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【完結】明日からモンスターまみれの世界〜剣道家たちが世界を救う〜神からもらった能力がチートすぎた件  作者: opocho


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お約束のトラブル



とりあえず何か食べようということで一番気になっていた店を指定して、携帯のマップを頼りに街をブラブラと流して歩く。


途中、かわいい服をみつけてはしゃいだり、逆に服をあてられてみたり。


おいおい、デートって楽しいじゃねえか!

これは剣道魂も揺らぐぞ。


土地勘ゼロなのでひたすら携帯のナビに従って歩いていると、軽くアラートが鳴った。


(ナビィ! 小さいけどアラートだ)


袋に入ってたナビィが出てくる。 

別に気を使わなくていいんだけどな。

いや恥ずかしいからありがたいか。


(予知だね。なんだろねー♪)


すると古びれたビルからチンピラみたいな輩がゾロゾロと現れたのが見えた。


(えー、これ? テンプレかよ)

(能力解放してたっけ?)

(してない。6人か。傘でもありゃ余裕だけど……ないよな)

(解放しとこうか。アキちゃんいるし)

(りょ)


携帯ナビに従って裏路地に入ったのが良くなかった。

このままスルーできるといいけどアラート鳴ったんだからダメなんだろうなあ。


やはりというか。

チンピラたちはアキを見つけるとニヤニヤしながらこちらに近づいてきた。


「なんかえらい可愛か女の子がおるばい」

「ほんとやん」

「ねえねえ、遊ばん?」

「こがんやつほっといてさ」

「お前、邪魔ばい」


うわあ、本当に来たよ。

昼間からこんな展開あるんだな。

てかさあ、アキが怖がってるだろうが!


「あのさ、オレたちいま二人で楽しく遊んでるんだわ」

「は?」

「そういうのよそでやってくんない?」 


全く物怖じせず淡々と告げてみたのだが余計にヒートアップさせてしまった。


「邪魔っち言いよろーが」

「やっちまーぞこら」


オレもそんなに気の長い方ではない。

そもそもオレがリスペクトするのは竹刀を持ってる相手だけである。


「あ? やれるもんならやってみろよ」


全く動じないオレに相手はちょっと怯む。


「な、なんねこいつ」

「こん人数わかっとらんと?」


「お前らみたいなの何人いても怖くねえよ。さっさと消えろよ」


少し怯んだ奴もいたが、人数に溺れてしまったようだ。

さらに粋がって絡んできた。


「俺らのこと知らんとか?」

「ボコボコにされたかとや?」

「女置いてさっさと消えろや」


最後の言葉にキレた。


「あ? お前ら何言ってんの? バカなのかな? 置いていくはずねえだろうが。お前らみたいなクズにオレの女を見られてるだけでも不快なんだわ」


「きさん!」

「やったれ」


一斉に飛びかかってくる輩たち。

 

