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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
3章 面倒事

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第3話 大慌ての再会


『そうそう。優香さんだけど……昼前に畠山さんの所寄ってから、そっちに向かうそうだよ。一応引き止めたんだけどね……』


「それは先に言ってほしかったです!」



畠山家にはすでに退居の話はいっているそうだけど、何かされたらどうするんだ、まったく!


俺の反応がツボに入ったらしく、電話の奥で笑いを堪えきれない先生を無視して、俺は受話器を雑に置いた。



廊下を駆け抜け、草履に足を突っ込みながら和傘を引っこ抜く。その拍子に傘立て兼掃除用具入れが倒れたが、無視した。

引き戸を開けた瞬間、突風が吹き抜け、木戸がガタガタとうるさく鳴る。


構わず和傘を握り、魔法を使って空へ飛び出した――。




***




風を切り裂くように疾走し、ワタツミ街の住宅地に滑り込む。

着地と同時に足が地面にめりこみ、火花が散った。勢いよく着地したせいで、草履の底が削れて薄くなってしまった。



ここは、ワタツミ街の住宅地の一角。

狭い道路にぎっしりと並ぶ住宅は、造りが統一されていて、初見で訪ねようとする者を混乱させる効果は絶大だ。


昨日、連絡先を聞いたときに住所も控えておいてよかった。

本当にギリギリ間に合った。


目の前に立っていたお嬢ちゃんは『畠山』の表札が掲げられた家の前に立ち、呼び鈴に手をかけている。

彼女は制服姿ではなく、ワタツミ支部の人からもらったのか、ずいぶん古びた着物を着ていた。


なんでここにいるんだと言いたげな表情を浮かべ、不審者を見るような眼差しを向けられる。

突然、空から着物姿の男が滑り込んできたら驚くに決まっているが、まあ気にしたら負けだ。



「……おはよう」


「え、あ……えーっと。おはようございます……」



困惑し、その姿のまま立ち尽くすお嬢ちゃんに近づく。


夕方うちに来るって言っていたから、もうこの時間には畠山家を訪ねると踏んで大慌てで飛んできた甲斐がある。


まったく。


この家の人間にひどい目に遭わされているのに、それでもここを訪ねるなんて。

優しすぎる、この子。


……このまま黙って見ているわけにはいかない。何かあったら対処しないとな。



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