はじまりの続き
神様にもらった力はぶっ壊れの最強チートだった。
「……いろいろ聞きたいことはあるんだけどさ、これだけの力をもらわないとクリアできないミッションってことだよね」
『そんなことないよ。念には念をね。そろそろ時間だけど何かあるかい?』
「いやいや! まだ分かんないことだらけだから!」
『あと1分だね』
「はあ!?」
『Xデーは新年と同時だよ。そのあとは世界中で同じことが起きる。ステータスの●はその時までに段階的に解放されていくよー。◯の能力はもう使えるからね』
「ちょっと待て。Xデー? かなりキツいよねそれ」
『Xデーの前から魔法が使えるのはかなりのサービスだけど一つ忠告しておく。能力バレはオススメしない。権力から狙われて命を落とすことがほとんどだ』
「怖すぎでしょ。オレ一人で対処できるレベルじゃないよ。てか前にもこんなことがあったってことだよな」
『そうだね。ここしばらくはうまくいってるよ。それまでは途中で殺されるのがほとんどだったんだ。人間ってそういうところあるからねー。簡単には殺されないようにかなり強くしてあるけど、判断は慎重にね』
「おいおい」
『歪み……異世界からの部分転移はこのあとだんだんペースアップしてくるから気をつけて』
「気をつけろって言われてもさ」
『とりあえず明日、ここにハグレが迷い込むから宜しくね。あ、時間だ。あとはアイテムボックスからナビゲーターを呼び出して聞いてね』
「はあ!? 明日!? あと待て! 半神ってなんだよ!」
『人間の持つ力を遥かに上回っちゃったからね。そのうち君は……』
プツンと更新が切れた。
同時に部屋の中に色が戻り、止まっていた時間も動き出した。
「おいおい……そのうち君はってなんやねん」
まあ半神っていうくらいなのだから考えたくもないが、次は神になるってことだよな。
とんでもないことに巻き込まれたらしい。
現実に起きたことだというのは理解できた。
疑うまでもなく身体能力が異常なのがわかるのだ。
動じない性格なのはよかったんだろうな。
普通なら大混乱だろ。
とりあえずはあれこれ確認だな。
部屋じゃキツいか。
気分転換もしたいし、屋上に行こう。
―――――――
素振りを装い竹刀を持って部屋を出る。
幸い誰にも会わずに屋上に行くことができた。
宿泊しているのはスポーツ施設に併設された低層のホテルで、屋上を解放してくれるのと、運動場と小さな体育館に武道場があるのでウチの高校は数年前からここを定宿にしているそうだ。
試合会場となるアリーナと同じ博多湾に作られた人工島にあるのだが、アリーナやタワマン、大型マンションなどが並ぶメインエリアからは離れた端っこの方になるので比較的静か……というよりこの施設しかない。
「さてと。まずは魔法から試したいところだけど、とりあえずはナビゲーターだよな」
アイテムボックスと呟いてみると、目の前に黒い袋が出現した。
フワフワと空中に浮かんでいる。
「……マジか。まあ分かってたけど本当に現実なんだな」
アイテムボックスに向かって「ナビゲーター出て来てください」と言ってみると、袋の中からなにかが飛び出してきた。
「は~い! ナビゲーターのナビィだよー♪」
……なんかやたらHAPPYなのが出てきた。
これ妖精だな。
手のひらサイズの女の子で、背中に羽根が生えてる。
緑色のワンピースを着ていて、妖精そのまんまだ。
「ノリ悪いぞー♪」
「……あー、はじめまして。江之島ナツです」
「ナビィだよー♪ ナツくんよろしくねー♪」
いや声でかいし。
辺りを見渡しながら小声で声をかける。
「あー、もうちょっと小さな声で話そうか」
「この世界じゃナビィの姿や声はナツくんにしか見えないし聞こえないよ。他の人には袋も見えないから心配ご無用です♪」
「あ。そうなんだ。それはいいな」
「ナツくんが独り言を言ってる危ない人に見えるだけ♪」
「げ、そうなるのか」
独り言には気をつけないとな。
「あとモノの出し入れね。モノが突然出てきたり消えたりしちゃうからね♪」
それはいかんな。
てかマジシャンで一生食えるぞ。
いやその前に輸入とか輸出だな。
無敵すぎる……いやそういうことじゃない。
「ナビィとの会話には念話を覚えたら便利だよー♪」
「そんな能力あったかなあ」
「念話はスキルじゃなくて魔法に近いからすぐ使えるようになるよ。ナツくん全属性持ちでしょ♪」
「そうみたいなんだよね。でさ、とりあえずもっと詳しいことが知りたいんだ」
「いいよん♪」
まずは少ない知ってることを伝えるか。
「オレが知ってること言うね。Xデーは大晦日から新年になった瞬間って言われてる。で、明日からモンスターがはぐれてくる」
「うんうん♪」
「モンスターが迷い込んでくる歪みが起きる頻度は明日から段々とペースアップする」
「そうだよー♪」
「能力バレはなるべく避ける」
「正解だねー♪」
「知ってることはそれくらい。あとはなんかエグい能力もらっただけなんだよ」
「能力のことはいろいろ教えてあげるよー♪」
「それはありがたい」
「あとこれ渡しておくよー! モンモニだよー♪」
そう言ってナビィから手渡されたのは腕時計。
「なにこれ」
「モンスターモニター♪ ハグレがいつどこで湧くか教えてくれるよ♪」
「それめちゃくちゃ大事やなつ!」
「ほかの世界で開発したやつだけどたぶんこの世界でも使えると思うよ♪」
こんな小さいのにどんだけよモンモニ。
「どうやって使うの?」
「ナツくんの【予知】とリンクするから慣れるまでは直前にならないと反応しないと思う♪」
「直前か。間に合うといいけどな。明日は『ここに湧く』って言ってたから大丈夫なのかな」
「アラームが来たら出現までの残り時間やおおよその場所がわかるよ♪ 横のボタン押したらホログラムのマップが出るから、正確な場所はそれでチェックだね♪」
「便利そうだな」
「モンモニのホログラムは他の人にも見えちゃうから使うときは気をつけるんだよー♪」
それはマズいかもな。
まだちょっとオーバーテクノロジーだ。
「明日から大事な大会なんだけど時間被らないかなあ」
「ナビィが前に立ち合ってた世界だと毎日深夜0時に歪みが起きてたんだけどね♪」
「げ、確かに日付が変われば明日って言えば明日か。もうあと1時間くらいしかないぞ」
「さすがに1時間前ならモンモニが反応するんじゃないかなー? たぶん大丈夫だと思うよ♪」
「それはそれで困るな。ランダムだと対応しきれるかわからない」
試合はもう諦めるしかないかもな。
「とりあえず能力見せてー♪」
「ん? ステータスってほかの人には見えないって聞いたよ」
「設定できるからそれも済ませよっかー♪」
ナビィのおかげでちょっとはなんとかなりそうかな。
まずは能力確認。
それから対応を考えよう。




