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このような矛盾も



このような矛盾も見出されます。『マタイ』の福音書によると、キリストが誕生したとき、外国の貴人たちが星に導かれて赤子キリストと母マリアのいる家に至ります。そして金やお香のような高価な贈り物をします。ところが『ルカ』の福音書では、うんと土臭く語られます。曲がり屋のそれのような、家畜を飼う土間で寝泊りしている親子を、天使のお告げを受けた羊飼いどもが訪う構成になっています。よく、幼稚園のクリスマス劇で演じられる物語は、『マタイ』と『ルカ』の異なるストーリーをミックスして、足して二で割った物語です。(そうそう。世界がどのように始まったかという、『創世記』の記述も、実は、ふたつの異なるお話が隣隣に並んでペーストされています。)


キリストの家系図にも食い違いが見られます。『マタイ』が記す家系図では、キリストはソロモン王の子孫。『ルカ』が載せている家系図では、これがソロモン王の弟、王子ナタンの子孫という事になっています。(『マタイ』の家系図は明らかに細工されたものです。敢えて14という数字を強調しています。ダビデ王の名前を数字に変換すると14になるからです。)


以上、冷静な目で見るなら、決して聖書は完全でありません。矛盾に満ちています。不完全さだらけです。でも、私は熱心に信ずるあまり、熱心に信じたいあまり、こういった事には目をつぶっていたのだと思います。




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