いろいろクリエイト
まずは師匠のクルマから。
まずはどこでも走破したいから、男の憧れ水陸両用はもちろん必要だ。
モンスターの突進にも耐えられる強度は当然マスト。
あと魔法は跳ね返せるようにしないといけないから……いや、なんでも反射するのも良くないか。
吸収と反射を切り替えられるようにするかな。
反射はゲームで有名なやつでリフレクトだよな。
吸収は……アブソーブかな。
これもクリエイトだ。
乗員に影響がないようにスタビライザーは万全にしておこう。
横転しても自動的に戻りたいよな。
魔力を効率よく噴出できればいいのか。
あ、その応用で空も飛びたい。
ってことは撮影不可のモヤをコーティングした認識阻害仕様だ。
拡張は控えめに……とはいえキャンピンカーとしての機能は必要なはずだ。
2階建てにしてそこに機能をぶち込むか。
4人の滞在をベースにしよう。
寝室、キッチン、ダイニング、トイレにシャワーをつけてと。
これくらいならいいだろ。
おっと転送機能も必要だな。
あれこれやっていたらかなりいじってしまった。
まあいわゆるベースになったランクルの居住空間は弄ってないから大丈夫だと思いたい。
続いてはオレのランクルだ。
師匠のカスタムを基本にして、キャンピンカー機能についてはお部屋リゾートをコピーした。
他にもあれこれ秘密兵器を取り付けておいた。
続いて二人の刀をクリエイトするか。
それぞれの竹刀を見たら大体の好みはわかる。
ある程度進めておいて微調整する形にしようか。
基本性能はオレの聖剣と同じ。
斬りたい時だけは何でも斬れる、だ。
と、ちょうどそこに休憩に入った二人が戻ってきた。
「おつかれさまです。どうですか?」
「慣れない魔力コントロールは難しいな。その手の知識がないからイメージが掴みにくい」
「魔法はイメージ。コツは猫型ロボットですよ」
「! なるほど! ちょっともう一回やってくる。ナビィー! どこだー!」
師匠は走って行ってしまった。
「アキは? 疲れたか?」
「ちょっとね。師匠の集中力が半端なくて付いていくのがやっとだよ」
「自分のペースでいいと思うぞ」
アキはオレが木刀を手にしているに気づく。
「あ、私の木刀!」
「ちょうどよかった。これからアキの剣を作ろうと思ってさ」
「やった!」
細かなリクエストを聞いていく。
大体は竹刀から想像した通りだな。
イメージを固めて木刀を握り目を閉じて願う。
硬く固く堅く。
決して折れることなく跳ね返されることなく。
斬りたいものだけを斬り、斬りたくないものは叩くだけとする。
どうかこの剣がアキを守りますように。
木刀は白く輝きやがてその光は収束する。
そこに現れたのは真っ白の剣だ。
「綺麗……」
「できたぞ。アキの剣だ」
神眼で確認すると「アキノツルギ」(神剣)。
「あーっ! またヤバい剣作った♪」
「いや聖剣じゃなかった」
「あらそう……って神剣!?」
「え、これもヤバいの?」
「あんたねえ♪」
そこに後を追うように師匠がやってくる。
「おいナビィ、まだやれるぞ」
「こっちが疲れた♪ 次はまた明日♪」
「なんだよつまらん」
「それより師匠もナツに剣を作ってもらったら?」
「お。いいな」
というわけで続いては師匠の剣だ。
質問をしたが「硬けりゃなんでもいい」とのこと。
確かに師匠の竹刀には一貫性がなにもない。
聞けば「いつもそこらにあった竹刀を使ってた」らしい。
普通はこだわりぬいて選び、それを使い込むものなんだけどな。
ある意味で師匠っぽいけど。
世界最強の剣士なのになあ。
弘法筆を選ばずってやつか?
