譲渡
バーベキューを楽しみながら【譲渡】についての話をする。
「なんだ、譲渡ってのはまるごと渡すんじゃないんだな」
「コピーを渡すみたいな感じらしいですよ」
「えー、ならもっと早くくれたらよかったのに」
「簡単には渡せないんだよ♪」
「どういうこと?」
まず魔力のない人間には渡せない。
その点でいうと、アキはオレを通じて魔力がだんだん馴染んできている状態だ。
あと……より深い関係になったことで体内循環は活性化しているらしい。
師匠はどうやら別格。
もともとこの世界にも魔素はあり、それは濃いか薄いかの違いであって、中にはそれを知らずにして使いこなしている人間もいるそうだ。
ナビィ曰く、達人と呼ばれる人やゾーンに入るっていうのもそれにあたるんじゃないかということ。
さらには霊感なんていうのも。
「なんとなく理解できるな」
「さすがオレだな」
「「まあそれはそう」」
「とにかくやってみたらー? ダメでも減るもんじゃないし、そもそも相性とか適性ってものが大きいからね♪」
そうらしい。
魔力が十分にあっても適正がなければ貰えない。
逆に相性がよければ魔力が少なくても貰えることもある。
魔力と適正は密接で厳密な関係にある。
水が得意な人間に火を渡しても使えないし、適正が合っていても魔力が乏しければ時期尚早でまだ受け取れない。
そこに当人同士の相性というものが加わって普通なら成立しない譲渡が成立することもある。
とりあえずやってみるか。
「疲れたら無理しないこと♪ 少しずつが基本だからねー♪」
まずはアキから。
手を繋いで正面で向き合う。
まずは能力解放、そして肉体強化。
――渡せた!
あとは魔法適正。
全属性のうち何が残るか。
これはステータス画面で確認だ。
結果。
アキはいわゆる白魔法といわれるヒーリング系の魔法が得意なことがわかった。
スキルはまずは【肉体強化】。
ほかに渡した覚えはないが基本オプションといえるスキルは持ち合わせていた。
【収納】
【予知】
【語学】
次に師匠。
手を繋いで向き合うのは恥ずかしいがそんなことも言ってられない。
もう師匠がワクワクしすぎだしな。
まず能力解放からの肉体強化。
ってかなんだこれ。
なんの手応えもないけど失敗じゃないぞ。
魔法適正を全属性流してみる。
予定ではここまでだったが、あまりにもスムーズなのでもう少し渡してみる。
予知
これもすんなり。
マップ。
これは普通。
ってことは……やっぱりもともと持ってるものがあるんじゃないのか?
一度中断する。
「なんだ? まだ全然余裕だぞ」
「多分ですけど、もともと持ってるものが多い気がします」
「アキもそうだったけど、渡してないものが解放されてたんですよ」
「へえ」
「師匠のは、それが多い気がする」
「ステータスオープンしてみよう♪」
予想は的中。
師匠のステータスはエグかった。
石川仁桜(人間)
剣神
HP→1,000
MP→300(+1,000)
攻撃 →1,000(+1,200)
防御 →900(+1,000)
魔法→500(+1,000)
スピード→1,500
運→99
魔法属性 火、水、雷、聖
◯【肉体強化】
◯【予知】(極)
◯【収納】
◯【語学】
●【支援】
●【飛行】
●【時間停止】
●【転移】
能力解放の前の数字が見たかったぞ。
なんだよ、【予知】(極)って!
そしてなんと。
オレは剣神から剣帝になっていた。
これランク落ちただろ!
でも師匠が加わったらそりゃそうなるわ。
アキはこんな感じ。
これはこれでヤバい。
一ノ瀬アキ(人間)
博愛
HP→700
MP→1,800
攻撃 →200(+800)
防御 →1,000(+500)
魔法→1,900
スピード→200
運→99
魔法属性 水、聖
◯【肉体強化】
◯【予知】
◯【収納】
◯【語学】
●【支援】
防御特化だったのはありがたい。
そして魔力、魔法もかなり強い。
アキにも剣道補正がついているな。
うん、願ったイメージに近い!
バックアップや後方支援タイプでいながら、それでいて攻撃能力もしっかりある。
「二人ともすごい♪ ナツが異常だけどそれぞれが勇者クラスよ」
「あ! ナビィが見えた!」
「本当だ。ナビィちっこいな!」
「やったー! 嬉しい♪♪」
ナビィは嬉しそうに二人の周りをくるかる飛び回っている。
魔力覚醒したからだな。
「師匠、ちっさいけど魔力に関してはナビィが師匠ですからね」
「ほう、ナビィ師匠、このあとはなにを鍛錬したらいいんだ?」
「魔力コントロールだよ♪ ふたりとも攻撃力が強すぎるからまず能力制限のセッティングをしないとね♪」
それはそうだ。
こんな数値で暴れたら大変なことになる。
ナビィ先生の指導により、まずは能力制限。
暴発の危険性を抑えてからスキルの説明を行なっている。
オレはその間、リビングに新しいドアをつけて拡張でトレーニング空間を作る。
基本的な魔法のトレーニングで攻撃魔法が飛び交うからな。
二人の基礎トレーニングが終わったら武器のクリエイトだ。
竹刀には好みがあるから勝手に作るわけにはいかない。
長さ、重さ、バランス、重心、柄にも形が何種類もある。
ましてこれは公式試合じゃない。
ルール関係なく本来の好みで剣をクリエイトしていいんだからな。
剣のクリエイトにはそれぞれこだわりがあるだろうから、たっぷり時間をかけることになるだろう。
まずオレの刀を見せて特性を伝える。
「ほう、これはすごいな」
「でしょ! 作るのは楽しかったですよ」
「師匠は時間がかかりそうだから私から!」
「その前に竹刀を見たいな。一度防具を取りに行きませんか」
ということでそれぞれの家に転移する。
転移先のモニターがあるから鉢合わせがないので安心である。
手早く剣道具一式をコピーして収納。
ついでに身の回りの品もコピーしておいた。
「師匠、木刀もコピーさせてもらいますね」
「もちろん。ナツ、コピーに大きさは制限あるのか?」
「多分大丈夫ですよ」
「ならこれも頼む」
指を差したところにあったのは師匠の愛車のランドクルーザー、玄人好みの70だ。
「了解です。コピーしておきます」
最後に車庫に停めてあったランクル70をコピー収納してお部屋リゾートへ戻る。
「師匠、このランクル、もう1台コピーしてオレもらってもいいですか?」
「ん、ナツ免許持ってたのか?」
「4月生まれなんで」
「そうか。免許あるならいいぞ」
「ありがとうございます。オレのは色違いにしときますね」
師匠のは白だ。
オレのは黒にしておく。
「オレのは拡張かけますけど師匠はどうします?」
「広すぎない程度ならいいぞ」
「了解です」
二人はナビィのトレーニングへ。
その間にオレは大好きなクリエイトだ。
気に入ってもらえるといいな!




