新天地
12月も半ばを迎えた。
歪みは毎日起きるようになったが、国民の協力もあり、すべて完封できている。
当初はかなりの混乱を生んだものの、今では起きた以上は受け入れるしかなく、当たり前の事実として向き合ってくれていると思う。
備えも順調に進んでいる。
今ハグレとして出てきているのはこんなモンスターたちだ。
ゾンビ
魔狼
コボルト
ゴブリン
オーク
オーガ
コカトリス
ガーゴイル
ゴーレム
このうち魔狼は全て仲間に引き入れているので出ると分かれば御礼を言いたくなる感じだ。
一方で相変わらず魔素は足りないらしく、ゾンビが出てくるのはもはやちょっと申し訳ない気持ちにもなる。
じわじわと新種も出てきているのだが、いずれも完封している。
魔狼軍団も出てくれるし、はっきりいって余裕である。
加えて、オレたちが出向かない新種モンスターとの戦いでは魔石も手に入るようになった。
オレたちはマッピングによる高火力で戦うので魔石も残らなかったからな。
これがさらに装備を拡充させてくれた。
魔石に私の魔力を補充することで、覚醒前の一般隊員も魔法を使えるようになったのだ。
まずはヒールを込めた魔石を大量コピーをして自衛隊と在日アメリカ軍の前線部隊に配布した。
使い勝手がいいようならば、世界への配布を行うことになっている。
さらにはナビィがまたもうっかりをかました案件なのだが、銃の弾に魔力を纏わせることができることが発覚した。
先人たちの偉大な発明を伝え忘れていたとはナビィは相変わらずだ。
これにより、自衛隊の攻撃力がとんでもなく向上して、もはやどんなモンスターもアサルトライフルで倒せるようになったのだった。
拳銃でも一発か複数発で倒せるので警官隊も十分な戦力となりうる。
モンモニの予告によりこのあとでてくるのが確定しているのは、こんな感じだ。
ハイオーク
ハイオーガ
ミノタウロス
グリフォン
サイクロプス
いずれもかなり強そうなラインナップだが、魔弾があればなんとかなる予感しかない。
初めての空のモンスターはガーゴイルだったのだが敵ではなかった。
ヘリが絶対に壊れない仕様になっていたので相手からの攻撃が効かないのだ。
ましてや魔弾を使えるようになった今、グリフォンでもちょろいんじゃなかろうか。
「世間バレを気にしなくて良くなったのが大きいな」
オレの感想にみんなも同意だ。
「慌てなくていいからね。無理しなくていいのは大きいよ」
「確かにね」
「マッピングも使えるようになったのも大きいだろ」
「あれは反則でしょ。ナツくんこんなに楽してたのかって感じだよ」
「いや見てたじゃん」
今のところコアメンバー以外にはスキルは譲渡できないが、これはきっとオレとの関係性からのアドバンテージなのだろう。
後発の覚醒者たちも経験を積めばきっと譲渡ができるようになるだろうと思っている。
お部屋リゾートには魔狼国とは逆側に、新しく住宅地を配置した。
そこに次々とメンバーたちの家族や友人も引っ越してきている。
オレの自宅には強固なバリアが発動しているし、その中に作った拡張エリアにいてもらえたほうがこちらとしても安心して歪みに対象できるからね。
また、一つの新しいアイデアとして、モンスターの暮らすエリアを作ることにした。
「大胆な発想だな」
「ちょっと気になってるのが魔狼たちなんですよね。あんな初期モンスターが知能を持って今じゃ自分たちの国を作って生活してるんですよ」
「なるほど」
「今出てきてるモンスターももしかしたら同じことができるかもしれないと思ったんですよね」
家町総理たちにその考えを打診してみたら思っていたより反応はいい。
「現実世界ではテストするリスクが大きいが、隔離された拡張世界なら確かに安全マージンも取れるな」
「歪みが起きる前からナツくんが言っていたという『お互いに事故』という考え方は気にはなっていたんだ」
「やる価値はあるだろう」
