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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第13話 魔法の違い


――昆布の出汁がよく出ている。

口に含むと、じわっと舌に染みて、思わずため息が出た。


はあ。おいしい。


ソラも床で静かにごはんを食べていた。


正面に座り、美しい所作で食事していたお嬢ちゃんが、何かを思いついたような表情で、箸を置いて話し始めた。



「利他さんは共通認識されている物体を作る能力を持っていて、ほかの人は現象を魔法で表現する能力を持ってるってことですかね?」



へえ、そんな風に考えたことなかったな。

なるほど、共通認識ね……。



「実は、俺もよくわかってないんだよね。物体を作れるから、土属性の応用かなって思ったこともあるけど……違ったみたいだし」



彼らは魔法で作ったものを、自分の無意識下で半永久的に持続させることはできないと聞いた。

つまり、土属性魔導士が家を魔法で建てた場合(実際にはそれも無理と言われた)、魔力の供給を止めたり、眠ったりすると家が消えてなくなるということだ。


今住んでいるこの家は、俺が魔法で建ててから二年は経っている。だから土属性魔法に該当しない。


一応、魔法の本とか読み漁ったこともあるけど、同じ魔法を使える者がいなかった。


だから、魔導士として参考にできる人物がおらず、勉強しようにも自分で模索するしかない。そこは属性魔法と比べるとかなり不便だなと思う。


ごはんを食べ終えたソラが、机の下から顔を覗かせる。



「ユウナはね、作れないものはないの。今度村に海作ってくれるんだよ」


「えっ! 海!? すごいねえ」



それはさすがに無理だな。


会話に混ざりたい白猫が、膝に飛び乗ってきた。

まだ食べ終わってないからだめ。


ソラを優しく床に下ろすと、「あーん」と意味わからん苦情を言われてしまった。



「食べ終わったら、属性魔法と何が違うのか……ちょっと比較してみようか」




***




食事と片付けを終えた現在、お嬢ちゃんに貸す予定の部屋にいる。畳の部屋には今、端の方にぺちゃんこの鞄が置いてあるだけだ。

ソラは二人の間に立ち、監督の如く行末を見守っている。


「さて」と、手のひらを一度叩いて、乾いた音を出す。



「属性は?」


「火です」



……火属性?



「じゃあ、火の玉出してみてくれる?」



ゆっくりと腕を伸ばした彼女の手のひらに、ぽっ、と灯る小さな火の玉。


――金色じゃない。

あの日の火よりも、ずっと儚げで、息を吹きかければ消えてしまいそうな、温かい光だった。


……二年前の火災の火とは、やっぱり違う。

ただ……魔法の雰囲気はなんとなく似ているような?


そもそも、あの日別の場所にいたお嬢ちゃんを放火犯扱いするなんて、おかしな話だ。


あらぬ考えを頭の隅に蹴り飛ばす。


ぼーっと火を出させっぱなしにしているのは悪い気がしてきた。



「うん、安定してるね。じゃあ、大きさとか形も変えられる?」



揺らめく火の玉の大きさや形も変えられるのかどうかも確認しておいた。



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