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城塞攻略の現場にて 4

あんまり良い出来ではない(断言)

「どうした」「どうなっている!」「反乱だ!」「放火しているやつがいたぞ!」「騎士の連中が斬りかかってきやがった!!」「殺せ!」・・・・・・


未だ、状況が把握できていない城塞は責任者不在も相まって急速に混沌から冷戦、熱戦へと規模を拡大していった。随所で斬りあいが始まり、収拾の気配はまるでない。


「これは、仕込が利きすぎましたか」

そうつぶやくのはジェイド。比較的人のいない尖塔の最上階で眼下の光景を眺めている。

「古の王はこういう状況でワインを嗜んだといいますが、そんな気分にはさすがになれませんね」

「王子」

突然背後から声をかけられるが、振り向きさえせずに

「準備はできましたか」

「はい、後は王子が乗車するのみです」

「では、行きましょう。あんまり無駄に殺し合いを見たくはありませんし」

そういうと背後にいた男と2人で尖塔を後にした。



未だ鳴りやまない喧騒、未だおさまらない火災、城塞は断末魔に似た叫びを響かせながらその度合いを少しずつ弱めていった。騎士団と傭兵たちは互いにけん制しながら落ち着きを取り戻しつつあるように思えた・・・が


『ズウウウウウウウウン!!・・』

突然の轟音と共に城壁の一部が崩れ落ちた。そして、

「はあっ!!」

「「「「「!!!」」」」」」

数台の荷馬車が数十人の傭兵らしきもの共を従えながら崩れた城壁から脱出した。これ見よがしに金貨をばらまき

「ははは、あばよ!!」

「先におさらばするぜ!!」

「騎士と仲良くやんなよ」

それぞれ軽口をたたきながら去って行った。それを見て百数十人が金貨を拾い後に続いた。


そのとき、ギロリという擬音が聞こえたような気がした。傭兵は金が目当てのものが大半であり、混乱した状況では城塞の金品を強奪し、逃げるというのも当然の選択だったからだ。

傭兵たちは血走った目で最初に地面を眺め、幸運な数十人が脱出し、次に貴重品が収められた塔を眺め、突撃していった。そしてあぶれた数千人が目の前の騎士を獲物のように眺め、状況に恐怖した数千人がそのまま城塞を逃げ出した。


炎は収まらず、喧騒はますます深まり、文字通り、城塞が震えた。


事態を収拾できたのは夜が明けた直後であった。騎士団の副長を中心に千数十人が集結し組織的な取り締まりを開始したからである。やっとの思いで暴動を収拾し、火災を鎮火した後にはただ重々しい現実が待っているだけであった。


「被害は?」

「死体は1000人とすこしといったところでしょう。負傷者は3000名を超え、半数以上が重傷です。さらに逃亡が5000名に届くか届かないかくらいですね」

「そうか・・・あまり質が良くないとは思っていたが、これほどとはな」

「それから城壁の修理はすぐには無理です。材料がありません。さらに食糧庫も火災に巻き込まれ80パーセントが焼失しました」

「・・・・聞かなかったら状況は変わるか?」

「変わりません」

「そうだよな・・・さてどうするか・・・」

「緊急!!!東から大軍が出現!軍旗は・・・・ヴィーナ王国軍!!王太子の将軍旗も確認!!数は数千!!しかし後方にも多数の軍旗が並んでいます!!」

「馬鹿な!!」

「誤認ではないのか!」

「おしまいだ・・・」

さすがの騎士たちも想定外の状況に右往左往しているうちに数千の軍勢が正面ゲートの前に威圧するように隊列を組んだ。


「なんというタイミングだ」

「まさか、昨日の内乱騒ぎは奴らの策謀であったのか?」

「いや、それ以上にあの山を越えてきたのか?そんな馬鹿な」

「あれは本当にヴィーナ王国なのか」

騎士団の幹部クラスの者たちでさえ現実を認識しきれていない。とそこに

「大変です!敵陣から単騎でこちらに向かってくる兵がいます!!」

「「「「なんだと!!」」」」」

慌てて正面ゲートに集まる。そこで見たのは豪華な騎士姿で身を固めたジェイド王太子であった。


「門を開けられよ!すでに勝負はついた!門を開けられよ!」

裂帛の気合の入った大声というわけではないのに不思議とその声は響いた。

「ふざけるな!」

一人が激昂して弓を射る。矢は王太子の頬をかすめたがまるで何事もなかったように歩みを続ける。

すると

まるで

王子を受け入れるように門が開いた。なだれ込むように王国軍が迫る。


「な、誰が開けっていいといった!?」

「早く閉じろ!!」

「お静かに。王者が入場されるのです。それ相応の礼儀というものがあります」

「「「「!!!」」」」

いきなり背後から10数人の男たちが剣を構えて立っていた。

「いつの間に・・・・」

「昨夜からでございます」


こうして城塞は落城。直接軍同士が剣を交あわせたわけではなかったが1万人いた軍は1000名程度まで減らされ南下していた。文字通りの敗走であった。そして勝者たるヴィーナ王国軍はさらに北の城塞を占拠し籠城。はるか南と北とで長い睨み合いが始まった。しかし、そこにはジェイドの姿はなかった。

すいません、拙文で。もうちょっと迫力が出るかと思っていたのですが・・・

今度はまたレイちゃんが活躍します。感想をお願いします。

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