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【完結】明日からモンスターまみれの世界〜剣道家たちが世界を救う〜神からもらった能力がチートすぎた件  作者: opocho


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ゾンビ襲来



ゾンビの襲来まで残り5分。


場所が合宿所でただいま絶賛王龍旗の開催中なだけに運動場には誰の姿もない。

宿舎には従業員の方がいるだろうが、離れているのでまあ大丈夫だろう。


「予定通りに雷撃でいいよな?」

「真夏に突然のカミナリはなくもないってやつね♪」


とはいえいきなり100個も雷が落ちるのはあり得ないだろうけどな。

なるべく低空から落ちるイメージにしてみよう。


ゾンビにはそれこそ練習した聖なる治療魔法、ホーリーやヒールも有効なのたがどうしても一撃広範囲の攻撃イメージにならず今回は断念した。


雷撃のイメトレをしていると1分前のアラーム。

これはオレの携帯でセットしたやつね。


「なんかドキドキしてきた」

「大丈夫♪」

「ゾンビはなるべく見ないようにしよう」

「慣れとけばー?」

「無理」


認識阻害をさらに強くかけて少し上空へ。

やがてその時間が来た。


歪みの予定ポイントをみつめているとなにやら空間が歪み出した。

やがて白いモヤが広がり何も見えなくなる。


しばらくしてモヤが晴れると、そこにはおぞましい姿をしたゾンビの群れが広がっていた。


「マジか」


現実に起きることだと思っていながら、実際にその姿を見てしまうと思いがけずフリーズしてしまった。


「ナツくん!」


ナビィの声で我に返り、慌ててマップを見る。

ゆっくり点滅していた光点は赤く点灯している。


マッピング機能をオンにする。

赤い光点はマッピング完了を示す高速点滅を始めた。


「落ち着いて♪ 余裕だよ♪」


ひとつ深呼吸。

それで心は不思議と落ち着いた。


人差し指を天に掲げる。

腕を振り下ろしながら呟く。


「雷撃」


100の稲妻が降り注ぐ。

イメージした通り、それは天からではなくゾンビの頭上からの直撃だった。


音だけは激しく鳴り響いたが、それも一瞬。

おそらく誰にも何が起きたかはわからないだろう。


マップの光点はなくなっていた。

地面への影響は……ちょっとシャレにならない。


「これどうするんだ?」

「穴だらけだねー♪」

「……クリエイトかな」


なんとなくイメージできたのは修理かな。

元に戻す魔法を創造する。


「元に……戻れ」


一瞬、光が輝きそれが収まると穴だらけだった地面をすっかり元に戻すことができた。


「すごーい♪」

「名前は……【レストア】ってとこだな!」


クリエイト、便利すぎるぜ!


「お疲れさまだよー♪ 完璧じゃん♪」

「……それにしてもさ。本当に現れたな」

「うん」

「異世界からのハグレ退治かあ」

「ゾンビは駆逐対象でしかないからいいとして、いつか知性のあるモンスターがハグレてきたらどうしたらいいのかなあ」

「ナツくんはどうしたい?」


しばらく考えて答えを告げる。


「送り返す……かな」

「異世界転移は実績はあるけどね♪」

「装置があるんだっけ?」

「でもこの規模のモンスターを一気に送り返すようなものじゃないかなー♪」


装置の大型化に成功したとて、今回でいえば100体だ。

モンスターがおとなしく並んでくれそうにないしな。

そもそもデカいやつが来たら無理だろ。

速いやつもいるんだろうし。


「まだ初日だ。ゆっくり考えるしかないか」

「うん♪ これからがんばろうね♪」

「ああ。よろしくなナビィ」

「こちらこそー♪」



――――――――



アリーナの屋上まで転移で戻る。

認識阻害をかけたとて、トイレの個室に転移するわけにもいかない。

ここなら鉢合わせもないから安心だ。


眼下の人の流れを見て人のいない死角へ転移。

強くかけてあった認識阻害を少しずつ緩めながら歩いて観客席へ向かう。

館内をざっと見渡し、人が多いところへ目を向けると案の定、そこにはアキがいた。


「人気者を見つけるのは簡単だな」


認識阻害を解いたのでオレの周りにも人が集まり出す。

大勢の目を集めながら仲間の陣取っている席に辿り着いた。


「おかえりなさい!」


嬉しそうに隣が空いてる席に移動してくれたのでそこに座るとあちこちからフラッシュが。


「タレントじゃないんだけどなあ」

「ナツとアキは芸能人みたいなもんだからな」

「剣道大会は仕方ないですよ」

「まあそうだよな」


あまり知られていないのだが、剣道の競技人口は実は多い。

柔道の10倍以上となる150万人以上だといわれている。

オリンピック競技じゃないのは「なれない」のではなく「ならなくていい」と剣道連盟が思っているからだ(二回目)。


勝ち負けを決めることは大事ではない。

人生をかけて鍛錬する生涯スポーツならではの考え方だ。


だがその全剣連の考え方も「このままで良い」とする古くからの体制派から、「このままではいけない」という改革派のバランスへとかなり傾いているという。


分厚い競技人口の上に、オレという派手なスターが生まれたことでそんな状況となっているのだがもちろん当の本人にはそこまでの実感はなかった。


オレとしては大好きな競技だから人気が出るのは嬉しい。

実際に剣道から得たものはとても多くて、大きい。

それを伝えることができるならいいことだと思う。


リアルにゾンビと遭遇した直後にこんなことを考える時点でオレも壊れてんのかなと思ったりもするけれど。


一撃で殲滅したからなのか、なんだかゲームの中みたいだなと、思うのだった。



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