はじまり
新作となります。
どうぞ宜しくお願いします
オレの名前は江之島ナツ。
都内の高校に通う18歳。
剣道においてはちょっとした有名人だ。
個人としては負け無しで、ひと通りの全国大会で優勝していたりもする。
来年東京で開催される3年に一度の世界剣道選手権大会には日本代表候補になっていて、現役高校生にして日本最強クラスと言われている。
まあぶっちゃけ剣道においては、世界ナンバーワンも狙えるのかもしれない。
日本一ってことは世界一なので。
そしてここは九州の博多。
高校四大タイトルのひとつである王龍旗に出場するためにチームで遠征にきている。
ということで、明日初戦を迎えるにあたり、今日は早めに休むことにしたのだが。
「動けねえ。なにこれ」
………人生初の金縛りにあっていた。
(嘘だろ。これが金縛り? こんなに動けないのか)
いきなりとんでもない音量で荘厳な鐘の音が鳴り響いたと思ったら、その瞬間にバキンと身体が固まった。
金縛りによくある「実は夢でした!」とか「レム睡眠がね」とかそんなんじゃないのは明らかだ。
ベッドに入った瞬間にこうなったんだからな。
外からの月明かりで部屋の中が見える。
視界に入るものは全てがモノクロになっていて色がない。
壁のアナログ時計も秒針が止まっている。
(めちゃくちゃ目が覚めてるのに、指先ひとつ動かせないんだからこれはガチのやつだよな)
鐘の音の残響が消えていくのと同時に、どこからか静かな声が聞こえた。
『やあ。少し時間をもらうね』
(幻聴か?)
『違うよー』
「え?」
思わず声が出た。
あ、声は出るんだな。
『驚かせてごめんよ。でも心配しなくていいからね』
「………」
『まあ驚くよねー』
「…………えーと。何が起きてるのかな?」
『気持ちはわかるけど警戒しなくていいからね。とりあえず話をしよう』
「……警戒するだろ。てか動けねえし」
『あ、なかなか声が届かなかったから強制的に繋いだんだよ。いま解くからね』
その声と同時に金縛りが解けた。
瞬間、ベッドから跳ね起きたオレは立てかけてあった竹刀に飛びつき構えを取る。
『ほう、さすがに速いね』
(なんだこれは。霊的なもんだよな。取り憑かれたのか)
『違うって』
(! さっきから心読んでんのか)
『思念が伝わるんだよ』
「……思念……誰?」
『神だよ』
「…………神様?」
『うん』
「神様って、神様?」
『そうだよ』
「まじで?」
『まじだよー』
「……あのさ、ガチ神様ならごめんなんだけど。……なんかノリが軽くない?」
『あはは。この方が気楽かなと思って』
「まあそれは確かに。……姿は見せてくれないのかな」
『今は声しか届けられないんだよね』
『残念だな。神様見たかった』
『それはまたいつか改めてね』
「わかったよ。とりあえず説明してもらっていい?」
『落ち着いてくれてよかった。じゃあ言うね』
姿の見えない神様だけど、それでも神様が覚悟を決めて、ひと呼吸おいてから話すのが伝わった。
『もうすぐこの世界が異世界と繋がるんだ。最初は日本からだよ。モンスターが溢れちゃうからこの世界を守ってほしい』
あー。そう来たか。
マジなんだろうな。
異世界への転移……じゃなくてこっちに来る方ね。
『そうなんだよ。来ちゃうんだよね』
「心読むのやめてね。で、もしかしてオレは死んでるの?」
『生きてる生きてる。それは大丈夫』
「なんでオレが呼ばれてるのかな」
『だから世界を救ってもらおうと思ってさ』
「いや、そうじゃなくて。なんでオレを選んだの?」
『神の勘』
「はあ? 運命的ななんかとかじゃなくて?」
『うん。勘だね。でもほら、神の勘だからさ』
とりあえずは落ち着けオレ。
理由はまあいいとしよう。
この手の話はあまり詳しくない。
しっかり神様の話を聞こうか。
「何をすればいいのかな」
『特に縛りはないよ。世界を守ってほしいということだけさ。あとは君が思うように動けばいい』
「動けっていわれてもさ。竹刀でモンスターとは戦えないよね」
『そこはこのあとパワーアップイベントがあるからさ』
「あるんだ! それはちょっと楽しみかも」
『だよねー』
「いや軽いんよ。で、異世界と繋がるってなに?」
『簡単に言うとさ、この世界って隣り合わせに違う世界が並んでるって感じなんだよ。稀に異次元の通路が繋がっちゃって相互に入れ違いが起きるんだよね』
そんな説もたしかにあったか。
ん? 入れ違い?
