新たな旅の目的
地上に上がると闇は晴れていた。
しかし、一日中森の探索をしていたため、すでに日は落ちていた。
「もうすっかり暗くなってるねぇ。とはいえ、元々真っ暗だったから、むしろ明るくなったと言うべきか」
「えぇ。空から。いえ、世界から、闇が消えましたね」
二人は森の中を歩く。
「この森、こんな感じだったんですね。緑が綺麗です」
「そうだねぇ。来る時は何も見えなかったから、新鮮だねぇ」
「見てください、ウタカタさん!松茸ですよ、松茸!自然の食材が豊かな森ですねー」
「そういえばセツナ、この森ホタルがいるんだろう?ちょっと拝んでから街に帰ろうや」
「そうですねっ!このくらい暗ければきっと綺麗ですよ」
そして二人は、森でホタル探しを始めた。
森の中を歩き回り、ついに二人は見つけた。
「おっ!?あの光、そうじゃないかい?」
ウタカタが光の見えた方を指差す。
「本当だっ!綺麗ですねー」
茂みから出て光の側へと近づくセツナ。
「すごいっ!幻想的ですよ、ウタカタさん。わぁー、きれーい」
ウタカタも後に続いて茂みから出る。
水辺に浮かぶ光の舞が織りなす幻想的な風景が、ウタカタの視界に広がった。
水面にはその光が反射し、より幻想的な世界を表現している。
「……こいつはたまげたねぇ」
しばらく二人は、魅了されたかのように辺りを見渡して立ち尽くしていた。
「これが、ホタルなんですね」
「いいものが見れたねぇ」
二人は心ゆくまで光の舞踏会を眺めた。
森を出て街へと戻る。
二人は、明日以降の予定など特に話し合うことなく、そのまま宿に泊まった。
翌日
「セツナ、これからどうしようか」
「珍しいですね、ウタカタさんが早起きして部屋を訪ねてくるなんて」
「世界から精霊さんの暴走による被害もなくなったみたいだからねぇ。これからどうしようかと思って」
「そうですね、昨日話しておけばよかったですね」
「まぁ、焦る必要はないさ。昨日は戦いの後だったし、それに、明日のこと考える気分でもなかったからねぇ」
「残っている問題は、精霊様の封印を解いた犯人が誰かってことですね」
「そうだねぇ。俺そっくりの人ということ以外は、あまり情報がつかめてないねぇ」
改めて確認したことで、ウタカタは一度ため息をついて続けた。
「俺としてはいい迷惑だねぇ。犯人がどこにいるかもわからないし、当てもなく探し回っても見つけられないよねぇ。どうする?」
「うーん、残る精霊様の封印の地を張り込むとかですかね?」
「それありだねぇ。でも、ずっと張り付いて監視するってわけにもいかないよねぇ」
「いえ、光の精霊様はうちの神社本殿に封印されています。だから、神社にいれば監視できます」
「そっかぁ!なら白刃野に戻って、神社で監視していれば問題ないねぇ」
「これでこの旅も、本当に終わるんですね……」
「そういえばセツナ、やりたいことがあるんだったねぇ」
「はい。ですが、私はこの犯人を捕まえなければなりません」
「何も神社の管理はセツナだけがしてるわけじゃないだろう?ご両親とか他にも支えてくれている人たちがいる。今はその人たちに任せよう。セツナはここまでよく頑張ったよ。少しくらい、頑張った分報われてもいいんじゃないかい?神様だって許してくれるさ」
「本当に……いいんでしょうか?自分の使命を忘れて……一人の、普通の女の子として……やりたいことだけする旅をしても……いいんでしょうか?」
「誰も、セツナを責めることなんてできやしないさ。ここまで辛い旅が続いた。自分のやりたいことのためじゃなく、使命のために。そんなセツナを、誰が責められるものか」
「うっ、うっうっうぅぅぅ…………うわぁぁぁぁぁん!!」
ウタカタは、優しくセツナを抱き止め、胸を貸した。
しばらく経ち、普段の落ち着きを取り戻したセツナは、自分のやりたいことをする旅の予定を立てた。
「旅は道中何があるかわかりませんからね!もしかしたら、いろんなところに寄り道するかもです!」
「それが旅ってもんだからねぇ、いいんじゃないかい」
「じゃあ、まずはいろんな動物を見て回りたいです!あと、いい感じの川があったら川釣りもしたいです!」
「よしっ!動物を見て回ろう。野生の動物は見られる機会も限られているから、ここで見られる動物を見たら、動物園に行こうか」
「観光にもなりますねっ!」
二人は早速、黒太刀で見られる動物について宿の主人に聞いた。
そして、珍しい動物が見られる場所へと向かう新たな旅を始めた。




