ギルドでお仕事
帰りも30分かけてギルドへ。
おじさんと約束した200匹のツノを普通の袋から出して納品する。
「こんな短時間で200匹も!?」
「コツがありまして(本当はこの10倍だけどな)」
「あ、買い取りもできるんですよね?」
「大丈夫だ。こっちにこい」
受付ホールの裏に買い取りエリアがあった。
ここで解体もするらしい。
「ん? どこにあるんだ?」
「あ、オレ収納持ちなんです」
「ほう、そりゃすごいな」
よかった。
そこまでレアじゃないんだな。
安心して200匹分のホーンラビットを放出する。
「んなあっ!?!?」
「「え?」」
「お前どんだけデカい収納持ってんだよ!!」
(おいナビィ! まだダメじゃねえか!)
(ええーっ。このくらいはイケると思ったんだよー♪)
「お、オレの国ではこれくらいは普通ですよ」
「そうなのか。驚いたぞ」
どこの出身だと聞かれなくてよかった。
何の想定もしてないや。
「状態がいいな! ん? なんだこの攻撃の跡は」
「……我が一族の秘密です」
「それは聞くわけにはいかんな」
成功報酬は20万N、買い取り価格は状態が良く40万Nとなった。
Nの単位からもうわからないし、金の価値がわからないけれど、悪くないんだろう。
「腕がいいな。Dランクじゃダメだな」
「いや別にこのままでいいですよ」
「ダメだ。ギルドとしては有能な冒険者を評価するのが仕事だ。そして相応の働きをしてもらわなければいかん」
「とりあえずお前は今日からCランクだ」
なんか昇格してしまった。
「ついでにコレもどうだ? こんなすごい魔物をテイムしてるんだからイケるんじゃないか?」
渡された依頼書はデッドリーカウの間引きだ。
かなり美味い肉が取れるので貴重な品種なのだが、近くの草原で大量発生したらしく半分ほどに減らしてほしいとのことだ。
「いいですよ」
「100匹くらいいるらしいから50匹納品してくれ。さっきみたいな状態なら一頭300万で買い取ろう」
「は!?」
「いやいや。末端破格は倍以上なのはもちろんわかるが、卸ならこんなもんだぞ」
いや、高すぎて驚いたんだけど。
つまりは肉がそんだけ高い……つまり美味いってことだろ!
「ギルマスさん、一頭分こっちで引き取りたいんだけど。解体した肉もらえるかな」
「もちろん。その分相殺しよう」
これは俄然やる気が出た。
今夜は焼肉だ!
―――――――
「デカいだろ」
「我も参加したいんだが」
「ヒョウが戦ったから粉々だろ」
「これは焼肉のためなのよ!」
「ぬ。それは大事であるな」
依頼は50頭だ。
頭にポイントを固定して、数もびったり50頭にセット、レーザーで一撃で倒す。
鮮度が命!
50頭を即時回収する。
急いでギルドに戻る。
「だから早いんだよ!」
「にーく! にーく! にーく!」
ギルマスに驚かれながら
肉コールが止まらない。
「にーく! にーく! にーく!」
「わかったって!」
裏に行き50頭を放出する。
その場で一頭分だけ解体してもらい、まるごと肉をもらう。
もちろん即時収納だ!
