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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
2章 家出少女

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第20話 火事の重要参考人


「火事……なるほどね。親戚の名前と住所教えてくれたら、電報局行ってくるけど」


「……叔父は畠山秋彦といいます」



「ちなみに君の名前は?」



「霜月優香です」



――まさか。


背筋がひやりと冷たくなり、鳥肌が立った。

唾を飲み込みながら、動揺を悟られないように拳を強く握りしめた。



「霜月清輝の娘か?」



彼女は黙って首を縦に振った。


霜月先生の娘……似ていないから初見ではわからなかった。強いて言うなら、髪色が先生と一緒なだけで。


この子は、二年前の火事の重要参考人ではないか?


あのあと、金色の炎を組合に渡したが、調査結果は聞いていない。

もしかしたら届けている最中に、瓶の中で消えてしまったのかもしれないと考えたが、それならそうと連絡が来るはずだ。


火事のことは新聞に少し載ったきり、詳しい話は聞いていない。


あの日、何があったんだ?

先生は無事なのか?


……そもそもなぜ早朝に、春休み中であるはずの学生が制服を着て倒れていたんだ。


ああ、もう……わけがわからないな。


俺が関わっていいのかって気もするし……。でも、放っておけるはずもない。正直、ちょっと疲れる。



窓が風にあおられ、がたがたと不気味な音を立てる。病室には、張り詰めた空気のように沈黙が流れていた。



「大変だったんだねえ」



寝台に座っていたソラはのんびりとした様子で、ゆっくりと尾を振っている。そんな、たった一言で、強ばった肩の力が解放されたような気がした。


こんな少女に、自分はなに緊張しているんだろう。


落ち着けるために深くため息をつく。


今優先するべきことは、火災について質問を投げかけることではなく、畠山さんに連絡することだ。

この街に住んでいる人なら、避難先にいるかもしれないが、一応電報を入れておこう。

ワタツミ街の電報局どこか知らないけど。



「じゃあ……」と、病室を出ようと思っていたとき、彼女の大きな目がさらに開かれ、驚いた表情でソラを見つめているのが視界に入った。


何か、気に触るようなことでもあったか?

まさかの人形とでも思っていた、とか?


ごくりと唾を飲む。



「……あの、なんで……その猫ちゃん、喋ってるんですか……?」




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