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精霊封印譚  作者: マッキー黒ペン
闇の精霊編
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37/51

全てが終わったら

 翌日



 二人は宿を出て闇の精霊の封印の地である森を目指す。


「朝だってのに全く日が出てないねぇ。久々だねぇ、この感覚」


「白刃野でもそうでしたからね。真っ暗な峠を越えてきましたが、整備されてましたし、手付かずの森は大変になりそうですね」


「でも、これで最後だと思うと気が楽でいいねぇ。もしかしたら、他の精霊さんの封印も解かれているかもしれないけどさぁ」


「縁起でもないこと言わないでくださいよ!さあ、先を急ぎますよ」


 二人は街灯を頼りに街道を進む。


 街灯があるおかげか、闇の中でもサクサクと進めた。


 予定よりも早く、今日の目標としていた街へと辿り着いた。


「意外と苦戦しませんでしたね。この暗闇に合わせて、道も整備したり街灯を増やしたんでしょうか?」


「だったらありがたい話だねぇ。予定より早ければその分精霊さんが取り込むマナが少なく済むから、戦闘にも響くねぇ」


「そうでしたね。遅くなればなるほど、精霊様はマナを取り込んで強くなってしまうんでした」


「とりあえず、今日はこの街で一泊しようか。観光なら、明るくなってからたくさんできるしねぇ」


 予定よりも順調に進み、二人は宿を取る。


 しかし、翌日の街道旅はそう簡単にはいかなかった。



 翌日



「ウタカタさん!見てください、あれ。街灯が所々破壊されています」


「暗くてよく見えないねぇ。でも、暗くて見えないってことは、灯りがないってことだ。あそこからは要注意だねぇ」


 そして、二人が話していた破壊された街灯の元に到着した。


「これは……強い力で叩き壊されてる感じだねぇ。人がやるなら道具が必要だし、そんなことするメリットがない」


「じゃあ、一体誰がこんなこと……」


「まぁ順当に考えるなら、闇の魔物だろうねぇ」


「そうか、魔物もいるんですよね。すっかり忘れてました。こんな真っ暗で何も見えないところで襲われたら、対処できませんよウタカタさん!」


「気配を探って戦うしかないねぇ。とはいえ、見えないんじゃあ、後手に回るしかないよねぇ」


「松明、使いますか?」


「まだ温存しよう。本来は森で使うために買ったものだからねぇ」


 二人は街灯を頼りに進むが、街道に設置されている街灯がいくつか破壊されており、灯りが途切れ途切れとなる。


 そして、しばらく進むと先が完全な暗闇となった。


「ここから先は街灯が設置されていないか、魔物に破壊されたかだろうねぇ」


「全く前が見えません。ウタカタさん、どうしましょう」


「予想外だったねぇ。仕方がない、松明を使おうか。森までの道中と森での探索用で、次の街で二つ松明を買おうか。とりあえず今は、はぐれないように手でも繋いで歩こうか」


 二人は松明に火を灯した。


 手元に灯りができたおかげで、少し先までは見えるようになった。


 それでも近場しか確認することはできなかった。


 手を繋ぎ互いの存在を確認して、はぐれないように歩き進める。


「まったく、暗闇道中膝栗毛って感じだねぇ。真っ暗闇で徒歩の旅。この先足元が見えなくて転んだり、魔物に襲われて大変な目に合ったり、道を間違えて迷子になるような珍道中にならなきゃいいけどねぇ」


「あぁん、もう!ウタカタさんはいつもいつも悪い方にばかり考えすぎです。思っても口にしないことですよ!言霊の力は本当にあるんですから」


「神様だけじゃなくてそっち方面も信仰に厚いんだね、セツナは」


「もっと明るいことを考えましょう。ほら、ホタルの話とかしたじゃないですか。黒太刀地方は自然豊かでいろんな動植物があるんですよ」


「でも、今は何も見えないけどねぇ」


「ウ・タ・カ・タさん!」


「ごめんって、ごめんって。もしかしたら、元気な野生の動物が街灯を破壊したのかもしれないねぇ」


「……流石にそれは無理があるんじゃないですか、ウタカタさん」


「あ、あははは。どうにも視界が真っ暗だから明るい話になりにくいねぇ。お先真っ暗だよ、実際にね」


「もう、ウタカタさんは喋らなくていいです。私が勝手に喋ります」


「手厳しいねぇ、こりゃあ」


「精霊様の封印をして、全てが終わったらウタカタさんは何がしたいですか?」


 ウタカタが考えていると、セツナは続けて言った。


「私は、今度は川釣りをしてみたいです。海での釣りとは違った面白さを味わえそうだなーって。それと、いろんな動物を見てみたいですね。あとは、あとはー、海で泳いだり。巫女としてではなく、普通の人としてお祭りに参加して、いろんな屋台を回ってみたいです!それと、ゆっくり街の観光もしたいですね!」


 次々とやりたい事が浮かんでくるセツナ。


「なら。全てが終わったら、やりたいことをやろう、セツナ」


「そうですね……全てが、終わったら」


 ウタカタはセツナから一度聞いた伝承の内容を思い出していた。


 その依代、巫女なり。


 ウタカタの瞳に、静かな光が灯った。


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