女王陛下に会いました
女王陛下と謁見する日までの1週間―――
ええ、それはもうあっという間でしたよ。
そして大変でしたとも。何せ宮廷作法やら女王陛下への礼の仕方やら細々とした面倒くさいものを頭に詰め込まなきゃいけなくて、頭がパンクしそうになったし。
メイドさん達もドレスの調達だとかで大変だったみたい。
そんな風に慌ただしく準備していた1週間はあっという間に過ぎ去り、私はいつもよりおめかしした格好で馬車に乗った。
王都にはセリ姉探しに来たことあるけど、ゆっくり見てる場合でもなかったし正直楽しみだ。王宮に至っては行ったこともない訳だし。だけど、ねぇ‥‥‥。
「やっぱり緊張するか?」
一緒に馬車に乗っているお父様が悪戯っぽく笑いながら聞いてきた。
うん。やっぱ、緊張するわ、とてつもなく。だって一国の王ですよ?前世だったら天皇か総理大臣といった感じの人に緊張もせずに会えるかぁ!?
ご、ごほん‥‥‥失礼、取り乱しました。
私が脳内で錯乱してる間に馬車は目的地についたらしい。お父様に手を引かれて、王宮の入り口に立っている物物しい雰囲気の衛兵さんの横をすり抜けると中のホールは煌びやかな光に包まれていた。
うわー‥‥‥‥天井高っ。首痛くなるわ。これでまだ入り口?
煌びやかなホールを通って廊下を進むお父様。
廊下も王宮なだけあって、かなり長い。というか、曲がりくねって最早迷路みたくなってるし。‥‥‥帰り帰れるかな?
その点、お父様は腐っても宰相様らしい迷いない足取りで女王陛下に拝謁する部屋を目指してる‥‥‥‥目指してるはずなのに一向に足が止まる気配がないのは何故!?
「お父様‥‥‥道、合ってる?」
私としてはもう遭難者の気分ですが。王宮にいるのに。王宮にいるのに。
「疲れたのかい?ミアカ。大丈夫、もうすぐ着くから‥‥‥ほら、あの地味な扉があるだろう?あの部屋だよ。」
お父様が指差したのは確かに地味で目立たない扉だった。
うーん‥‥女王陛下がいそうな部屋じゃないけどなぁ。
「ミアカ、信じてないね?まぁ入れば分かるよ。」
お父様に促され入ってみると、中にはやっぱり誰も居なかった。女王陛下はもちろん、人っ子一人。なのに明かりは付けられていて、机の上には茶菓子と紅茶がある。
え?なんで?
「はは、ミアカ、目が丸くなってるよ。私はこの部屋で待っているからミアカはメルルイ様と会っておいで。」
そう言って茶菓子をつまみ始めるお父様。
え?だけど女王陛下に拝謁するのってこの部屋でじゃないの?
「ああ、そうそう‥‥‥。ミアカ、そこの壁にタペストリーがあるだろう?そのタペストリーを捲ってから壁を押してごらん」
言われた通りに押してみると、壁がぐるんと回って違う部屋があるのが分かった。
おぉっ、隠し扉ってぇ奴ですね!?ここは忍者屋敷か。
‥‥‥それとも王宮って、みんなこんなもんなの?ちょっとヤダ。
なんか優雅に紅茶を飲み出したお父様に見送られ、恐る恐る繋がっていた部屋に入るとそこには王座に座っている少女がいた。
年齢は‥‥‥高校生ぐらい?だけど、それにしては雰囲気がグラマラスなような‥‥‥
私がぼーっと見てると、流石に気づいたらしい。こっちに目を向けて話しかけてきた。もしかしたら口元がニヤニヤしていたから、私がぼーっとしていたのがバレていたのかもしれない。
「ミアカ、でしょう?そんな入り口で固まってどうしたの?」
気恥ずかしい思いを押し隠しつつ女王陛下(?)に近寄ると、また話しかけられた。
「ふふ、そんなカチンコチンにならなくても。まぁいいや、知ってるとは思うけど女王陛下やってるメルルイね。よろしく」
「こ、こちらこそお初にお目にかかります。ミアカと申します。」
予想外にフレンドリーな陛下にたじろぎつつも、教わった通りに礼をして自己紹介する。1週間の死に物狂いの成果を舐めるなよ!?
「だから、堅苦しいのはいいっていうのに〜。ほら、座って座って。お茶にしよう。私はミアカと話がしたかったんだからさ」
フレンドリーな陛下に促され椅子に座るとテーブルには紅茶とお茶菓子があった。
いつの間に!?王宮のメイドさんパネェ‥‥‥気配が全く無いぜ‥‥
ていうか、女王陛下は私と話してみたかったって言ってたけと何故に?魔導具ならお父様から聞けばいいと思うんだけど‥‥‥
「あの‥‥お話しというのは?」
「ああ、そんな重く考えなくていいって。なんか喋ってみたかっただけだから。それよりさ、この菓子結構イケるよ?」
「あ、本当だ。甘いけど爽やかな感じで美味しいですね。」
フレンドリー陛下から勧められた菓子はクッキーのような焼き菓子で、甘いのに後味が爽やかですっきりしていた。
これ、やば、うま。いくつでもイケそう。
暫し焼き菓子を食べて紅茶で息をつく。ふぅー、なんか陛下も黙々と食べてるし私もあんま喋ってるわけじゃないから無音なんだけど嫌じゃない感じ。落ち着くわー。
「‥‥‥ねぇ、魔導具のことなんだけどさー」
私から肩の力が抜けたのを見計らったのか、ただ単に茶菓子に満足しただけなのか、満足そうなため息をついた陛下が唐突に聞いてきた。
「な、なんでしょうか?」
うわー、びっくりした。
人が忘れかけた時に言い出すのは止めてほしい。心臓に悪いわっ
「あれってミアカが作ったんだって?すごいじゃん。それで製作者サマに聞きたいんだけどさ」
「は、はい」
「あれ、どーやって使うの?」
「はい?」
どうやって、ですと?
「ミアカが使ったっていう『チラッと君』だっけ?あれ、宰相もそうだけど私が使っても効果ないんだよね〜。なんでだと思う?」
『チラッと君』早くも不良品疑惑!?
‥‥‥‥‥どうでもいいんだけどさ、自分で『チラッと君』って名付けたのに他人に言われると恥ずかしいのって何でだろう?
サブタイトルがなんか気に入らなくて再投稿しました(・∀・)




