舞い落ちた
そこへ、ばさりと音がした。
空から何かが降ってきた、というより、2階回廊の手すりから紙束が舞い散ったのだ。
白い紙が何十枚も、礼拝に集まった貴族たちの頭上へと、優雅に、そして容赦なく振り注ぐ。
ざわめきが上がる。
アメリアは、とっさに、頭の上の紙を払いのけ、上を見た。
2階から乗り出していたのは、無造作に髪を縛った男だった。
着こなしは質素だが、それが帰って、体格の良さを隠しきれていない。
本人は、おそらく自分がどう見えるか、あまり気にしていないのだろう。
そうして今まさに「しまった」と書いてある表情。
男と目があった。
「……申し訳ない。」
男は少し間を置いてから言った。
謝罪の言葉は、妙に低い落ち着いた声音だった。
「いいえ」
と、舞い落ちた紙の中アメリアも言った。
見れば、わかる事実を口にしてしまったのは、彼の顔が、予想外に見ごたえがあったせいだと思う。
「建築の調査書です。大事な書類でして」
「では、お急ぎになった方が」
アメリアはそう言いながら、足元の1枚を拾い上げた。
精密な数字と図面が並んでいる。「頭脳派?」
と、その単語が脳裏をよぎる。
男は、すでに階段を駆け降りてきていた。
急いでいるはずなのに、その足取りは重心の移動なのか、無駄ない動き。
今度はアメリアの脳内を「 肉体派?」という言葉がよぎった。




