私の出番じゃありません
サブタイトルの通りミアカは一度も出てきません
主に斗黄sideとなります(^^)
no side
煌びやかな広間。そこに置いてある調度品のどれもが国一番の職人が意匠を凝らして作り上げられたのであろう。花瓶一つ取っても優美さを欠かしていなかった。
その広間の中央にはこの部屋の調度品とでさえ一線を画すような椅子――王座が佇んでいる。
「――勇者はまだ来んのか?」
その時、王座からしわがれた声がした。
正確には王座に座っている枯木のような老人だ。老人は苛立たしそうに持っていた杖で床を叩く。
「申し訳ございません。召喚の準備が整っておらぬ故今しばらくお待ちくださればと」
「遅い!魔導師どもは何をやっておるのだ!?」
どこからともなく――老人の視界には入らないくらい遠い場所だった――で礼をしたまま動かない男が応えると老人は利かん坊のように叫んだ。
それを宥めるように男――家臣らしき人物――は続ける。
「しかし、魔導師の準備も直に終わります。そして勇者が召喚された暁には――陛下がこの世の覇者になりますでしょう」
「‥‥うむ。それもそうだの。余がこの国だけでなくこの世界の主になることには些末な事か。」
「仰る通りでごさいます。全ては貴方様の命ずるままに」
家臣の男の言葉に満足したのか老人は嗤う。
「‥‥あともう少し。あともう少しで全ては余の物になる―――ああ、もう行ってもよいぞ」
それから急に温度を無くした声で家臣の男を払ってからも老人は嗤い続けた。目には年に似合わぬ欲望をギラつかせて。
no side End
◇◆◇◆◇◆◇◆
「斗黄ぃ、そんなとこにいたの?」
「別にどこにてもいいだろ。」
今、俺がいるのは屋上の給水塔の上。呆れたように話しかけてた白里に素っ気なく応える。
アイツ―――美朱が死んでからは一時喧嘩に明け暮れたこともあったが、最近では何ともなしにボーっとしていることが多い。 呆れたように話しかけてきたコイツも以前よりも明らかに覇気がなくなっているのは周囲の事実だろう。
以前は馬鹿みたいに何処へ行くにしても一緒だったのが美朱がいなくなっただけで殆ど別行動だ。別に俺も白里も間違っても集団行動が好きな訳じゃないから当たり前といえば当たり前なんだがな。まぁそれだけ俺達に取って美朱が中心的存在だったかっていうことだ。
「アンタに用があるの。ティータイムと洒落込みましょ」
「俺にはない」
「うるさいわね。問答無用に決まってるでしょ」
キッパリと断ったのに蚊も殺せないような笑顔で俺はずるずると引き摺られていった。
ちくしょう、皆この顔に騙されてるんだ。
―――――――
「‥‥‥んで?何の用だ?」
白里に引き摺られていった先は有名チェーン店のファミレス。どうやら本当にお茶会でも始める気らしい。ドリンクバーだがな。
「んーあのさ、斗黄ってやっぱり美朱が亡くなってから元気ないよね」
「そりゃお前もだろ」
質問とは全く違う答えだったのにも関わらず俺は反射的にそう言っていた。
「確かにね。美朱といるのは私の生き甲斐だったわけだし。でもね、別に私は美朱以外がどうでもよかった訳じゃないし美朱、斗黄と三人で馬鹿やらかすのが楽しかったわけよ」
「‥‥‥なにかあったのか?」
目を伏せて懐かしそうに寂しそうに話す白里に俺は知らず知らず声を低くして尋ねていた。
「‥‥‥別に大したことじゃないんだけどさ。私、引っ越すらしいんだよ、もう少しで。それで‥‥とうとう全員バラバラになっちゃうんだなって」
「なんだ、そんなことか。そんなの遊びたくなったらどっちかに行けばいいだろ」
「‥‥‥え?でもかなり遠いよ?」
「現代には便利な交通機関が揃ってんだよ。新幹線でも使えばいいだろ」
「具体的に言うと大陸違うんだけど」
「‥‥‥」
‥‥現代の利器は金の力に弱いらしい。
「でも連絡ぐらい取り合えんだろ?だったらあんま悲観すんなよ」
多分、俺が柄にもなく白里を慰めるような真似をしたのは奴の表情のせいだろう。白里はそれぐらい酷い顔をしていた。
どうせ美朱が亡くなった時のことでも思い出してるんだろう。俺にもそれぐらい想像がつく。
「‥‥うん。そうだね」
俺の慰めが効を奏したのか知らんが白里の顔がマシになったので会計を済ませて外にでた。
二人で並んで帰り道に付く。話すこともないので黙々と歩いていると隣で白里がぽつりと呟いた。
「これで全員バラバラになるのかぁ」
「俺らは生きてんだから分からないだろ」
「じゃあ三人で集まるのはあの世でだね」
「お前、美朱に会いたいからって抜け駆けはすんなよ」
「斗黄こそ」
そんなことを言い合っていたら分岐路についた。俺と白里は家がこっから別方向になるので別れることになる。
「じゃあな」
「うん、またね‥‥あ!」
「ん?何だよ?‥‥って、うわ!」
白里の声に驚き辺りを見渡すと俺の足元に奇妙な模様が描いてある円があった。それは結構大きな円で隣に立っていた白里まで入っているほどだ。
「何、これ?イタズラ?」
「さあ?とりあえずこの円から出ようz――」
その瞬間円から強烈な光が放たれ俺は最後まで言いきることなく意識を失った。
何故か斗黄の方が主人公っぽいという矛盾ww




