第10話 修復の第一歩
被害は甚大で、道路や灯台、家屋などが壊滅的な状態に陥っている。
可能な範囲で元の状態にしてほしいが、とにかく無理はするな、と釘を刺された。
うなぎ掻きを何百本も召喚していたからか、魔力の使いすぎを心配してくれたのだろう。
ありがたや。
二年前の火災のとき、研究所がすっぽり入るほどの巨大なガラス瓶を作ったときは、へとへとになったっけ。
あのときは本当に倒れる寸前だったな。
それに比べると、今はだいぶ余裕がある。
魔力量もずいぶん増えたものだ。
だからある程度の無茶なら問題ない。
……それでも無理する癖は、変わってないけど。
市長に聞いた話によれば、ワタツミ街にある全ての家は、内外ともに統一された建築物らしい。この街の建物を設計した人物のこだわりが強烈なおかげで、依頼は難なくこなせそうだ。
家を修復するには構造がわかれば簡単に済むだろうと伝えると、井波市長が、建物の外観と内部構造がわかる見取り図と間取り図を持ってきてくれることになった。
急かしていないのに走って行った……体力大丈夫か、あの人。
それに……樺谷さんと置いていかれて気まずい。何か、適当な話でも振るか。
「そういえば、逃げ遅れた人とかいたりします?」
「いえ。灯台の守り人がうなぎに運よく気づいてくださったみたいで、避難もすぐに」
そうですか、と安堵のため息をついた。
避難していた住民が戻ってくるときのことを考え、住宅に近づかないよう警告してくれるということで、樺谷さんとも別れた。
魔法を使っている最中に誰かが家の近くを歩いていたら、住民と壁が一体化してしまう。さすがにそんな芸術作品はいらない。
まあ、見取り図と間取り図がないと取りかかることもできないから、まずは灯台からだ。
海のそばで風にさらされながら、ずっと街を見守ってきた象徴。これが直れば、少しはみんなの気持ちも落ち着くかもしれない。
肩の上でくつろいでいるソラの背中を、左手でそっと支える。
「……さ、行こうか」




