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とっても楽し(くな)い異世界サバイバル!  作者: 古楯むつき
第二章 _ 港町にて
38/40

ep.38 pwdr _ 同郷三人目 _


 雑貨屋らしき建物に入っていけば、カラリコロリ。扉上部に取り付けられた木製の飾りが音を立てた。

 中は地方によくある道の駅のような風体で、あまり“異世界”らしさは感じられないことからここに()()()()が居るというのは、本当の事なのだろうと思わせられた。



「あ! お客さん来ちゃったかしら!?」



 懐かしさに気を取られていると、聞こえてきたのは日本語を話す声だ。

 パタパタと足音を立てて、奥にある暖簾(のれん)の向こうから一人の女性が現れる。


 容姿からして年齢は三十代の頃。胸元まで伸びた黒みの強い茶髪は緩く左耳の下でひとつにまとめている。見慣れたデザインのエプロンを着ているが、下の衣服はこの世界のものだ。しかし、全体を通してみればいかにも日本の奥さん、またはお母さんといった風貌をしている。



『─────、────────、───────────?』



 彼女は二人の傍へ来ると、聞き馴染みのないこの世界の言葉でなにやら話し掛けてくきた。



「はじめまして。多分、お姉さんがおとしもの? の人?」


「あら~あらあら!! よく見れば日本人っぽい顔してる~!? ふふ、いらっしゃい、男の子二人? そう、男の子二人ねぇ……ふふふ」



 ここで、なにかに感動したように動きや思考を止めていた典が、ようやっと言葉を零す。



「……ん? 待て、今なんか悪寒がしたんだが。明らか人妻感あるし薬指に指輪見えたし人妻だ!! って感動してたんだがちょっと待て??」


「そんなことより! 私、あなたたちがここへ来るのを待ってたの。“あの人”は二人の同郷さんが来るとしか教えてくれなかったんだけど、男の子二人だったのね~??」


「あの人ってのも気になっけど男の子二人ってとこに異様なほど反応するけど何かあるのか?? この世界じゃ元のとことは違った法則とかジンクスとか」


「ないわよ? 私が楽しいだけね、だって男の子二人ですもの。ふふ、一緒に旅をしてるとは聞いたけれど、男の子二人ってことはね~~、うふふ」


「…………これあれだな? 貴腐人ってヤツだな……まじか、貴腐人の人妻かぁ……」



 きふじん? と首を傾けた恭行をよそに。典は溜息をついて一度気分を切り替え、ひとりで静かに何かを滾らせている女性の方へと向き直る。



「姉さーん、その手の勝手な妄想は当人には隠れてやるものだろ、nmmn(ナマモノ)だし後にしてくれ、今は色々聞きたいことあるんだけど」



「あらやだそうだったわ、そうねぇ~奥へ行きましょうか。店は旦那に任せればいいし」


「なまもの……??」



 案内をする彼女についていきながら、途中、奥から出てきた大柄な男とすれ違う。

 彼女と何か話したあと、店のカウンターの方へと歩いていった。店番をしながら何かの作業をするのか、ごそごそと動いているのが見える。



「あの筋肉たち見ると小さく見えんな、結構ガタイ良いのに」


「感覚おかしくなっちゃったな……たぶん人間ならあれが普通はんだろうね」


「あの村にも行ったの? あとで、ゆ~っくり旅の話を聞かせてほしいわね~」


「……貰える情報次第で検討する」


「話するくらいいいのに」



 少し歩けば、店の奥がそのまま居住空間となっているのか、リビングルームのような部屋へ通される。

 二人にソファや椅子で適当に座っているように促すと、彼女は茶菓子や飲み物の準備をし始めた。



「恭行ちょっと離れて座れ」


「なんで? いいけど……」


「せめてもの抵抗。どうせ変にご都合解釈されんだろうけどな」



 それぞれ、別々の椅子に腰掛けて待っていると、すぐに彼女がテーブルへ用意したものを置く。



「茶……だと……!?」


「お饅頭……?」



 驚くべきは並べられたそれらが、どう見ても緑茶と饅頭であったことか。

 そんな二人の反応を見て、彼女が得意気に笑う。



「私、ここでの()()は召喚魔法なの。原理とかはよくわからないけど、こういうちょっとの物くらいなら呼び出せちゃうって訳ね!」


「っ今魔法って言ったか!?」

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