崩壊
何?この状況?
ここは表宮の謁見の間、王様が一段高くなった玉座について会議や外交官と応対したりする部屋だ。だからとても広い。
私は広い部屋のどこにいるかというと一番目立つ場所にいたりします。玉座の上です。正確には玉座に座ったジェイドの膝の上でカチコチになりがら頭をなでられています。
そこには高そうな黒猫でしょう!と心の中で突っ込みながらドキマキしております、はい。
客観的に見て私たちって悪役?いや、悪役でしょう。
勝手に玉座に座り、王様を床に転がして、しかも剣を突きたてています。とっくの昔に意識を放棄している王様なのでおとなしいのがせめてもの幸いでしょう。その周りを武装したジェイド配下の猛者が固め、その周りをデン王国の兵士が一重二重に取り囲んでいます。さらに向こう側からデン王国貴族の私兵部隊が詰めかけ、状況は混沌としています。
大丈夫だよね!?ジェイド・・・・・
そう確信?していても不安なものは不安です。
「貴様は完全に包囲された。無駄な抵抗はやめて陛下を開放しろ!」「そうだ、陛下を開放しろ!!下郎め!!」「故郷のお袋さんが泣いているぞ!!」
・・・・・もしかして反乱だと思われてません?ジェイドもそう思ったのか
「皆様!はじめましてヴィーナ王国王太子ジェイドです」
「「「な!に!!!」」」
とたんにざわめく敵勢力!そりゃ、ビックリしますよね。
「一国の王太子ならば国王陛下に敬意を払うべきではないですかな?」「そうだ」「その通りだ」「解放しろ」
好き勝手言う敵さん・・・え、戦争してるんだよね?
「何か勘違いされているようですね・・・私はデン王国国王に選出されてここに来たのですよ」
「な、何を言っている?!」「我が国王はそこにいるではないか!」「気がふれたか!!」
再び好き勝手いう以下略
「気がふれているのはそちらでしょうに・・・・まあ、私が王位継承権を持っているのはそちらもご存じでしょう」
「・・・・たしか11、いや、12位でしたかな?どちらにしても低すぎます」
「12ですよ。でも、貴族の多数の支持があれば3代目国王のように即位できます」
「馬鹿な!!」「100年以上昔のことではないか!」「いや、そもそも国王陛下は健在であるではないか!」「我らが貴様を支持することはあり得ん」「「「そうだ。そうだ」」」
いきなりざわめきを通り越して収拾不能な状況へとなってしまう直前、ジェイドはぼそりと言った。
「まもなく、デン王国が滅びるとしてもそのようなことが言えますか?」
その言葉だけが驚くほど耳の中に入った。
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」
いきなり、沈黙する面々。いや、すぐに
「そんなバカなことがあるか!!」「我らは勝っているのだぞ!」「すぐにヴィーナ王国など滅ぼしてくれる!!」
血気盛んな声が上がる。
「いえ、もうチェックメイトです。すでに前線の部隊は壊滅し、数万規模の軍が迫っています」
「そんなバカなことがあるか!!」「虚言だ!惑わされるな!!」
「いいえ、事実です。各国の残存戦力や貴族の私兵部隊、そうそう、この国の一部勢力も我が方に下っていますよ」
「馬鹿な!」「そんなわけあるか!」「もう少しましなウソを・・・・ゲフ!」
まくしあげていた貴族たちが一斉に斬られる。
「「「な!!」」」
茫然とする貴族と率先してこちらに向かってくる貴族、比率は3対1くらいか
「陛下、我らは陛下の忠実な配下です」
次々と頭を垂れる造反貴族たち。膝の上で見ていても信じられない光景だ。
「な!レイド伯爵!貴公まで何を!」「コーフェン子爵!何をしているか分っているのか!!」
次々と非難する貴族の面々
「今朝方はやく、所領から早馬が来たのだ。所領の城が落城した。数千規模の兵だったそうだ」「こちらにも同様の報告が」「統合すると万を超える規模の軍が接近していることは間違いない」
ザワザワ・・・・・・・
造反貴族の告白にざわめき出す貴族たち。
「私が処分を言い渡すのは、5家だけです。他の貴族の所領は安堵します」
「そ、その5家とはどこですか?」「お教えください!」
さらにざわめく貴族たち。・・・ろくな人間いないんじゃないの?ここには
「宰相ヒュバイン家、大臣ヒムラー家・・・・・・・」
次々と呼ばれる有力貴族。中には王家への忠誠を叫び周囲に助勢を求める者もいたが、誰も積極的に動かなかった。嬉々としてその貴族を捕まえようとする者もいてしばらく剣戟が響いた。そして5家の当主とその係累20名ばかりが縄にかかったところで、事実上、前国王となった人物が目を覚ました。
「何をしておる!!わしを助け出さんか!!」
しかし、いくら叫んでも誰も動こうとはしない。状況が飲み込めずキョトンとしている前国王は縄をとかれ、そのまま連れて行かれる。まだ何が起こったか分っていないらしくしきりに周りを見回している。
「たしか西宮が空いていましたね。そこで隠居していただきましょう」
そう言うとジェイドは改めて玉座に座りなおし、自分の手で王冠を自身の頭に載せた。
「「「デン王国、万歳!!新王陛下、万歳!!」」」
もしかしたら歴史的な場面なのかもしれないが、私にはうすら寒くなる光景が広がっていた。
勢いだけでスイマセン。もう少し推敲すべきですね




