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サンドリヨン・コンプレクス  作者: 三浦 蝶形骨
4/6

そのまんまだ

翌朝、またインスタを開いた。

昨夜、十一枚遡ったところで寝た。

起きたら、また開いていた。

べつに、理由はなかった。

ただ、続きが、あったから。


honoka。

フォロワー427人。

投稿32枚。

フォロー中、283人。


数字を、無意識に覚えていた。

覚えるつもりは、なかった。


どうやら名前はほのかというらしい。

そのまんまだ。


写真を、また見た。

全部、盛っていなかった。

フィルターなし。加工なし。

自分をよく見せようとした痕跡が、どこにもなかった。


私が一枚投稿するのに、何枚撮るか。

何度加工するか。

どの角度で、どの光で、どのタイミングで。


この子は、そういうことを、何もしていない。


べつにいい、と思った。

私には関係ない。


ほのかのフォローしている人間を、一人ずつ確認した。

ただ、確認しているだけだ。


友人らしきアカウント。

カフェのアカウント。

猫のアカウント。

知らないアーティスト。


全部開いた。全部見た。

ほのかが映り込んでいる写真を、探した。


ほのかの友人のアカウントを、三年分遡った。

ほのかが映っている写真が、合計で十枚あった。


全部保存した。


一番古い写真の中のほのかは、今より少し幼かった。

髪が短かった。

同じ顔で、笑っていた。

三年前も、盛っていなかった。

三年前から、そのままだった。


保存した写真を、見た。

端に映っているほのかを、拡大した。


これは、調べているだけだ。

何を調べているのか、うまく言えなかったけど。


スマホを置いた。


悠馬からLINEが来た。

画面の端に通知が出た。

見なかった。


ほのかのアカウントに戻った。

投稿を、最初から見直した。


笑っている顔。

話している顔。

下を向いている顔。

背中。横顔。


全部、そのままの姿だった。



一番新しい投稿。

野良猫の写真。

ピントが猫じゃなくて、背景に合っていた。

キャプションは「またきた」。


おかしい、と思った。

思いながら、また開いた。


ほのかのアカウントの、新着通知をオンにしたのは、その夜だった。


翌朝、悠馬に返信した。

昨日来ていたLINEに、それっぽい内容で返事をした。


送りながら、思った。

昨日、何時間、何をしていたんだろう。


答えは、出なかった。


ほのかのことを、そのまんまだと思った。

名前も。写真も。笑い方も。

三年前から何も変えていないことも。


そのまんまなのに。

なんで、こんなに、手が止まるんだろう。


スマホを開いた。

__honoka__のアカウントを、また開いた。

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