19/35
全然違うストーリー
それで、矛盾の具体例ですが、キリストがはりつけにされた時、彼の左右に二人の犯罪人がはりつけにされました。それほど知られていないようですけれど、十字架につけられたのは一人でなく、三人だったのです。キリストを中にはさむ形で、同時に三人が十字架にかかりました。
さて、『マタイ』と『マルコ』と題する二つの福音書によれば、十字架にかかったキリストに向かって左右の犯罪人が「そんなにお前が偉いのなら、自分を救ってみろ。十字架から下りてみたらどうだ」みたいな言葉で侮辱しました。
ところがです。『ルカ』と題する福音書ではどうでしょう。全然違うストーリーになっているのです。犯罪人の一人が「自分を救ってみろ」と侮辱すると、もう一人の犯罪人は彼をしかりつけます。「罰当たりを言うものでない。我々は自業自得だ。しかしこのお方は処刑される理由がない」と。
その良いほうの犯罪人はキリストに向かって懇願します。「旦那さま。あっしのことを覚えておいてくださいましな」と。すると、キリストが言います。「お前は今日この日、私と一緒にパライソに行くであろう」と。




