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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
2章 家出少女

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第18話 学生の苦難


あれほどの騒ぎがあったにもかかわらず、病院に看護師さんがいてくれたことに感謝の気持ちが湧き上がる。



少女を押しつけて帰ろうとしたのが悪かったのか、看護師さんにじろりと睨まれてしまった。


……仕方ない。彼女が目を覚ますまで待とう。


待合室に置かれている本が子どものいたずらなのか、逆さまに並べられている。暇つぶしに本を整頓し始めた。

本の向きを元に戻し、乱れた本棚を綺麗に並べていく。


その作業に没頭していると、睨んできた看護師さんがこちらに近づいてきた。


少女が倒れていたのは、脳の血流が低下して、気絶していたせいらしい。


脳の血流が低下……大丈夫か、それ?



「それ……重篤では……?」


「いえ。ストレスや脱水症状で起こったりする人もいるんですよ」



軽いものだったようで、すぐに退院できるとのこと。

これが起こった原因は本人に聞かなければわからないが、看護師さんが「もしかしたら、試験のストレスですかねえ」と、まるでこの時期よくあることの様な調子で言っている。



俺は魔力を持っていたから、魔導士を育成するための高校に強制的に入学させられる。

だから、入学試験のための勉強なんてしたことがない。


勝手に進路が決まる人生もどうかと思うけど。でも――目の前の少女みたいに、倒れるまで無理をするほど追い詰められたことはなかった。


……なぜか、胸が締めつけられる。


もしかして、倉庫街にいたのって……と、悪い方向に考えてしまって、まだ本人と話してもいないのに心臓が痛くなってきた。


少女のいる病室の場所を言って、看護師さんは仕事に戻っていく。


……その子に会うの、気が重いな。



「とりあえず、親に連絡しないとなあ……」


「終わったらうなぎが食べたいな」



彼は「おなか、空いたー!」と繰り返し口にして、足元を八の字にうろうろ歩いている。



「……そうだね。おなか空いたね」



なんだか厄介なことに巻き込まれた気がするな……それでも、放ってはおけない。


そんな気がして、重い足を引きずった。



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