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幻覚教育  作者: 月海みやび


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3/12

Case3

目には目を、歯には歯を⋯

暴言には暴言を、暴力には暴力を⋯


犯した罪の重さは、痛みを体感しなければ理解出来ない。


ならば、痛みを知ればいい。

そして、自らの過ちを悔い改めよ⋯


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うるせぇな⋯!泣くんじゃねぇ!」


手を上げようとした時、インターホンが鳴る。


「ちっ⋯静かにしてろよ⋯!」


イライラしたまま、扉を開ける。


「⋯誰だ、お前?」

「幻覚教育管理局から参りました。」

「は!?幻覚⋯何だって?」

「⋯幻覚教育管理局の久世と申します。」

「何だか知らねぇけど、何の用だよ?」

「虐待の通報を受けて参りました。」

「は!?虐待なんかしてねぇよ!帰れ!」


扉を閉めようと手を掛けるが、阻止される。


「相馬謙悟さん、あなたは幻覚教育を受けなければなりません。」

「知らねぇよ!何で、俺が⋯!」

「痛みを、理解する為です。」


強い力で押さえつけられる。


「っ⋯!ふざけんな!離せ⋯!」

「⋯玄関先ですが、致し方ありませんね⋯。」


あっという間に拘束され、床に転がされる。


「っ⋯!てめぇ⋯!ふざけんな!」


暴れる俺に構わず、ゴーグル一体型ヘルメットを被せてきた。


「何だよ、これ!?」


一瞬目の前が暗くなり、すぐに懐かしい景色が浮かび上がる。

目の前には、優しかったはずの父親が凄い形相で睨みつけてきていた。


『っ⋯父さん?』


戸惑いながらも、そっと声を掛けてみる。


『うるさい!泣くんじゃない!』


聞き馴染みのある口調で、聞いた事のない怒号を浴びせられる。


『っ⋯父さん⋯どうしたんだよ⋯?』

『黙れ!』


飛んできた拳に、目を丸くする。


大好きだった父親からの、数々の罵声と暴力。


『っ⋯』


その勢いに、ただ黙って耐えるしかない。


⋯そうか、俺がしていた事か⋯

俺を慕ってくれていたアイツに、力任せに怒鳴って⋯

⋯殴られるのって、こんなに痛くて怖いのか。

⋯蹴られるのって、こんなに苦しくて辛いのか。


「⋯悪かった。」


思わずこぼれた言葉を聞いて、父親が一瞬微笑んだ気がした。


「虐待される子供の気持ち、理解出来ましたか?」


瞬きをした瞬間、目の前には仏頂面の女が立っていた。


「⋯ああ。もう二度としない。」


しっかりと目を見て頷く。


目の前の女が、微かに笑みを漏らした気がした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「報告します。虐待の罪で幻覚教育対象者となった、相馬謙悟ですが⋯。その後は、優しい父親として良き家庭を築いているようです。これにて、幻覚教育を終了致します。」

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