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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第14話 魔法の蝋燭


……高校入学前なのに、それだけ魔法が使えるなら、叔父の家だけ吹き飛ばしてしまえばよかったのに。もちろん、冗談だけど。


出してもらった火の玉は消してもらい、次の実験をしてもらう。



「じゃあ、次は……蝋燭ろうそく、作ってみてくれる?」


「……蝋燭、ですか?」



突然の提案に困惑しているが、とりあえずやってもらおう。


目を閉じて、今までやろうとしたこともなかったであろう、魔法での蝋燭作りに唸っている。


懸命にやろうとするところが健気だ。


お嬢ちゃんが右手で拳を作り、それをぱっと開く。すると、箸くらいの長さをした棒状の炎ができあがった。

芯のようなものまであるそれは、透明な筒の中で揺らめく火のように、形を保ち続けていた。

まるで心臓の鼓動のように、小さく規則的に揺れる。熱はやわらかく、でも確かにそこにあった。



「へえ、こんなのになるんだねえ。形は蝋燭なのに」


「属性から逸脱したものは作れないのか? 形は蝋燭だけど……」


「二人とも悲しくなること言わないでください……」



しゅんと落ち込んだお嬢ちゃんをなだめ、俺の作った物と比較するために、ろうそく型の炎を維持してもらうことにした。



次はこちらの番だ。



目を瞑る。

芯の周りを、ぐるぐると蝋が巻きついていく姿を想像する。


俺の魔法は、想像した形をそのまま再現してくれる。便利だけど、どこか味気ない。


指を振ると糸が現れ、液状の蝋が螺旋状にそれを包み込み、パキパキと小気味よい音を立てながら徐々に固まっていった。

これはただの、火のついていない蝋燭なので素手で触ろうが問題ない。


相変わらず彼女は、驚きの表情を浮かべていた。



「じゃあ、火つけてみるね」



火のつく瞬間を空想する。

熱を加えた可燃物から発生した気体が、酸素と結びつき、火が生まれる瞬間の様子を考える。可燃物から煙が立ち、ふっと火が宿るような感じで……手に持っている蝋燭の芯を指で触り、魔法を発動させた。


ぼんっと小爆発が起きる。


芯の部分に、火のような見た目をしたものが現れた。


ただ、息を吹きかけても消えず、揺らぐこともなく、煙も出ない。

触れば熱いが、蝋がその熱で溶けることはなかった。



「……やっぱりだめか」


「前やったときよりふっくらしてるね」



ソラは足元で、興味津々に首を伸ばしている。


お嬢ちゃんの作ったものと比べるまでもない。

属性魔法の火は、生きているみたいに揺れている。

俺のは……ただの模倣品だ。作れても、本物には届かない。


一応……この偽物の火、熱が発生しているから明かりにはなってくれる。まあ、あまり使うことはないが。


これが、属性魔導士と俺の違いだ。



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