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白猫を連れた魔導士が、港町で拾ったのは秘密を抱える美少女でした  作者: 汐田 伊織
2章 家出少女

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第3話 終末のうなぎ掻き


このままじゃただの野次馬だ。それだけは、さすがにかっこ悪すぎる。



「……よし。やるか」


「がんばれー」



「うん。がんばる」



ゆっくりと目を閉じる。


――うなぎ、ね。


小さい頃、銀三じいさまが見せてくれたあれを思い出す。長い棒の先に、鉤がついた“うなぎ掻き”。

まさか今になって役に立つとは思わなかった。


うなぎ掻きを、あのうなぎの大きさにしよう。


頭の中で、金属の流れを組み立てていく。

切削、焼き入れ、研磨。


――さて、やろう。


魔法を起動した瞬間、耳をつんざくような轟音があたりを震わせた。足元が一瞬ぐらりと揺れる。

思わず膝をつき、顔を上げると、夜空を裂くように何かが落ちてくる。


漆黒の巨大な棒。その先に、二本の鉤。

鉄の匂いが焦げついた空気に混じる。それは月明かりを受けて、冷たく光っていた。



「大っきいねえ」


「ソラ、ちょっと離れてて」



「はーい」



懐の中から、するりとソラが抜け出す。


しかも、ちゃっかり湯たんぽをくわえているし。

……この、寒がりめ。


ぬくもりが消えた腹のあたりが、急に寒い。凍えそうになりながら、同じ大きさのうなぎ掻きをさらに九本、順番に創り出す。



魔力が腕を通って抜けていく。体の奥から何かが抜けていくような感覚。

魔力の残量は……今のところは問題ないな。


空から落ちる巨大な鉄の柱が、次々と地面に叩きつけられるたび、雷鳴のような衝撃音が耳に響いた。


自分でやったくせに……この光景、洒落になってない。まるで終末のようだ。



周囲の建物が揺れ、地面にヒビが走る。あまりの規模に、自分でもちょっと引く。


――すぐに攻撃するべきか?


銀三じいさまの話を思い出す。


たしか、うなぎの血には毒があるって言っていたな。船置場で戦ってるほかの魔導士たちに、飛び散ったらまずい。

……だったら、もう少し海側に誘導してから。


それにしても、これで効かなかったら……どうすればいいんだろうな。




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