合流、探索
お互いの無事と再会を喜んでいると、遠くにヒョウの気配を感じた。
「呼ぶか」
ヒョウの気配を感じ取り強制転移をかける。
瞬時にヒョウが目の前に現れた。
「「あ」」
当然、衝突する――が、ギリで抱き止めた。
そのままヒョウを抱っこする形で勢いを殺すためにクルクル回ることになった。
「ねぇ! お姫様だよそれ!」
「主、恥ずかしいぞ」
「いや仕方ないだろ」
「私の時もそれくらいクルクルしてほしかったんだけど!」
三人でゲラゲラ笑う。
「ともかくすぐに合流できてよかったよ」
「あれ? ナビィは?」
「異世界への突然転移はフリーズみたいな状態になるらしい。そのうち気がつくと思う。前に聞いたことがあるんだ」
強制転移されてからのお互いの状況を共有する。
「100万!?」
「それを気合で倒したのか!? さすがは主だな」
「魔王なりふり構わないわね」
「我なら100万を倒された時点で諦めるがな」
諦めてくれればいいんだけどな。
別に迷惑はかけられたが死人も出てないし今なら許してやるのに。
「あっちが心配してるだろうな」
「ナビィが戻ればあっちに連絡してもらおう。アイテムボックス間は出入りできるって言ってたよな」
「異世界間だとまたフリーズするんじゃないの?」
「「確かに」」
そこで思いつく。
「手紙!」
「オレたちのアイテムボックスは共有がかかってるじゃん!」
「なるほど!」
さっそく手紙を書く。
・異世界に強制転移
・おそらく魔王
・三人バラバラにされたが合流済
・歪みに飛び込めば戻れるが時間がズレているので今戻るとXデーに間に合わない。別の方法を見つけて強制転移直後に戻る。
・今後はこちらの時間で6時間ごとにアイテムボックスに手紙を入れることにする
・そちらの日時は?(こちらは不明)
まずはここまで。
目立つように魔力を込めて発光し続ける郵便ポストをクリエイトして収納しておいた。
ナビィかいれば向こうがピックアップしたことを教えてもらえるんだけどな。
いつまでフリーズしてるんだろ。
―――――――
陽が暮れる前に拠点を作ることにした。
お部屋リゾートに入れば向こうに行けるんじゃないかと思ったのだが向こうで作った拡張にはこちらからは入れなかった。
さすがにそこまでイージーモードではないよな。
仕方ないので異世界仕様のランクルを作成することにした。
機能は同じ(陸海空対応)で、強化するのはオーバーテクノロジーの隠蔽だ。
認識変更でランクルを馬車に見えるようにする。
「おお! 馬車になった!」
「なんでもアリにもほどがあるわね」
「主、庭を作ってくれ」
「あ、広いキッチンもお願い」
「サウナとプール、バーベキューは?」
「「いる」」
結局、お部屋リゾートのアップグレード版が完成したのだった。
拡張が終わり、広域のマップを広げてみると、東の方に中立を示す緑の光点が集中している。
どうやら街があるようだ。
「とりあえず街で情報収集だよな」
「洋服とかどうなんだろう」
「我も詳しくないが多分アウトだぞ」
「認識阻害でこっそり確認だな。クリエイトか認識変更でなんとかなるだろう」
とりあえず近くには人がいないので、ランクルで一気に街を目指して移動を開始する。
見た目が馬車なので明らかに違和感しかない。
これを見た人はうなされるだろうな。
遠くに目的地が見えてきたが、かなり大きな街のようだ。
「なあ、なんか城もあるみたいだぞ」
「ん? あ、あるな」
「やけにデカいな。国王とか住んでるようなやつじゃないよな?」
「だとしても別に会うわけじゃないし大丈夫なんじゃない?」
「アキ。それフラグな」
街からさして遠くないところに大きな森があったので、そこを仮拠点にすることにした。
さして遠くないと言ってもランクル馬車での話なので、普通の馬車なら三日ってところか。
近づいてみると森には獣道しかなかったので、一気に転移で森の真ん中に飛んだ。
「ん? なんかいるな」
「モンスターだね」
「倒すか?」
「いや、こっちが割り込んだからな。ちょっと場所空けてもらうよ」
一人で外に出てみると、そこにいたのは巨大なクマだった。
クマって言ってもサイズが違う。
立ち上がった姿は5メートルくらいか?
なんかツノも生えていて強そうだな。
神眼で見ると「ブラッドベア」だそうな。
「突然ごめんな。ちょっと場所借りてもいいかな?」
「グガアァァァ!!!!」
なんか怒ってるな。
「ここはダメか。ならちょっと離れたところならいいかな?」
「グガアァァァァァァッ!!!!」
なんかさらに怒らせたぞ。
と、いきなり横殴りの攻撃をしてきたので、とりあえず片手で止める。
「グァ!?」
「ちょっとそんな怒らなくても」
「グガアァァァ」
さらに逆の手が飛んでくる。
これも片手で止める。
「グアァッ??」
「なあ、やめとこうよ」
両手を押さえられたブラッドベアは頭を噛みつきにきた。
「それはダメだろ」
足を上げてアゴを止める。
なんだよこのポーズ。
そこに見かねたヒョウが唸り声をあげる。
「グルルル(主に何をするか)」
「グワッ?!」
ブラッドベアはすぐさまその場で寝転がりお腹を見せたのだった。
「すごいなヒョウは(モグモグ)」
「主は甘すぎるのだ(ガツガツ)」
「ナツくんは優しいんだよ(モグモグ)」
「グァ!(ガツガツ)」
「(モグモグ)威圧ってどうやるんだ?」
「(ガツガツ)主には無理だな。皆即死するぞ。耐えられまい(ガツガツ)」
「ええー。かわいそうだよ」
「グア!グア!(ガツガツガツガツ)」
みんなでバーベキュー中である。
なんかクマももれなく参加した。
ヒョウの隣から離れないんだよね。
「ヒョウ、そのクマ弟子入りしたんじゃないのか」
「ぬ? そうなのか?」
「グワッ!」
「明らかに肯定だよね」
「なんか会話理解してるっぽいよな」
「グワ」
「クマ!」
「グワ」
「伏せ!」
「グワ!」
「おお、伏せしたぞ!」
かわいいので仲間にすることが決まったのだった。




