ。だから、本物にはならない」



ワタツミ街を襲った巨大うなぎは、魔法獣ではなく、本物のうなぎだったな。生命をいたずらに弄ぶのは犯罪だ。


ついでに霜月先生曰く……



「それと……魔法獣は、術者の感情に影響されるから、まれに喋ったりする個体も出てくるんだよね」



ソラが話せるのもそういうことだろう。


……まあ、今では喋るのが当たり前すぎて、忘れそうになるけど。


あの子がいてくれて、どれだけ助かっているか。


お嬢ちゃんは初めてソラに会ったとき、なぜ喋れるのか驚いていたけど、今までそういう個体を見たことがなかったのかもしれないな。



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