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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第17話 家族の紹介


部屋に入ると、色とりどりの生地が目に飛び込み、一気に華やいだ空間に包まれる。

手機てばたが二台並び、座卓の上には帯の布地がたとう紙に包まれて、丁寧に重ねられている。

棚には艶やかな布が整然と並び、どれも目を引く豪華な装飾が施されていた。



その作業場の座卓の近くの座布団に、一人の女性が座っている。

やわらかな白髪が光を帯びるようで、年齢よりも若々しく見えた。その穏やかな笑顔は、顔を見るたびに安心感を与えてくれる。


新調したのか、今日は黄土色の着物を身につけている。帯は、和紙をちぎって貼り合わせたような模様で、ところどころに菊や松竹梅が描かれているきらびやかなものだ。


その人物――梅ちゃんは、俺の後ろに立つ少女を見て、とてもうれしそうに微笑んだ。



「おかえり、ユウナ。その子が、電話で言ってた子かね」


「うん。高校のときの先生の娘さん。一年間預かることになったんだ」



俺の後ろにいたお嬢ちゃんの顔が見えるよう、隣に移動する。



「お嬢ちゃん、こちらは呉服店の店主をしてる、たちばな梅ちゃん」


「霜月優香です。よろしくお願いします」



少し緊張した面持ちで、けれどはっきりとした声で名乗った。かわいい子だねぇ、なんて言って微笑む梅ちゃんに、彼女は照れたように俯いていた。



「それで、さっき電話で頼んでいたやつ出してほしいんだけど」と伝えると、ちょうどいいときにねえさまが着物を持ってやってきた。



「あ、いらっしゃーい。二人とも。あれ、ソラは?」



「留守番するって」と伝えると、少し寂しげな表情をして相槌を打った。



「この人は寒蝉ひぐらし柑奈かんな。……まあ、一応俺の姉貴ね」



「一応ってなによ」と文句を言われつつ、二人で自己紹介し合っていた。


それにしても、会う度にねえさまの髪が短くなるな。


少年のような活き活きした雰囲気のあるサラサラな髪が特徴的で、髪の色は光悦茶こうえつちゃという落ち着きのある茶色に染められている。

活発で、親しみやすい人なので、友人がとても多い。俺と違って。



「それじゃ、好きなのあったら選んでね」



明日買い物に行くときは、とりあえずこれで済ませてもらおう。

洋装がよかったとか言われたらどうしようと思ったけど、彼女の興味津々な様子を見て、それは杞憂だったと確信した。



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