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聖書を信じていました
信仰の矛盾、宗教の矛盾は、ある時に突然やってきた事では、勿論ありませんでした。何年もかけて少しづつ蓄積していたものです。何年間もの蓄積が、婚約者との破局がきっかけで、それからアラキさんとの事がきっかけで、あれよあれよと崩壊するような感じでした。
「信仰の矛盾」「宗教の矛盾」と言いましたが、それは取りも直さず聖書の矛盾の事でした。六十六の書物からなる聖書一冊に含まれる矛盾のことでした。私が信じた宗教、私が入っていた宗教団体にあっては、聖書こそすべてだったから。誤解がないように書き添えますが、キリスト教全般がそういう宗教だ、という意味ではありません。私が信仰していた部類のキリスト教が、たまたま反理性的で狂信的な信じ方をするキリスト教だったのです。世間では「カルト」と呼ばれても文句が言えないような団体だったかもしれません。
私が所属した団体では、神様を信じる、あるいはキリストを信じる、というよりは、むしろ聖書を信じていました。