異世界会議
エルフの国を後にしたオレたちは、逆周りでこのことを報告していく。
どの国も世界の危機に驚き、そして厚い御礼を伝えてくれる。
同時に異世界会議の開催も改めて歓迎し、参加を約束して見送ってくれた。
「ただいまー」
「おう!おかえり! ん? どうした?」
「いやいろいろ疲れたよ」
「ナツがモテモテなんだよー」
「ちょっ、ハイガそのことは!」
その時にはウートがハイガを連れてどこかに転移していた。
「あーあ。一番知られたくないやつにバレたよ」
「これは終わったかもしれませんね」
「ご愁傷さまだ、主」
「やめてくれ」
その後、ウートはニヤニヤした顔で戻ってきた。
「まさかエルフの女王と婚約して帰ってくるとはな」
「してないから!」
「ほう。ともあれ今度の異世界会議を楽しみにしているぞ」
「頼むから余計なこと言うなよ」
「ナツ次第だな」
「はあ?」
「オレにくれる約束のモノを忘れているだろうが!」
「え、なんだっけ」
「ランクルだー!!!」
「あ」
すっかり忘れてた。
そういえば頼まれてたな。
オレはランクル改をコピーしてウートの収納に移した。
「ごめんな、バタバタしてて忘れてたよ。いま移したぞ」
「そうか!」
「さっきのことは?」
「なんだったな。もう忘れたな! ワハハハハハハ!」
よし。
不安材料は消えたな。
――――――――――
異世界会議は二日後となった。
それまでの間に、時間の進みが遅いこっちの世界でやれるだけのことを進める。
まずモンスターランド。
レンジャーたちから聞き取りをしてみると、その進歩は著しかった。
モンスターたちはだいたい一週間で攻撃性を失い、社会的な行動がとれるようになるそうだ。
やはり果樹園は使える。
時間の許す限りを使って現実世界にもさらに果樹園を増やしていくのだった。
この成果は異世界携帯電で家町総理たちにも伝達をして、Xデー以降の棲み分けプランの参考データにしてもらった。
同時にチームメンバーに果樹園のコビーを頼み、世界中に広げるように指示をしておいた。
最初はモンスターの駆逐はやむを得ないとへ思う。
でも混乱が落ち着いて、対処ができるならばモンスターは保護して棲み分けをしていく形を取りたい。
殺戮モンスターだったあのハイオーガがこんなに懐くんだぞ。
ハイガを見ていると、勇気がもらえる。
きっと新しい世界ではみんなが仲良くやれるはずだ!
向こうの新天地、こちらのモンスターランド。
どちらも新世界にとって大切な裏技になるに違いない。
――――――――――
そして異世界会議が始まる。
異世界は人間国からウート国王、獣人国ウララ国王、ドワーフ国からガント国王、エルフ国からエイリル国王、魔国からイザール国王がそれぞれ臣下を連れて参加した。
場所は時間の流れに余裕のある異世界で、オレが最初に訪れた縁からジャポネーゼでの開催とした。
あれこれ揉め事も抱えているっぽいのでまずは異世界組を半日早く集めた。
人間と獣人、ドワーフは揉めてるとはいってももともと仲が良いからこその揉め事なのでみんなで一緒にメシを食わせたらすぐに元の仲良しに戻ってた。
鎖国状態であったエルフと魔国も、世界の危機を乗り越えたことで態度は軟化しており、すぐに腹を割って話せるようになったと思う。
場が温まったところでナツ世界の首脳がを転移で連れてきた。
家町総理、カーター大統領、イワンコフ大統領がそれぞれの腹心を連れて世界代表として参加。
家町総理は三賢者である吉野官房長官、風間防衛大臣、黒澤外務大臣を連れてきている。
そしてオレの隣にはヒョウ、アキ、師匠、ひかりさん、篠田、イザナミさん。
そしてモンスター代表として、魔狼リーダー、ハイガ、クマくんが並ぶ。
いわばここにいるみんなは信頼できるナツファミリーでもある。
顔合わせは何ひとつ問題なくスムーズに進んだ。
お互いの文明を尊重し、文化交流を積極的に行うこと。
モンスターについては攻撃性の高いものは排除しつつ、なるべく棲み分けを試みていくこと。
ナツ果樹園を広げていつかはモンスターとも共存できる世界を目指すこと。
これらを全会一致で採択して、第一回異世界会議は大成功で幕を閉じたのだった。
そして今はその打ち上げパーティーだ。
場所をモンスターランドに移して視察の後に大バーベキュー大会が開催されている。
双方の料理を持ち込み、みんなで舌鼓をうつ。
ここにはもうなんの不安もない。
来たる新世界をみんなが楽しみに迎えられる、それを確信できた夜だった。
「ナツ。よかったね」
アキがそばにやってきて寄り添う。
呼び方もいつの間にか自然にナツになってたな。
「うん。アキのおかげだ。最初に打ち明けて良かった。今日までありがとうな」
「うん。あっという間だったね」
Xデーがどんな形で起きたとしても、これでもう大丈夫だ。
ここにいるみんなとならいい新世界になるに決まってる!
その時。
大きな鐘の音が鳴り響いた。
これは神様の降臨だ!




