初耳です
※かなり時間がぶっ飛んでますが、投稿するものを間違えた訳ではありません(汗)
「「「「ミアカ、誕生日おめでとう!」」」」
「「ミアカ様、おめでとうございます!」」
例年のように食堂のドアを開けるとお父様、お母様、セリ姉とルー、それとメイドさんから祝福の言葉がかかった。
誕生日を迎えるのもこれで17回目だと思うとしみじみとくる。まぁ、精神的には今年でかなりの歳になるんだけどね?(最早言いたくない。)
「ミアカ、17歳の誕生日おめでとう。ミアカがここまで健やかに育ってくれてよかったよ。」
「そうね、あなた。ミアカちゃん、これからも元気でなきゃダメなんだから。あ、そうそう、これプレゼントよ。」
お母様がくれたのはローズクォーツのような石に銀で細かい細工がされているペンダントだった。うわぁ、可愛い。せっかくだから、何か魔導具にでも加工しようかな?
それにしても二人とも私が生まれてから17年経ってる筈なのに全く容姿が衰えてない。何故だ。
逆にお父様は皺が出来てもダンディーにしか見えないし、お母様に至っては容姿が少女のようなままで、私のほうが年上に見えるぐらいだ。てか、歳をとらない秘訣とかあるなら少女の生き血とかを浴びて若返ろうとした人達に是非とも教えてあげたい。断じて私が知りたい訳じゃないよ?別に。
「お父様、お母様、ありがとう。大切にするね。」
「ふん、どうだかな。お前ガサツだし無くしちゃうんじゃないか?」
「ルークシュポール、あんたそんなこと言ってるけど自分だってプレゼント用意してるんでしょ〜?悩みながら選んでんの見ちゃったんだから。はい、ミアカ。誕生日おめでとう♪」
「中身はっと‥‥おぉっ、セリ姉ありがと〜」
生意気な口を叩くルーを茶化しながら私にプレゼントをくれるセリ姉。
中身はセリ姉特製のアップルパイにレースのハンカチだった。ほんとセリ姉って手先器用だよなぁ。編み物も上手だし、料理もめっちゃ美味しいとか、女として見習いたい。マジで。
20歳半ばのセリ姉は本当に綺麗だ。ていうか可愛い、すごく。出会った頃も可愛かったけど最近ますます磨きがかかった気がする。何で結婚相手どころか彼氏もいないのが不思議でしょうがない――――いや、あれは本人の問題か。告ってくる人が行列みたいに並んでるのを全員バッサバッサ切り捨てるんだから。まだ彼氏とかつくる気分じゃないそうです、はい。
セリ姉との女子力の差に遠い目をしていると、セリ姉にからかわれて憮然とした表情をしたルーが近付いてきた。同じ表情を維持したまま。なんだアイツ、照れてんの?
「‥‥‥やる。」
ぶっきらぼうに差し出されたそれは玉――ローズクォーツに似ている――がついたブレスレットだシンプルですっきりしたデザインだ。
「ありがとう」
「おぅ。‥‥‥そうだミアカ、お前それ肌身離さず持ってろよ。追跡具みたいなもんだから」
「は?」
「お前、巻き込まれ体質だからな。もし拉致られた時なんかに探す手間が省けんだろ。」
ルーの言ってる意味が理解できないでいると、面倒臭そうに説明してくれた。
にしても巻き込まれ体質って‥‥‥。確かに、何か訳ありっぽい少女にやたらと助けを求められたりするし、怪しい黒ローブの男たちももう見慣れちゃったけどさっ。もうちょっと言い方があるでしょうよ…orz あ、因みにこの17年間拉致られたのは8回ぐらいかな?大体一年置きに拉致られてるよね計算上。まぁ、半分は周りにバレる前に自力で(悪の組織っぽいのを蹴散らしながら)帰ってきたけど。
「GPSみたいなもんかぁ‥‥。すごいな」
「じーぴーえす?」
「え?あ、ああ何でもない。それよりルー、テーブルに美味しそうなパスタあったし取ってきなよ。」
「ん‥‥言われてみりゃ腹へってきたな。ちょっと取ってくる」
特に疑うこともなくテーブルに向かったルーを見てホッと息をつく。
あ、あっぶねぇー。前世用語口走ってたわー。本当ルーが深く突っ込んでこなくてよかった。
