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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
2章 家出少女

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第16話 家の修理


船の修理が終わる頃、視界の端から走ってくる井波市長の姿が見えた。顔は真っ赤で、ふうふうと息を切らしている。


握られてくしゃくしゃになった家の間取り図と見取り図を渡され、手に取ると少し湿っぽかった。


走ってきたせいだけじゃない、きっと、ろくに休まず動いていたのだろう。


置いてある場所聞いて、俺が行けばよかったな。申し訳ない。



「利他くん! 待たせて悪かったね」


「いえ、お忙しいところありがとうございます」



頭を下げると、足元をうろついていたソラが、道端の小石をちょいちょいと小突いていた。


空腹を紛らわせているのかもしれない。猫のごはんくらい持ってきたらよかった。


こんなときでも、我慢をさせてばかりだ。



「あ、うなぎの件は漁師さんたちに任せました。食べられる部分は捨てることなく食べ切ってあげてください」


「いやあ、本当に助かるよ。ありがとう」



次は建物の修理作業だ。

破壊された建物や散らばった物品を注意深く見回してみる。


……どこから手をつけていいのやら。


海から近い家屋は、屋根が崩れ、壁面には大きな亀裂が入っている。窓ガラスは割れており、中には家具が散乱していた。

海から少し離れた家でも、コンクリートの破片や木の板なんかが飛んできていたようで、壁に穴が開いた家が数軒あった。


まずは、被害の少ない場所から順に直していこう。


市長から渡された見取り図と間取り図をしっかり頭に入れて、じいさまの船を修理したときのように壁に触れ、魔法を使う。

あっという間に穴が塞がった。


意図してやったわけではないが、直したときに経年劣化で薄汚れていた箇所も、新築同様の状態に。

ただ、家の中にあった私物は壊れていてもそのままになっているせいで、住人が帰ってきたときにはがっかりさせてしまう。


そこは本当に悪いと思っている。



どの家も造りが同じだったおかげで、修理は思ったより早く進んだ。


青い屋根に白い壁が統一された街並みはまるで美術作品のようで、澄んだ青空に映えている。


ようやく元の街に戻ったみたいで、胸の奥がじんわり温かくなる。



「もう終わったんじゃない?」


「んー、そうかも」



ほかに直すべきところがないか見渡すと、道路の修復もいつの間にか行われていたようで、もう問題なさそうだった。

しいて言うなら家の中にあったものくらいだろうが、さすがにそこまではできない。


……もどかしいけど……でも、そこまでが俺の限界だ。



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