城塞攻略の現場にて 2
この城塞の正面ゲートは開けっ放しになっていた。これは何も特別なことではない。というか閉じられることが稀であった。なぜなら安全な後方拠点と考えられたからである。東は冬の時期は誰も登ってこない3000メートル級の山々が広がっていたし、前線ははるか南の彼方、北・西はすでに制圧を終え、しかも1万の将兵がこもる城塞に誰が攻め込むというのか。そういった調子で真昼間から酒を飲むもの、兵装を脱いで休憩するもの、それぞれ多数にのぼり、一言でいうとたるみ切っていた。城塞の正面ゲートを守る門衛たちでさえ、
「暇だな・・・」
「いいことじゃねーか」
「寒いな・・・」
「だからこうして焚火に当たってるんだろうが」
「何で俺たちこんなところで門衛なんかやってるんだろう」
「格好がつかないからじゃないか」
「そうか」
「そうだ」
「・・・・暇だな・・・」
「お、イモが焼けたぞ」
「いただく」
「ん」
平和すぎて緊張感がまるでない。すぐそばで戦争のもとが蠢動していることも知らずに・・・
「ん?あの土煙はなんだ?」
「南側か・・前線でなんかあったかな?」
『ガラガラガラ』
近づいてきたのは商隊の荷馬車らしき馬車が一台、かなり傷ついて状態で迫ってきた。
「な、なんだ。止まれ!」
「止まれって言ってんだ!!」
慌てた様子で門衛の二人が声を上げる。しかし、止まるどころかスピードも落とさず荷馬車は迫る。
「おい!!」
「止まれ!!」
「助けてくれ!!」
「「え?」」
突然、助けを求められて戸惑う門衛。その間にも荷馬車は迫ってくる。
「やばい!」
「危ない!」
ついに門衛の眼前まで接近すると
『ブヒィーン』
馬が悲鳴を上げ、荷馬車は停止する。見ると頭から血を流している男が倒れていた。
「おい、大丈夫か」「何があった」
慌てて駆け寄る二人。男は震える声で
「頼む・・家族を救ってくれ・・」
といった。
「つまり彼は商隊員の一人ということか」
「そのようで」
うむ、と答えた中年の騎士はこの部隊を統率するデン王国第2騎士団長、もう一人の少し若い騎士は副団長である。
「証言によりますとモンスター4・50体に襲われたようです」
「モンスターか・・・雪狼あたりかな?」
「そのようです」
「ふむ・・・商隊員は報酬については?」
「ええ、家族の命がかかっているらしく、すべての金品と商品を最低限を残し、すべて報酬に出すと言っています」
「ふむ・・・」
「実は傭兵団のほうから是非出撃させてほしいとようぼうが・・」
「実にいやらしい奴らだ。よし、傭兵に出撃を命じよう。たるんだ体にはいい活になるだろう」
「はっ」
歴史に、もしはない。しかし、騎士団長が保護された商隊員にあっていたならこの先の展開は変わっていたことは確実であった。なぜなら商隊員は・・・・・・
そして何も知らないまま出撃していった傭兵部隊は数百名に及んだ。全員が金品に目がくらんだ者たちだ。それほど腕の立つ集団ではなかったが、それでも数百名の部隊である。
それが誰一人生きた帰ってはこなかった。しかし、それを城塞に残った兵士たちは知ることはなかった。
これが城塞が陥落するわずか二日前の出来事であった。
むずかしい。アドバイスをくだされ!!




