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城塞攻略

「そういや名前聞いてなかったな」

「レイ・エヴァン、アンタは?」

「アルバートでこの辺りじゃ、とおているよ。もちろん偽名だが」

「偽名かよ。本名は」

「言わないのがロマンだぜ。ええと、北東部での戦いについてだったな。すまないが書類はすぐ焼却してしまうんでね。今からいうかからよく聞いててくれ」

意外とチャライスパイだな。大丈夫か?そう思いながら耳に神経を集中させた。


今から約一週間前、北東部内陸部の城塞ポップは旧ノルド王国の国境防衛用の城塞でヴィーナ王国につながるラルド山道と北東部を南北に結ぶコーエル街道をおもに監視していた。ただし、冬の時期は山道が不通になるので監視は街道のほうに集中していたようだ。

山道はもともと整備が不十分で悪路として知られていたが、冬の時期、特に山が冠雪すると全く人も通らなくなり獣でも通ることはできないといわれるほどの危険な道になる。しかも元が3000メートル級の山々。この時期に使うことは正気ではない。

実際の作戦は過酷で2000名いた兵士も山脈越えをしたときには1700名に減っていたらしい。それに対し敵城塞には1万の兵士が詰めていた。状況は絶望的ですらあった。


こんな辺鄙な城塞に1万の将兵が詰めていたのは酔狂ではない。春期の北東部最後の独立国家ヴィーナ王国攻略の搦め手、山道を通りヴィーナ王国を背後から突く強襲部隊であった。総数5000名に過ぎないヴィーナ王国に対し海岸線から2万の主力部隊、内陸部から1万の強襲部隊、確実にデン王国の勝利をもぎ取ろうとする姿は執念さえ感じた。本来なら電撃的に冬を迎える前には決着がついているはずだったが、突然、海洋国に港町の一つが租借された為、その対応に戦線は膠着、ついに冬を迎えてしまったのだ。


デン王国には電撃的な勝利が必要不可欠であったことはヴィーナ王国情報機関分析であきらかであった。北東部最大の軍事力を持つとはいえ、騎士団の規模は一万人をわずかに超える程度、現在の総数3万は傭兵を大量雇用によって賄っているのである。すなわちデン王国には金がない。早期に決着をつけて組織的反攻の目をつぐまなければならないのだ。しかし、海岸部ではいやらしいほど防備を固めたヴィーナ王国軍、対処不能な海洋国が控えている。長期戦になる確率が高い。そこで手薄な内陸部からの進行が計画されたのであった。


結果的にはその手は悪手であった。兵士たちにとっては前線から安全な後方へ下がったような感覚だったし、常識的に考えれば間違ってはいない。城塞に入った兵士の士気は大きく下がっており、しかもそのことを誰も心配していなかった。


緊張感が襲ってきたのは数台の商隊の荷馬車が突然城塞内に突入してきた時だった。

「どうした?大丈夫か?」

商隊隊員らしき数人の人物は皆、大小傷を負っていた。

商隊員は口々に訴える

「魔物に襲われた」

「4,50体くらいいた」

「いまも仲間が家族を守りながら戦っている」

「商品、金品を全部渡してもいいのでどうか家族を救ってほしい」

「馬車を飛ばして半日の距離の場所で戦っている」


傭兵たちはどよめく、小さな商隊とはいえすべての金品だけで金貨数十枚は持っているはずであるからだ。

傭兵たちは口々に助けようと訴える。しかし、彼らは気が付かなかった。商隊員の誰も重傷者がいないこと、あまりに彼らが冷静であったこと、まるで訓練された兵士たちのように掌に剣ダコがあったことに・・・


傭兵たちの数百人が救出部と称して出発したのは日も傾いた時刻であった。そして彼らの誰一人生きて帰ってはこなかった。



救出部隊の軍装で戻ってきた部隊が城塞に姿を現したのは次の日のかなり深夜の時間帯であった。

「おお、どうだった?」

門の警備をしていた兵士が声をかける

「・・・・・・・・」

誰も返事をしない

「おい、どうし・・・・」

彼の腹部には数本の槍が刺さっていた。

そのまま、無言で城塞内に入る兵士。すると同時に城塞内の各所から火の手が上がる。2,3人のくらいの集団分かれると口々に

「反乱だ!!」

「傭兵どもが反乱を起こしたぞ!!」

「いや、騎士の一部の裏切だ!!」

「反乱だ!!」


「なに!!」「本当か?」「反乱軍が東棟を占拠したぞ」

流言が流言を呼ぶ。まさかヴィーナ王国軍が進出しているとは思っていない。


城塞内は壮絶な同士討ちに発展した。その間ヴィーナ王国軍は地下の食料庫周辺を占拠するとそのまま城塞外に脱出、それにつられるように多くの傭兵が逃げ出した。残ったのは2000名の兵士のみ、しかも無傷の兵士は一人もおらず、しかも多くの食料が強奪され籠城は不可能。城塞は無力化された。


隊列を整えたヴィーナ王国軍があらわれたのは城塞の鎮火が終わった直後、残った兵士の疲労がピークの時間であった。

騎士団の正装で城塞正面からまるでそこに敵がいないかのように行軍してくる姿は、敵の戦意を粉砕した。

そこにたった一騎で城門に向かってくる騎士がいた。

「我はヴィーナ王国王太子ジェイド!!すでに勝負はついた!!城門を開けられよ!!」


数秒ののち城門は軋みを上げながら開いたという。

むずかしい・・・伝聞形式はダメっぽいです。

三人称で書き直してまたあげます。

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