第10話 裏切り疑惑と新たな決意
数日後の放課後、基金チームの教室――
「……ちょっと待って、これって誰がリークしたの?」
陽斗がホワイトボードに貼られたニュースの切り抜きを指さした。
『佐藤陽斗基金チーム、内部で情報漏洩か?』
「まさか……木島……?」
結衣がスマホを握りしめ、少し顔を赤らめる。
「違うよ! 俺は一切……」
木島は無表情だが、眉間に小さなシワを寄せている。
「誰か意図的に仕組んでるんだわ。間違いなく敵の工作よ」
美咲が資料をめくりながら、冷静に分析する。
「こういう時こそ冷静に……って、陽斗は大丈夫?」
玲奈が肩に手を置き、少し身を寄せる。
夜――学校屋上
「……やっぱり来ちゃった」
結衣は小声でつぶやきながら、夜景を見つめる。
陽斗はフェンスにもたれ、夜風に髪を揺らした。
「陽斗……」
玲奈が少し離れた位置から歩み寄る。
「また、企業とかの誘惑か?」
「いや……今回は内部の“裏切り者”疑惑がチームに出てる」
その瞬間、屋上の影が揺れた。
美咲が静かに立ち上がる。
「……でも大丈夫。私がいるわ。あなたを守るためなら何だってする」
その言葉に、玲奈が少しムッとした顔で小さくつぶやく。
「……やっぱり、美咲さんか……」
結衣も負けじと歩み寄る。
「陽斗! あたしもそばにいるから! 絶対、逃げさせない!」
三人のヒロインが、陽斗の周りに自然に集まる。
空気は甘く、しかし張りつめている――まるで嵐の前の静けさのように。
その時、不穏な通知音。
スマホを見た陽斗の目が一気に見開いた。
「……全員のパスワードが……一瞬でログアウト!? 何これ!?」
木島が顔を強ばらせる。
「……やられた……外部から侵入されてる」
美咲が眉をひそめる。
「これは……敵が内部工作を仕掛けてきた証拠ね」
玲奈は拳を握り、声を震わせる。
「……ふざけんな! 誰がこんなこと……!」
陽斗は突然、怒りに体が熱くなるのを感じた。
(……守る……守るんだ。仲間を、家族を、みんなを!)
彼はスマホを叩きつけ、決意を込めて叫ぶ。
「絶対に許さない! 俺が守るから、誰も傷つけさせない!」
美咲:「陽斗、私の言うことを聞いて。あなたの安全も基金も、私が守る」
玲奈:「あたしが一番そばにいるから。絶対、誰にも渡さない!」
結衣:「陽斗! あたしもいるから! 一緒に戦おうよ!」
陽斗の頭の中が、一瞬でヒロイン三人の声と顔で埋まった。
それでも彼は落ち着いて、目を閉じて深呼吸する。
「……分かった。まずは冷静に、敵の侵入を封じる」
その言葉に三人とも、少し肩を落としながらも、微笑む。
屋上に吹く風が、陽斗の髪を揺らす。
彼の胸には新たな覚悟が宿った。
(……俺は、逃げない。誰よりも強く、誰よりも守る。
そして……絶対、みんなを笑顔にするんだ
三人のヒロインと共に、闇の情報戦に立ち向かう――
それが、7兆円を持つ高校生・佐藤陽斗の、新たな日常の始まりだった。