あれ? これ、能力解放なしでもチョロいかも。


避けて、避けて、避けて、避ける。

殴ると面倒だからなー。


時々足を引っ掛けて転ばすくらいにしておいた。

全員を2、3巡くらい転ばせたあたりで声をかける。


「まだやんの?」


「し、しゃあしか!」

「だまっとれ!」


立ち上がりながらまだ向かってくるようだ。

そして仲間のひとりがナイフを出してきた。


「先輩!」

「大丈夫だよ。もう少し離れててね」


6人に向き直り、はっきりと伝える。


「そういうの出すなら、こっちも手を出すからな。転がされる程度で済むと思うなよ」


「死にくされ!」

「おらあ!」


そのあとは一瞬だった。

全員を一撃で昏倒させて一件落着である。


面等は困るが、ナイフを持ったチンピラが街にいるのはよろしくない。

「ナイフ持ったやつらが暴れてる」と警察に通報してからこの場をあとにする。


「怖かっただろ。ごめんな」


ナイフを見て震えていたアキももう立ち直っていたようだ。

頬を赤らめてなんだがぼーっとした表情だ。


「……ナツ先輩、かっこよすぎ」

「いやいや」

「あのね、オレの女って言ってくれたよね」

「そうだっけか」

「言ったよ。オレの女。オレの女。えへへ」


確かめるように繰り返してる。


「あのさ、話の流れだからさ」

「オレの女」

「やめてね」

「えへへ。ナツ先輩の女だ」


これはあれだな、吊り橋効果的なやつだな。


「嬉しかった」

「いやまあ。守れてよかったよ」

「ナツ先輩の女だからなあ。守ってもらえるんだなあ」

「忘れなさい」


ハプニングをこなしてから、ようやくランチだ。

歩きなからやっとみつけたのは、地元の人がこっそり通うという隠れたモツ鍋の名店。


めちゃくちゃ美味しくて驚いた!

二人で大満足のごちそうを頂いたのだった。


―――――――


さて。

ここからだよな。


「あのさ、このあとはどうしようか。約束のごはんは終わったけど」

「ナツ先輩がよかったらまだ一緒にいたいな」


出たぞ奔放ストレート。


「いいけど」

「やった♪」


いつの間にか後輩口調もなくなってるな。

さらに距離感近くなったなあ。

嬉しいぞ。


「でもどうしていいかわからん」

「それは私もだ」


二人で辺りを見渡すと路地裏はちょっとよろしくないエリアでラブホが点在していた。


思わず顔を見合わせ赤面してしまう。


「と、とりあえず表通りに戻ろうか」

「そ、そうだね」


携帯ナビさん、どんなルート推奨してんだよ!


結局、夕方まで一緒に買い物を楽しんだ。

最後にお互いにプレゼント交換をしたのだが、それがかなり幸せタイムだった。


アキはTシャツをプレゼントしてくれた。

オレはジャージのセットアップをプレゼントした。


「ナツ先輩のが高いなあ。いいのかな」

「まあ先輩だからな。ちょっとはいいとこ見せないとね」

「……本当はとっても欲しいです! 嬉しいな! ありがとう!」


うん。これは楽しいわ。

世の中の恋人同士ってこんななんだ。

みんな幸せなんだな。

世の中のカップルが羨ましいぞ。

オレもアキと付き合えたらなあ。


二人でのバスに乗って宿舎に戻る。

楽しすぎて帰るのがちょっと悲しい。


窓の外を眺めながら楽しかった一日と、アキとのこれまでのことを思い出していた。


やがてバスは停留所に到着した。

バスを降りて歩いていると、アキが立ち止まって何かを手渡してきた。


「これあげる」


キーホルダーだった。

竹刀をモチーフにしたやつだ。

剣道のキーホルダーなんて珍しいな。

いつの間に買っていたんだろう。


「へえ、珍しいな! ありがとう。嬉しいよ」


するとアキは嬉しそうに笑ってもうひとつ同じキーホルダーを見せてきた。


「あのね、お揃いなんだ」


マジか。

かわいすぎる。


「オレとお揃いなんていいのか?」

「えーと。あのね、実はね、これね」


赤面しながらアキがポツリと呟く。


「去年買ってたやつなんだ」

「え?」

「去年のナツ先輩の誕生日にプレゼントしたくて」

「え」

「限定販売だったんだよ。並んでゲットしたんだ」

「なんでくれなかったんだ?」

「渡したかったんだけどね。……あのほら、あの頃は私、先輩のファンに目をつけられてたからさ。怖くて渡せなかったんだ」


――そうだったのか。


「……アキがいじめられてたのはオレのせいだったのか」


「いやいや、そうじゃなくてさ。私が距離感おかしかったからさ」

「アキはみんなにそんなだろ」

「……ナツ先輩にだけだよ」


ん?

あれ?


言われてみれば。


オレにはいつもそんなだからそう思い込んでいたけど。


言われてみれば他のやつとそんな感じなのは見たことない……かも。


あれ?

あれあれ?


「……えーとさ」

「うん」

「あの、もしかしてなんたけど」

「うん」

「アキは……オレのこと好きだったりするのかな」

「……うん」


マジか。

こんなことあんのか。


「……ナツ先輩は?」


ひとつ深呼吸。

足りないな。

もうひとつ深呼吸。


「オレもアキのことがずっと大好きでした!」


大きな声でそう告げたのだった。



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