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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
2章 家出少女

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第22話 膝の上の猫


煙の根元から少し離れたところで降りる。


銀三じいさまはどこだろう。



「あれ……今日、お祭りだったんですか?」


「……あー、たぶん“本日限定 春のうなぎ祭り”ってやつだよ」



この子、巨大うなぎの騒動を知らないのか?

それだけ長く倒れていたのか……。


いや、待て、体温はあまり低くなかったよな?

そんなに長く寒空の下にいたのに、なんで無事なんだ?


……わからん。もういいや、後回しで。



手を引き、まぶしいほど騒がしい場所へ連れて行った。


船置場には七輪が並び、網の上ではうなぎが香ばしく焼かれていた。

漁師が手際よくうなぎをさばき、子どもたちは元気に配膳を手伝っている。


街が壊されたことなんて忘れたかのように、笑い声が響いていた。


朝日の光が差し込む中、風は潮の香りを運び、船置場全体が活気に包まれている。



「ユウナちゃん! こっちこっち!」



声高にばあさまの声が聞こえてきたのでそちらに向かうと、網の前に立つ銀三じいさまとおひつを持った三枝ばあさまが立っていた。


やった。

あれたぶん、ひつまぶしだ。



「あら、その子……」


「近くにいたから連れてきた。この子の分もいい?」


「もちろん。じゃあちょっと待っててね」



朝ごはんの用意してもらっている間に、少し話を聞いておこうかな。


近くに用意された机はほぼ埋まっているようなので、仕方なく、片手を軽く振って魔法を発動し、机と椅子を作り出す。

木の表面にはかすかに魔力の痕が揺らめいていた。



「わぁ……魔法って、こんなのも作れちゃうんですね」



小さい子どもみたいに目を輝かせて、彼女は目を逸らすことなく見つめていた。



「まあ、ちょっとした物とかならね……」



……そんなに見られると緊張する。


内心では、もし歪んでいたらどうしようとか、倒れたらどうしようとか、とにかく不安でならなかった。


……ソラ、なぜお嬢ちゃんの膝の上に座っているんだ。こっちは膝が寂しいんだが……いや、別にいじけてなんかいない。



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