Case2
目には目を、歯には歯を⋯
暴言には暴言を、暴力には暴力を⋯
犯した罪の重さは、痛みを体感しなければ理解出来ない。
ならば、痛みを知ればいい。
そして、自らの過ちを悔い改めよ⋯
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玄関のチャイムが鳴り、時計を見て首を傾げる。
「こんな昼間から、お客様⋯?珍しい⋯」
インターホンを覗き、声を掛ける。
「はい、どちら様でしょう?」
「幻覚教育管理局から参りました。久世と申します。桐島祥子さんにお話が⋯。」
「⋯?今、開けますので⋯」
得体の知れぬ不安を覚えながら、そっと中へ招き入れる。
「何でしょう⋯?」
「桐島祥子さんに、万引きの疑いがありまして⋯。」
「っ⋯!わ、私⋯万引きなんて⋯」
「事実を確認する為にも、ご協力願えますか?」
「っ⋯な、何をしたら⋯?」
「そちらのソファに掛けて頂ければ⋯。」
不安な気持ちのまま、ソファに腰を下ろす。
「念の為、拘束させて頂きます。」
「っ⋯!?こ、拘束⋯?」
「幻覚教育を安全に最後まで受けて頂く為ですので⋯。」
素早い手つきで拘束され、ゴーグル一体型のヘルメットを被せられる。
「では、万引きされる世界へ⋯。いってらっしゃいませ。」
一瞬で見慣れた個人店へと、景色が変わる。
『クソっ⋯!また盗られた⋯!』
『⋯店長⋯』
『⋯お前が盗ったんじゃないだろうな?』
『えっ⋯?ち、違います⋯!私、盗ってません⋯!』
疑いの眼差しが、心に刺さる。
『まさか、サボってたのか!?』
『っ⋯!さ、サボってないです⋯!』
『じゃあ、何で万引きに気付かなかった!?』
『っ⋯それは⋯』
何で気付かなかったかなんて、聞かれてもわかるわけがない。
『お前、バイトだからって自分には責任がないと思ってるんじゃないだろうな!?』
『っ⋯そんな事、思ってません⋯!』
『なら、減給されても文句はないな?』
『っ⋯!困ります⋯!減給なんてされたら⋯』
『こっちだって困るんだよ!個人店なんだから、一つ万引きされるだけでも痛いんだ⋯』
いつもは温厚な店長の怒鳴り声に、足が竦む。
⋯私、軽い気持ちで万引きしてた⋯
でも、万引きされたお店は⋯
⋯何てことをしてたんだろう⋯
「っ⋯ごめんなさい⋯」
申し訳なさで、心が痛む。
不意に、視界が自宅へと戻った。
「万引きの重さ、理解出来ましたか?」
「⋯はい⋯申し訳ございませんでした⋯」
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「報告します。万引きの罪で幻覚教育対象者となった、桐島祥子ですが⋯。その後、万引きした商品の代金と慰謝料を持って謝罪に行ったようです。それ以降、万引きは確認出来ません。これにて、幻覚教育を終了致します。」