それにしてもルー、丸くなったよなぁ。最初は誰も寄せ付けないようなトゲトゲした雰囲気を纏ってたけど、今じゃ大分緩まったし。それでもまだ家族以外にはかなり線引いて接してるけど、本人も努力してるみたいだし。
雰囲気が変わったせいかどうかは分からないけど、見た目も随分変わった気がする。幼い頃から変わらない濡れ羽色の髪は成長と共に癖がついてくるんくるんと毛先を遊ばせている。彫りが深い顔は大人びていて以前より輝いている藍色の瞳が際立っていた。まぁ、ぶっちゃけ普通にイケメンになりやがった。だからといってなよっちい訳でもなくお父様の部下さんが遊びに来ると稽古をつけてもらったりしている。くそう、なんでバーデル家って私以外美男美女の巣窟なんだよ、不公平でしょ。もうちょっとそのキラキラオーラを分けてほしい。
私が世の不公平を呪っていると、突然ポンッと肩を叩かれた。
「ミアカちゃーん、誕生日おめでとう!」
「うわぁっ!?‥‥‥びっくりしたー、なんだメルルイ様かぁ。驚かさないでくださいよ。」
「ミアカちゃんも17歳かぁ、早いねぇ。‥‥そうだ、私もプレゼント用意したんだった。見て見てー」
私の非難をガン無視して話し続けているメルルイ様をジト目で睨む。だけど、わざとらしい鼻歌してるし効果はないらしい。
「――ほら、これよこれ。いい感じでしょ。」
「? 何ですか?これ。」
メルルイ様が取り出したのは銀の大きめの輪っかに大きなサファイアみたいな石がついたものだった。銀の大きめの輪っかといっても葉っぱのようなレリーフが彫ってあって、凄く凝っている。 ブレスレットにしちゃでかいし、勿論ネックレスなわけないし‥‥‥え?違うよね?
もしかしてティアラ的なもの?
「‥‥‥ティアラ?」
「せいかーい。いやさぁ、魔導師長だとか実質大臣クラスの役職に人が就く際に王から宝玉を与えるのが習わしになってるんだけどね、もうコレ見たらティアラしか思い付かなくなっちゃって。‥‥‥‥よっと、うん似合う似合う。やっぱミアカちゃんの赤髪に映えるね。」
私にティアラを載っけてうんうんと頷くメルルイ様。
って、うん?ちょっと今、聞き逃せないようなことが‥‥?
「ええ?ちょっと待って。ま、魔導師長とか聞いてないんですけど。ぅえ?え?」
「どうどうどう、ミアカちゃん落ち着いて〜。覚えてないかな?ミアカちゃんが小さい頃にウチで働いてもらうって言ったの。」
「小さい頃‥‥?ああ、そんなこともあったような‥‥」
小さい頃って、多分メルルイ様と初めて謁見した時だと思うけど、普通三歳時に言われたことなんぞ覚えてるかっ?
ていうか、むーりー。魔導師長とかあり得なーい。
だって魔導師長って魔導師をまとめるんでしょ?キャラの濃さでまず負けるわ。
「慎んで辞退いたします!」
「あー、これ王命だから。拒否権とかないお。あは」
「‥‥‥orz」
私が絶望に打ちひしがれていると、お父様がこちらに気づいて近寄ってきた。めっちゃイイ笑顔で。あれ、怒ってますよね。
「メルルイ様?何故こちらにいらっしゃるんですかね?貴女は今、王宮で国務を勤しんでおられるはずなんですが。」
「国務私が大人しくやってると思う?護衛の兵なら撒いてきたわよ。」
「‥‥‥そうですか。ならば今すぐ前言撤回さてから国務に戻って下さい。いいですね?」
「えー、やだ。それに前から言ってんじゃん。ミアカちゃんはウチにいてほしいって。」
「私の娘には勿体無いお言葉ですので。」
お父様、ことさら丁寧な言葉遣いだけど完全に本心だだ漏れだよ‥‥。
「またまたぁ、謙遜しちゃって。まぁミアカちゃん、そういうことで明日からよろしくね〜。――あ、私もう行かなくちゃ。城が騒ぎになりつつある。」
「そうですか。ではまたいつか御越しください。」
「うん、また来るよ。それじゃあね〜。また明日」
お父様の本音だだ漏れの堅苦しい敬語を完璧にスルーしてメルルイ様は颯爽と帰っていった。それはそれは楽しそうに。
残ったのは怒りにプルプルするお父様と呆然とする私達withメイドさん。
て、い、う、か。
明日から魔導師長ってどういうことですかぁーー!?