「ほらよ、報酬だ。持ち帰りの解体費用はサービスにしてやるよ」
1億5千万Nを受け取る。
きっととんでもない金額なのだろうけど使い道はないもんな。
お金も収納に放り込んで急いで帰ろうとしたらギルマスに呼び止められた。
「おいナツ! お前たちAランクだからな。偽造防止で特殊な加工があるからライセンスを渡すのは明日だ」
「えー、別にいいのに」
「うるせえ、受け取れ。明日も仕事用意しとくからな」
「それどころじゃないんだよ」
「そうよね。ギルドの仕事なんてしてる場合じゃないもんね」
「肉の方が大事だ!」
「違う!!(魔王だよ!)」
そうだった。
―――――――
まずは忘れずデッドリーカウをまるごとコビーをしておく。
とりあえず10体だな。
本当に美味かったらガンガン増やしておこう。
そしてバーベキューが始まったのだが……オレたちは言葉を失った。
しばらくして全員が叫んだ。
「なんじゃこりゃああ!!!!」
「ギャアァァーーーーーッ!!!!」
「ヒイィィィッ♪♪♪♪」
「アオォォォォーーーン!!!!」
もうね、ヤバいのよ。
今食べたのはカルビ。
良質な脂がトロけるトロける。
いわゆる一頭買いだからいろんな部位を楽しめる。
その場で1000頭分コピーしました。
翌朝。
ライセンスは別に要らないのだが、そう言えば魔王の情報を何も得てないことに気づいて仕方なくギルドにいくことにした。
「おう、きたな!」
「おはようございます」
「ほら、Aランクのライセンスだ!」
色はシルバーだ。
Sはゴールドなんだろうな。
「……ありがとうございます」
「なんだよ全然嬉しそうじゃねえな」
「ランクにこだわりがないもので」
「つまらんやつだな。それより夕方から時間あるか?」
「……ありますけどなんです?」
「怪訝な顔すんな! Aランクが出たときはギルドでお祝いするしきたりなんだよ」
面倒だが、これは魔王の話を聞き出すチャンスだな。
「わかりました。伺いますよ」
「よし! なら18時にここに来いよ」
「はい」
「で、肉はどうだったんだ?」
「いやもう夢のようでしたよ」
「うらやましい限りだ」
あ、だったら。
肉を差し入れするか。
きっとうっかり話す感じになるな。
「あ、ギルマス! この街で従魔が泊まれる宿屋ってありますか?」
「なんだ? 今まではどうしてたんだよ」
「野宿してました」
「あるに決まってんだろ。早く言え! アキちゃんがいるのに何やってんだよ」
「いやヒョウがデカいですし無理だとばかり。でもちょっと不便なんでね」
「まあサイズは確かにな。でも金もできたし多少はかかってもいいんだろ?」
「それはもちろん」
「なら今夜から手配しといてやるよ」
「ありがとうございます!」
「やったー」
といいつつ、泊まるつもりはなくエア宿泊だ。
拠点転移に使いたいだけだったりする。
ギルマスからは「それまでヒマだろ」ってことで新しい仕事を投げられた。
アースドラゴンの対処、だそうだ。
成功報酬は8000万N。
「対処っていう言葉に意味あります?」
「討伐は無理だからな。どうにかしてほかに動かしてもらいたい」
「え、動かすだけでいいんですか?」
それなら強制転移でチョロい。
「バカいえ。命がけだぞ。飛べないだけで立派なドラゴンだ」
「どこまで移動させればいいんですか?」
「東にある大きな森だ」
「え」
「あそこにもとんでもないバケモンが群れで住んでいる。こちらとしてもつぶしあいをしてくれればありがたい」
「それって……」
「ブラッドベアだ。とんでもなく強いぞ」
クマくんかよ!
でもそれは困るよなあ。
「ちなみに何かの弾みで倒した場合はどうなります?」
「報酬は10億は軽く超える。素材はその10倍以上の価値があるからとんでもない額になるだろう。あり得ないけどな」
もらっておくか。
ほかの場所に誘導してもそこでも困る人が出てくるだけだしな。
「一応、討伐狙いで動きますよ」
「おいおいマジか」
「結構、自信あるんですけど」
「ダメだ」
「わかりました。万が一イケそうならってことにします」
「無理はするな。命だけは守れよ。せっかく誕生したAランク冒険者だ。なにより……」
「?」
「……せっかく仲良くなったんだ。死んだらつまらん」
そっぽを向いてそう告げるギルマス。
かわいいとこあんじゃん!
「大丈夫です。夜の祝いまでに戻ります。ドラゴン肉でお祭りしましょう」
「ハハハ。楽しみに待ってるよ。とにかく無事で戻れよ!」
さて。ドラゴン退治といきますか!