「手伝うよ」
すぐにテストすることが決まったのだ。
名前は新天地プロジェクトと命名した。
さっそく富士の演習場に拡張世界の新天地を構築することにした。
何かの事故でいざ暴発したとしても、そこなら戦術的対応が取れるだろうという考えだ。
まず現実世界には1キロ四方の高い壁を作る。
もちろん絶対に壊れないクリエイト壁で、以前死蔵したテーマパークの技術を適用しているので、間違いがあっても現実世界にモンスターが流出することはない。
壁は屋上部分が眼下を見張る監視塔の役割を果たしており、内部に向かって攻撃が可能な武器類をフル装備する。
壁の内部は倉庫と住居ゾーンも備えており、そこに自衛隊が常駐して監視する仕組みだ。
そして肝心の新天地。
1キロ四方の中心にコンテナハウスを1軒建てて、その中に広大な世界を作り上げていく。
内部の大きさのイメージはまずは四国サイズとした。
段階的にオーストラリアくらいにまでは拡張することは決定事項だ。
もしうまくいくなら裏世界として完成させたいと思っているけどね。
まずは種族ごとに隔離をさせて生活を観察する。
ナビィ曰く、基本的には雑食だから必ずしも肉が必要とも限らないという話だ。
新天地という名前で思い出したらしいのだが、同じことを実践した先人がそのプロジェクトを成功させたのだという。
これまで怪我をした人間はいるが、食われそうになったという報告は確かになかった。
これは思わぬ思い込みだったのかもしれない。
最初の住人はもちろんオレたちだ。
お部屋リゾートをそのまま新天地に繋いで生活をする。
もちろん魔狼もそのまま付いてくる。
最初は新しい拡張世界を作るつもりだったので、魔狼たちは選抜にしようという考えだった。
だが偉大なるナツの新たな事業だと聞いて先着100名に応募が殺到し……というか全住民が応募したので、だったらみんなで来ればいいというオチになった。
結果、隣の家族・友達ゾーンごとの移住である。
確かにもともとお部屋リゾートが新天地みたいなもんだったからな。
一応、オレたちと魔狼の暮らすゾーンの外側には川を配置して、内側はフェンスで囲った。
オレはフェンスは不要だと言ったのだが、総理と三賢者が、政府も協力する以上は安全マージンにそれだけは頼むと言われてやむなく設置した。
安全が確認できた時点で消すことになっている。
モンスターの食べ物にはナビィの勧めで果物やキノコなどの菌類を中心に植樹していくことになった。
あとは川に魚と貝類だ
ナビィの担当した救世主ではないそうだが、肉を与えずその人が作った果物で生活をしたモンスターは攻撃性が薄れていったというリポートがあるそうだ。
オレも果樹園をクリエイトする時にはそんな願いを込めて配置していくことにした。
こうして広大な土地にモンスターの受け入れ体制は整った。
新天地プロジェクトのスタートだ!
いつもご愛読いただきありがとうございます。
たまに出てくる「先人たち」というのは同じ世界線で描いた前シリーズ作品になります。
よければぜひこちらもご覧いただけたら幸いです。
【第1作】
ゾンビが交ざる新世界までのカウントダウン 〜業界人が気まぐれな神からもらったチート能力で無双しながら現実世界を救う物語
https://ncode.syosetu.com/n0717kl/
【第2作】
時空の狭間に落ちたら迷子の女神がいた〜神も超えたチート能力で芸能界とバスケ、野球を完全無双。タイムリープにモンスター退治までなんでもこなす神さま代行屋の物語
https://ncode.syosetu.com/n2453kq/
【第3作】
ちょっと世界を救ってくる〜神さまに保険で雇われた業界人はとんでもチートで無双する!現世と新天地を縦横無尽に飛び回る保険救世主の物語
https://ncode.syosetu.com/n3311lu/




