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【完結】明日からモンスターまみれの世界〜剣道家たちが世界を救う〜神からもらった能力がチートすぎた件  作者: opocho


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師匠への告白



日本代表メンバーとの稽古は厳しくハードだったけれど充実していて楽しかった。 

この密度の稽古はめったにできるもんじゃない。


速さだけではない緩急。

剣先が交わるだけで行われる駆け引き。


学ぶことがめちゃくちゃ多かった。

今日だけで二段階くらい強くなった気がする。


そして何より久しぶりに師匠と道場で過ごせたことが幸せだった。


2時間たっぷりしごかれて稽古が終わった。


一人ひとりに正座をしてお礼を伝え、教えを貰う。

稽古終わりに目上の方を慕うこの時間がとても好きだ。


シャワーを浴びて身支度を整えてから監督室へ向かい、ノックをして入室する。


「おう、おつかれさん!」

「ありがとうございました!」


応接セットに促されて師匠と向き合う。

ペットボトルのお茶を投げ渡された。


「で、何があったんだ?」


いきなり直球を投げ込まれる。


「え?」

「王龍とインハイ個人の二冠なんて毎年のことで当たり前だろ。まあ団体を獲ったのは褒めてやるよ。だからってわざわざその報告なんて言われてもな」

「……すごいな師匠は」

「前置きはいい。なにがあった?」


ひとつ深呼吸をした。


「……驚かないでほしいんだけどさ、師匠、実はさ」

「フハハ。ナツがタメ口で話すときはだいぶめんどくさい話なんだよなあ」

「めんどくさいレベルなら良かったんだけどね……」


そうしてオレは神との出会いと世界の歪み、モンスターのハグレについての話を打ち明けた。


「……そう来たか。想像の遥か斜め上だったな」

「ごめん」

「まあ、よく打ち明けてくれた」

「信じてもらえたのかな」

「当たり前だ。心配するな。手伝おう」


なんの証拠も見せずこれだからな。

本当にすごい人だよ。

泣きそうになるじゃんか。


「とりあえず場所を変えるか。ここじゃ落ち着かん」

「ならオレの家でいいですかね」

「構わんぞ。話が長くなるだろ。ちょっと待っててくれ。明日休んでくるわ」


話が早くてありがたいけど、いちいち面白いな。

なんだよちょっと明日休んでくるって。


5分もせずに師匠が戻ってきた。


「さていくか」

「じゃここから転移しちゃうね」

「は?」


自宅のリビングに転移した。


「……おいおい」

「え?」

「マジだったのかよ」

「いやいや、信じてくれてたんでしょ」

「そうだけどナツお前な。いきなり転移するとかさあ。なんかもうちょっと順番とかあるだろ」

「なんすかそれ」


靴を脱いでもらい、2階へ。

「えーと、ここは魔法で作った部屋なので……」

「入るぞ」


説明の途中なんだけどな。

まあいいか。


部屋に入った師匠はゲラゲラ笑い出した。


「お前さあ」

「なんです?」

「なに全力で楽しいことしてんだよ」

「いや気分転換に」

「こんなことできんのか。今度オレの部屋も改造してくれよ」

「全然いいですけど」

「てかここに住みてえな。住むぞ」

「住むの!?」

「決めた」

「新木場、遠いですよ」

「お前さ、そこは転移で送迎しろよ」

「バレたらヤバいんですって」

「そうなのか?」

「その辺りも詳しく話しますね、師匠」


そこにアキから連絡が入る。

送迎要請だ。


「あ、ちょっと同居人を迎えに行ってきます。冷蔵庫にビールとかあるんで適当に飲んでてください」

「おう、そうするわ」


飲み込み早くて助かるな。


急いで転移してアキをピックアップして戻る。


「早いな」

「転移なんで」

「石川さん!」

「お、テレビで見る有名人だな。あれ? 前に会ってるか?」

「一ノ瀬アキです。年末の稽古でナツくんに紹介してもらいました」

「そうだ、あの時な!」


はい、剣道あるあるです。


「なんだよ、同居人ってアキちゃんか。お前深刻そうな顔してめちゃくちゃ楽しそうじゃねえか」

「両家了解の元ですからね。通い同棲です」

「にしてもなあ。こんなとこでビール飲みながら話してる時点でなんか拍子抜けしてるんだが」


オレたちはプールサイトのデッキチェアで話していた。

師匠はビール、オレたちは麦茶だ。


「確かに。でも結構深刻なんですよ」

「毎回1カ所増えるのはキツいな」

「はい」

「とりあえずオレが1カ所受け持てばいいんだな」

「お願いできますか?」

「ノロノロゾンビが100ならなんとかなんだろ」

「あ、走るやつもいます」

「げ! あれは嫌いなんだよ。ゾンビはノロノロしてなんぼだろ」

「それはそう」


しばらく状況を伝えていたが、師匠がお腹が空いたというので、リクエストに応じてバーベキューをすることになった。


アキが準備をしにダイニングに向かったところで師匠が聞いてくる。


「アキはどうするんだ」

「え?」

「あの子はお前のためなら戦う子だろ。むしろ戦わせてもらえないことに疎外感を感じるタイプだ」


すごいなこの人は。


「さすがですね。その件は大丈夫です。単独では動かしません。どうしてもならオレの隣でしか戦わせないことを承知してます」

「そうか、安心したよ」


バーベキューを察してナビィが出てきた。

紹介しなきゃと思ったその時――。


「ん? なんか飛んでるな。ナツの知り合いか?」

「え! 師匠、ナビィが見えるんですか?」

「見えるっていうか感じるっていうか」

「すごーい♪」

「おー、話せるんだな」

「「えええ?」」

「聞こえるんすか?」

「聞こえるな」

「すごーーーーーーい♪」


師匠の強さの秘密はこれだな。

達人って気配察知が半端ないからな。

信じ難いが会話が成立してるし。


そこにアキが戻ってきて師匠とナビィが会話してるのを驚いていた。


「なんでナビィと話せてるの!?」

「なんか分かるんだよ」

「石川さんエグい……」

「だよねー♪ 気配察知ヤバすぎる♪」

「なあ、石川さんってやめてくれない?」

「じゃあ師匠にするね。で、ナビィの姿も見えてるの?」

「それは見えてないみたいだよ♪」

「よかった。一瞬でそこまでいかれたらショック大きすぎるよ」


ん?

おい。ちょっと。


「あ、ナビィ! さてはバーベキューだと気づいて出てきたな」

「もちろーん♪」

「食いしん坊だよねー」

「ねえねえ、焼きそば作る?」

「ナビィ好きだもんね。もちろんだよ」

「やったー!」


ねえ、アキも完全に話してますけど。


「なあ、お前らも会話成立してるんだけど」

「「え」」

「そうだよな」

「「やったー!!!」」


まあこれはこれでありがたいな。

通訳なしで会話ができるのは楽チンだ。


というか。

そろそろ譲渡を試してみようか。

ナビィとコミュニケーション取れてる時点でなんかもう大丈夫そうな気がするぞ。



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