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幕引き、あるいは幕間

おっさんの遺体はまるで待ち受けていたかのように短時間でかたずけられた。私はその様子をただただ呆然と眺めていた


「自殺・・・・ということで処理されるようです」

気づくと私以上に青白い顔をしているジェイドが立っていた。

「そんなわけないじゃない!!おっさんは殺されたのよ!あの魔導・・」

「だめです!!それを言っては!!・・・・すいません。私も気が立っていたようです。遺書・・があったそうです」

「遺書?!それって本物?いえ、例え遺書があっても自殺するような人じゃない!腹黒で、打算的で、失礼千万な奴よ」

「褒めてませんね」

「だって褒めるとこないもん!」

「・・ふふふ、ありがとうございます。少し元気になってきました」

ふふ、私は空気が読める女よ?


少し落ち着いたので店に入って苦くて温かいお茶を飲む。

「で、実際のところ自殺?そんな軟な人じゃないけど?」

「・・・切り替え早いですね」

「いい女は過去を振り返らないの!」

「ふふ、いや失礼。あなたといると退屈しませんね。それがうれしくて」

あ、なんか顔色戻ってきた。

「・・・なんか馬鹿にされてる?」

「とんでもない。褒めているんですよ」

「・・・・まあいいわ。で、おっさん殺した犯人って誰?ひょっとしなくても私たち狙われるんじゃないかしら?」

「ほんと神経太いですね・・・まあ、狙われるでしょうね。レイさんはどうします?自分の身は守れますか?」

「そんなわけないでしょう。私は非力なお嬢様よ。だからこうしてデートしてるんでしょう」

「え!そんなに私を頼りに・・なぜか感動できますね」

「ええ、何かあったらあなたを盾にして逃げるから少なくとも数分は頑張ってね」

「すいません・・・非力で」

すっごい涙目になっている。

「冗談よ。あなたについている護衛に期待してるの!!そんな顔しないで!私がいじめてるみたいじゃない」

「・・・よくわかりましたね。少し離れてもらっているのですが・・」

「いや、勘だけど」

「ギャンブラーですね」

彼は苦笑して

「話を戻しますと・・・シリウスおっ、もとい将軍は、十中八九、デン王国上層部に殺されたと思われます」

「?あれ?おっさんてデン王国の人じゃなかった?しかもお偉いさんでしょう?てっきりヴェール帝国とかがやったとおもっていたんだけど・・・」

「まあ、その可能性もないわけじゃないんですが、こんなに早く殺す必要がないんですよ。それよりは生かしておいて各国の相互不信を広げていったほうがいいですし」

「そんなもん?」

「そんなものです。デン王国としてはシリウス将軍が個人的に不正な武器輸入を行っていたということにしておきたいんでしょう。無事に薬も届きましたしどさくさに紛れて事の収拾を図るんでしょう」

私は怒りにかられて

「そんなこと許していいの?あなたも偉いんでしょう?きっちり方をつけないと」「もちろんそのつもりですが、今は時期が悪い・・・」

ジェイドは少し悔しそうだった。

「時期?」

「ええ、はっきり言って大陸北東部は最西端のデン王国を除いて大混乱しているのです。疫病は人口密集地で驚異的な感染力を持ちます。各国首都はほぼ機能を停止状態。騎士団も各地の感染の対応で余力がほとんどありません。この状態では何を言っても無視されて終わりです。デン王国も犯人死亡ということで幕引きを図るでしょう」

「それじゃあ筋が通らないわ!!いいのそれで・・・」

最後は泣きそうになってしまう。おっさんは死んで、もしかしたら黒幕がのうのうとしているなんて・・・

「・・・・仕方ないんです」

「・・・・大人って汚い生き物・・ね・・」

「反論できません・・・」


私の目の前には琥珀色の酒の入った酒瓶が置かれている。

「これは別れの酒と呼ばれる18年物の蒸留酒です。これでシリウスのおっさんを送りましょう」

「私、12歳なんだけど・・・」

「まさか飲めないこともないでしょう?」

「まあね」

船上生活の生水は少ない。水も腐ってしまうからだ。その為、ラム酒などのお酒が水替わりとなることが多い。よく海賊船が酒を飲んで騒いでいるイメージがあるがあれは半分は必要だから酒を飲んでいるのだ。

「でもこれ、シリウスのおっさんの追悼になるの?」

「さあ?聞いてみないとわかりませんね。でも自分の分のグラスがあれば喜ぶでしょう」

そういうと三つのグラスを取り出すとそれぞれになみなみと注ぐ。


注ぎ終わるとジェイドが

「では、何か一言、シリウスのおっさんにいって飲み干してください。こちらの風習ですので。まずは私から・・・不幸な野心家のシリウス将軍に!」

そう叫ぶなりグラスになみなみ注がれた蒸留酒を一気に飲み干す。

「ええっと。傲岸不遜なシリウスのおっさんに!」

喉から焼けるような熱さが体中に回る。

『くそ生意気な二人の若人に!』

そんなおっさんらしい皮肉が聞こえた気がした・・・

深夜に書いた分のテンションがおかしいことに気づきました。あとで直しておきます。

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