Case10
目には目を、歯には歯を⋯
暴言には暴言を、暴力には暴力を⋯
犯した罪の重さは、痛みを体感しなければ理解出来ない。
ならば、痛みを知ればいい。
そして、自らの過ちを悔い改めよ⋯
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『なぁ、金貸してくんない?』
『は!?何で、俺が⋯!?』
『良いじゃん!すぐ返すからさ!』
『っ⋯わかったよ⋯』
圧に押されるがまま、お金を渡す。
それが、地獄の始まりだった。
『玲央〜!金貸して?』
『っ⋯この間貸しただろ?⋯まだ返してもらってないんだけど⋯』
『まとめて返すからさ!な?いいだろ?』
結局、断りきれずにお金を渡した。
⋯これでいくら貸したんだ?
⋯本当に返してくれるのか?
不安が渦を巻く。
『あっ⋯!玲央〜丁度いいとこに!金貸して欲しくてさ⋯!』
『っ⋯もう貸す金ないよ』
『嘘付くなよ〜!』
笑いながら、財布を奪われる。
『やっぱりあるじゃん!』
お金を抜き取られ、空の財布が投げ渡された。
⋯何で、俺が金貸さなきゃなんないんだよ⋯
不満がこみ上げる。
『玲央!金貸して!』
『もうない』
空の財布を渡す。
『うわ、マジで空じゃん⋯だったらさ、親の金⋯持ってこいよ?』
『は!?何言ってんだよ!?そんな事、出来るわけないだろ!?』
『出来ないじゃなくて、やるんだよ!』
腹に痛みが走る。
⋯蹴られた、のか⋯?
涙が滲む。
『玲央、金持って来たか?』
震える手でお金を渡す。
⋯ごめん、父さん⋯
⋯ごめん、母さん⋯
罪悪感に押し潰された。
これ以上、もう耐えられない⋯
「藤堂玲央さん、いじめられる人の気持ちは理解出来ましたか?」
滲んだ視界に映るのは、金を要求してくる奴らじゃなくて⋯
「っ⋯ああ⋯」
力なく頷く。
そうだ、俺が軽い気持ちでしていた事だ⋯
された方は、こんなにも辛い⋯
少し考えれば、わかるはずだったのに⋯
自分がされて、ようやく気付いた。
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「報告します。いじめの罪で幻覚教育対象者となった、藤堂玲央ですが⋯。その後、借りていたお金を全て返し⋯本人とご家族に謝罪したようです。⋯許されなかったみたいですが、今後も誠意を持って謝罪を続けるそうです。」
「そうか⋯。許されなかったか⋯。」
「仕方がありません。それだけ、苦しめていたという事です。」
「そうだな⋯。⋯君は、もう赦されてもいいのではないか?」
「っ⋯いいえ。私は、一生赦されてはいけない罪を犯しましたから⋯。」
「だが⋯」
「これにて、幻覚教育を終了致します。」
「⋯久世くん。君が自分を赦せなくても⋯。私は君を赦したい。⋯きっと、娘も⋯。今の君を見て⋯」
「っ⋯失礼致します。」
逃げるように、部屋を後にする。
⋯私は、赦されてはいけない。
⋯私の犯した罪は、赦されてはいけない。




