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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第12話 無属性の魔導士


魔法の力で椅子を一つ作り上げる。

空中に浮いた木片が軽やかな音を立てて組み合わさり、次第に椅子の形を成していく。


木材が組み上がる様子に、お嬢ちゃんは目を輝かせていた。


誰かに感動してもらえるのは久しぶりだ。

もともと一人分しか用意してなかったし、台所に人を呼ぶ予定なんてなかったからな。


お嬢ちゃんは「わあ……」と感嘆の声を漏らしながら、組み上がった椅子を見つめている。驚きと喜びが目に宿り、その表情からは感動が伝わってくる。


昨日会ったときもそうだったけど、魔法を初めて見ますっていうくらい反応を示している気がする。

一応魔力を持っているのに、この驚きっぷりはなんなんだろう。



「えっと……どうかしたの? すごい見てるけど」


「あ……すみません。利他さんの魔法、おもしろいなって思って……」


「そうかな?」



「その……ほかの人の魔法は、いわゆる属性魔法と呼ばれるものじゃないですか。でも利他さんの使う魔法は性質が違うというか、なんというか……」



うーんと首を傾け、悩む表情を浮かべているお嬢ちゃん。

どうやら彼女には、思案するときに首を横に傾ける癖があるようだ。


まあ、この子が疑問に思うのも無理はない。

実際、俺が使う魔法と一般の魔導士が使う力は全くの別物。自分ですら能力の正体がわからないのだから。



「世の中の魔法ってさ、火とか水とか、属性があるでしょう? で、俺のはどれにも当てはまらない。まあ、いわゆる“無属性”ってやつだね」


「じゃあ、魔法獣の召喚とか結界と同じですか?」



「それとも違うんだよね……まあ、それなりに便利ではあるかな。椅子とか、食器とか、ちょっとした物を作るのには困らないし」


「そうなんですね。属性にこだわる必要ありませんし、利他さんの役に立つのならいい能力だと思います」


「そう言ってくれるとうれしいね」



……昔は結構きつかった。


発動と展開が遅いから、対人戦は負けまくりで。

魔導士向いてないんじゃない?とか散々言われて。


まあ、そのうち諦めて、いかに便利に使えるかばっかり考えるようになったけど。



俺の魔法は、まず工程を想像してから物を生み出す仕組み。だから、手を振るだけで発動できる属性魔導士とは展開速度に差がある。

正直、対人戦には向いてない。


もう個人営業なんだから、そんな泣き言は許されないが。


さて、この力を彼女にどう説明すればいいのやら。

まあ、わからないままでも案外なんとかなるのかもしれないけど。



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