とりあえずオレなりに理解している師匠の剣をイメージするしかないか。
イメージを固めて木刀を握り目を閉じて願う。
硬く固く堅く。
決して折れることなく跳ね返されることなく。
斬りたいものだけを斬り、斬りたくないものは叩くだけとする。
この剣聖の生涯の剣としてふさわしいものとなれ。
白く光り輝いたあと手元にあってのは深紅の剣だった。
さっそく神眼。
ジンオウノツルギ(聖なる神剣)。
うわ、過去イチでヤベえ名前だぞ。
ナビィはもはや何も言わずにプールに飛び込んでいた。
二人はかなり気に入ったようでそのあとともずっと剣を振っていた。
――――――
「なんだよランクルめちゃくちゃじゃねえか!」
「普通にも走れますよ」
「難しくて扱えねえ!」
「そう言うと思ったからノーマル仕様もコピーして残してます」
「ならそれでいいや」
「収納には入れておいてくださいよ。いざって時には必要になりますからね」
使い方を教えようと師匠のランクル・改でドライブに来たのだが、早々に飽きられてしまった。
仕方ないのでそのままオレの運転で買い出しに行くことにした。
「師匠、ずいぶんここにいますけど仕事は大丈夫なんですか?」
「まあ監督なんてたいした仕事じゃないからな」
「「いやいや」」
「大事な日は出るけどそれまでは休むって言ってあるから大丈夫だ」
「なんすかそれ」
「まあ気にすんな」
大丈夫かなあ。
この人、大事なものがはっきりしてるからこうなると仕事なんて秒で辞めそうだ。
ショッピングモールにクルマを停めて店内に入ろうとしたらなにやら人だかりが。
どうやら番組のロケをしているみたいで、チラッと見ながら素通りしようとしたのだが、たまたまタレントと目が合った。
「「ん?」」
お互いに二度見する。
「旭川さん!」
「ナツくん!」
そのまま注目を浴びてしまう。
収録を止めるようなリアクションをしてしまった旭川さんの目線でオレのことに気づいたスタッフがこちらへ走ってくる。
軽めのダメなアラートが鳴る。
「江之島選手ですよね!」
「すみません、旭川さんを見てつい声を上げちゃいました」
「いえいえ。番組プロデューサーの飯山といいます。ひかりちゃんとお知り合いなんですよね!」
「はあ」
「いま街ブラバラエティーの収録中なんですよ。ぜひこのまま出演してもらえませんか?」
「いや……そういうのは連盟の許可がないとダメなんですよね」
「そっかー。………いや、ダメ元で今から電話してみるか。ちょっと待っててもらえませんか?」
「いや予定もあるので」
「お願いします! この手のハプニングはめちゃくちゃウケるんです」
プロデューサーにはちょっと待っていてもらい話し合いをする。
「どうします? ダメなアラートが鳴ってます」
「どうせ許可なんて降りんだろ。あの融通の利かないお堅い連盟が当日許可なんぞ出すはずがない」
「「たしかに」」
「知り合いのおねえちゃんの立場もあるだろ。どうせNGなんだからそれまでは顔を立ててあげればいいんじゃねえか」
「了解です」
プロデューサーのところにいき声をかける。
「じゃあ連盟の許可が出たらいいですよ」
「助かるよ! じゃあっちに控室があるからそこで待っててもらえますか? おい、ご案内して!」
ADさんらしき人が慌てて走ってくる。
「オラぼんやりしてんなよ! すみませんね」
「……いえ」
「どうぞこちらです」
「はい、ありがとうございます」
そのまま収録は一旦ストップになったようで、旭川さんがこちらに駆け寄ってきてくれた。
「なんかごめんなさい! 私が反応しちゃったせいで」
「いや僕も声上げちゃいましたから」
「アキちゃんもごめんね」
「いえ全然! やっぱりひかりさんキレイだなあ」
「あはは、ありがとう。あれ、こちらの方は……ええええ! 石川八段!?」
「ん、知ってんのか」
「も、もちろんですよ!伝説じゃないですか!!!」
「ん、あれ? 見たことあんな」
「前に錦糸町の道場で稽古をご一緒しました!」
「うーん、すまん。覚えが悪くてな。でも見たことはある」
「師匠、ひかりさんは『日本一美しい剣士』ですよ!」
「あー、それだ!」
「光栄です。あ、でもそのキャッチフレーズは私が付けたわけじゃなくて!」
「わはは、わかってるよ。でもぴったりのフレーズだと思うぞ」
「えええ」
「剣道普及いつもがんばってくれてありがたいと思ってたよ。ありがとうな」
「こ、光栄ですぅ」
なんか良い感じだ。
お似合いのカップルじゃないか!?
これは推さねばなるまい!