「ねえ。ネッシーとかビックフット……UMAとかのいろんな伝承ってもしかして……」
『うん。そういうことだよ。中には便乗のデマももちろんあるげどね。年に数回くらいは何かの弾みで世界のどこかでそんな事が起きるんだよ。今度のはそれがかなり大規模になりそうなんだよね」
「大規模ってのも気になるけどさ、何かの弾みってなにそれ。……意図的じゃないってこと?」
『そう。お互い神隠しだよねー』
「……ムズいな」
『……へえ。何が?』
「侵略とかじゃないってことだよね。お互い事故じゃん」
『……うん。その通りだよ』
「それムズいよ。意図的な侵略ならともかく。迷子みたいなもんでしょうよ。必ずしも倒すってのが正解じゃないよね」
『そう思ってくれるんだね。いい人に当たったなー』
「なにそれ。そう思ってるなら最初からそう指示すればいいのに」
『いろいろあるのさ。世界を救ってほしいという目的はあるけれど、そのやり方はその世界の人間が決めることだ。神がそこに干渉することはない』
「不干渉か。それがルールってこと?」
『まあそう思ってくれていいよ。さあそろそろ次に進もうか。実はこうやって話す時間にも制限があるんだ』
「え、まだ全然理解してないって!」
『まずアイテムボックスをあげる。そこにナビゲーターをつけておくからあとで呼び出して詳しい話を聞くといい』
「あー! アイテムボックス! 見た目と違ってめちゃくちゃ荷物が入るやつだ。てか、ナビゲーター??」
『まああとでやってごらん。次にステータス確認。念じるか言葉に出せばステータス画面が出てくる』
これも定番だな。
念じてみると目の前に画面が現れた。
江之島ナツ(人間)
HP→20(+10)
MP→0
攻撃 →5(+50)
防御 →5(+45)
魔法→0
スピード→15(+10)
運→10
「……よくわからない」
『普通の人間の中ならかなり上位だよ。武器を持った時の上げ幅はかなりのものだね』
「あー、剣道補正か」
『これは他人には見えないから安心していいよ』
「ふーん」
『さて。もう時間がない。お待ちかねのパワーアップといこうか』
神様がそう言うとすぐに身体を白い光が包み込んだ。
やがて身体から金色の光がほとばしる。
「うわ、なにこれ!?」
ほんの数秒で光は消えた。
『パワーアップ完了だよ。ステータスを呼び出してごらん』
「ステータス」
江之島ナツ(半神)
HP→9,999
MP→∞
攻撃 →9,999
防御 →9,999
魔法→9,999
スピード→9,999
運→9,999
固有スキル/剣神、豪運
◯【肉体強化】
◯【魔法全属性】
◯【予知】
◯【マップ】
◯【収納】
◯【語学】
●【転移/転送】
●【コピー】
●【クリエイト】
◯【神眼】
◯【時間停止】
●【タイムリープ】
●【譲渡】
●【支援】
●【飛行】
◯【認識阻害/認識変更】
うん。これぶっ壊れてね?
新作です。
過去作も未読の方はどうぞお願いします!
【第一作】
ゾンビが交ざる新世界までのカウントダウン 〜業界人が気まぐれな神からもらったチート能力で無双しながら現実世界を救う物語
https://ncode.syosetu.com/n0717kl/
他にもあと2作、シリーズがあります。
お気に召しましたら何卒ご一読くださいませ。




