幕開け、開戦
12歳の体には蒸留酒はきつい。気が付くとふかふかのベットに寝かされていた。どうやら酔いつぶれてしまったらしい。見ると腕には見慣れない銀製の腕輪がつけられていた。
「なにこれ?」
周りを見回すとその答えはすぐ見つかった。
『昨日、話していた幸運のお守りです。仕事でもう出かけますので先に渡しておきますね。お礼はいいですよ。いつでも受け付けていますので・・』
・・・催促されてない?お偉いさんなのにケチくさ!!
1週間後、相変らずジェイドは姿を見せない。とっくに船倉の医薬品はすべて運びだされて所謂空荷という状態だ。しばらく空っぽの船倉を抱えたラファール号を見上げてケチなんて人ことは言えないなと思った。ラファール号は商船である。だからというわけではないが何も積まずに港を出ることは非常に不経済だ。
「こんなことはほとんどないんだけど・・・・ね。船長、今回ばかりは空荷で戻りましょうか?」
「そうだな・・・」
隣に突っ立っている船長はかなり難しそうな顔をして考え込んでいる。なんせこの港には詰める荷がないのだ。どんな港にも余剰物資や商会からの輸送の依頼が必ずあるのだが、疫病の影響で物流はかなり滞っておりほかの港に運ぶものがない。
「・・・まさかここまで酷い状況とはな・・・・」
船長はぼやいています。そうだよね。12年生きてきた中でも何度か疫病騒ぎはあったけど、いくつかの町が封鎖されただけで物流がここまで滞っていたことはない。
「でも、いつまでここにいるわけにもいかないんですよ?」
「そうだよな・・・」
間もなく寒波が来る。するとここの港は凍結してしまうらしいのだ。
「北東部には不凍港はないって聞いてはいたんだがな。こんなに早くくるとはな・・・」
う~ん。このままここにいてもお金はかかるし、空荷で行っても大赤字。難しい判断がつきつけられている。
「この辺りの港のことも聞いたけど、どこも同じような状況らしいですよ。まあ、北部で少しは儲けているし、冬の間ここに足止めっていうのも寒くて死にそうですし」
「仕方がない。今日一日で出港準備を整えて明日昼に出港!依頼がなければこのまま南へ向かうことにしよう」
「北部で今の時期っていうとお酒か、建設資材ってとこですかね?」
「そんなとこだろうな」「儲かりませんね」「儲からないな」「「はあ~」」
二人そろってため息。商船ラファール号はけして裕福ではない。最初の何年かを除いて赤字は出していないが大儲けもまだない。船長はそれでも私がこの船に乗ってから大分マシになったという。どんだけ前、不幸だったんですか!船長!!
心の中で突っ込む私。はあ、私、幸運のお守り2つも持っているのにその効果はいつでるのか・・・それとも現れないのか・・・神様!私に幸福を授けたまえ・・・
・・・!!三度、信託が降りる!あれ私、神様に愛されてる!?
『今、手が離せません。ちょっとめんど・・ゲフンゲフン!・・信じれば運なんて必ず開けます!信じて頑張ってください!』
愛が遠い!!!!神様~~~~!
「すいません!依頼ってできます?」
!!じぇ、ジェイドさん!!あなた、今までどこに?いや、今なんて言いました?!
リアクションのない私たちに不安になったのか
「あれ、もう今後の予定って決まっているんですか?もしそうなら・・」
といってきた。
「「ちょっと待った!」」
私と船長は同時に叫んだ。私たちは叔父、姪の阿吽の呼吸でジェイドを囲む。
「「くわしい話を聞きましょうか?」」
「え?ええ。わかりました。実は・・・」
「大変です!!」
おい!私たちはこれから大事な商談だ!少し黙ってろ!と念を込めた視線を乱入してきたこの町の役人におくる。しかし、12歳の殺気なんて小っちゃい子が怒っているようにしか見えないのか完璧にスルーされる。
「何事です?」
ああ、ジェイド!貴方なら分かってくれると信じていたのに・・・まあ、そんなに期待していなかったんだからね!
「それが、それが今、遠距離魔術で放送がありましてね。確実な情報ではないんですが・・デン王国が隣国レイキャビク王国に侵攻を開始したと・・・」
「「「なんだって!!」」」
累計300アクセス超ありがとうございます。つたない文章ですが勢いだけで書き上げたいと思います。
3/4誤字修正




