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とっても楽し(くな)い異世界サバイバル!  作者: 古楯むつき
第二章 _ 港町にて
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Ffrindiau newydd _ 翼 _


 二人が草原に出たあと、約半月後のこと。

 いつものように他愛のない話をしながら相も変わらず広い野原を歩いていると、前方に何かが落ちているのを発見した。



「なに? これ……布? かな、結構大きいけど」


「爆発物とかそういうんじゃねえよな……」



 恐る恐る、何かが起きても反射神経でどうにかできそうな恭行がその布に触れる。何かに被せられていただけのようで、引っ張れば存外簡単に取れてしまった。

 中にあったのは……否、いたのは、眠る鳥のようななにかだ。それもかなり小さく、恐らく産まれてからそう時間は経っていないであろうことがわかる。



「よくここらへんの空飛んでる鳥?」


「みてぇだけどちょっと違、う、っいや待て、待て待てすぐ逃げるぞ!?」


「え? あ、親鳥? たぶん大丈夫だと思うけど。ここ別に巣でもないし、この子生まれつきかな、たぶん羽と足の数足りてないから捨てられちゃったんじゃない? 」


「……今すぐ逃げなくても俺たち死なねぇ? 親来て『うちの子に何してんのよアンタたちーーっ』ってされたりしねぇ??」


「裏声気持ち悪いだけだからやめて」



 恭行はそう辛辣に言い放ちながら、眠る雛鳥())をさらによく観察する。

 見ていてわかるのは、顔は猛禽類に近く、身体は幼いながらに太く逞しい。しかし、見上げた時に見える鳥類と比べ六枚ほどあるはずの翼は二枚のみに、また、四つ足のはずが三つ足になっているということくらいだ。これではまるで、普通の鳥のようにも見えなくはない。



「典、この子さ――」


「連れてくんだろ? 食料計算のし直しだなこれは」


「…………意外」


「なんだよ、非常食にでもすると思ったか?」


「置いてけって言われそうかなって」


「襲われそうになったら殺るけどな」


「じゃあ、そうならないように躾けておかないと」



 ▼ とりのような なにか が なかま に なった !





 そうしてさらに約半月、二人と一匹で歩き続ければ、ようやく街が見えてくる。

 不思議なことに、街まで数千mの距離に来るまで、その存在を確認できなかった。なにか特殊な方法で認識阻害等を行っているんだろう、とは典の談だ。

 街の入り口には見張りのための建物があり、どうやら門番のような者がいるのも見える。

 さて。



「コイツどうすっか」


「大丈夫じゃない? 前にも飾りとか付けられてたイノシシみたいなやついたし……この子もたぶん、平気だと思うよ。おとなしいし」



 ピギャ、ピキキ、と二人の足元で高い鳴き声をあげるのは、あの日拾った鳥類の雛。

 話し合いの結果、典の案を採用しフリューと名付けられた。由来は、どこかの言葉で翼を意味する言葉、フリューゲルからだそう。



「い、ってみるかぁ?? 駄目ならそこらに放すか、お前とコイツだけ外に残っててもらうことになると思うが」


「そのときは外で一緒に待ってるよ」



 言いながら恭行がしゃがみ込み、フリューを抱え上げる。この半月ですっかり躾けられたのか、元々温厚な生き物なのか。簡単に腕の中におさまって、それどころかリラックスしたように身体の力を抜く始末。



「……絆されそう、まずい、可愛く見えてきたな鳥仲間だからか???」


「鳥仲間? っあ、名字そういえば鷺鳥(さぎと)だったっけ」


「そうですぅ忘れんなよ安功(あく)恭行(やすゆき)くん」



 わざとらしく唇を尖らせてぼやきながら典が先を行き、恭行はフリューを抱えてその後を歩く。

 もう数十mとない門番のところへはすぐに辿り着いた。


 当初、訝しむような視線は受けたが、辿々しいものであっても典がなんとかカタコトで意思疎通を試みて、状況や立場を伝えることができた。

 すると思っていたよりも簡単に、門番は快く街の中へ二人と一匹を通してくれた。後から典が恭行に説明した門番の話では、獣を子供の頃から飼い慣らしておくのはこの世界では当たり前のことなのだそうだ。



「しっかしコイツ本当にのんびり寝てるな……こんな人だらけの、いや人以外もいるんだが賑やかなとこだってのに」


「……?」


「どうした?」


「いつもみたいに騒がないんだ?」


「筋肉見過ぎてもうちょっとやそっとのことじゃ驚けなくなった俺がいます。あと流石に街中でギャースカするほど常識知らずじゃねえの」



 とは言うが。先程から周囲を行き交う通行人たちの姿を視線で追っては、目を輝かせているのは見て取れる。主に女性を見ているフシはあれど、それは少年が憧れの眼差しを向けるようなものなので、目が合ってもにこやかに微笑み返されるなどして典が勝手にダメージを受けている。



「涙腺雑魚になったかもしれねぇ…………」


「泣くの? ここで?? やめてよ変な目で見られそう」


「泣かねぇよ泣きそうってだけで!」



 通行の邪魔にはならぬよう、同じように足を止めずに典の先導で話していれば、ある一つの店の前に辿り着いた。そこは雑貨屋のようで、店外からでもガラス越しに様々な商品が並べられているのがよく見えた。



「ここ、だ? 多分……さっき門番のおっちゃんが言ってたんだよな、確か“落とし者”が居るはずだって」


「おとしものって、んー……俺たちみたいな他の世界から来た人? だったよな」


「そう、それも俺らとは違ってちゃんと転生特典とか得てるような連中な……クッソ羨ましすぎて禿げそう」


「15歳なのに……老後は丸坊主かな」


「まあ、とりあえず入ってみようぜ、人っぽい影見えねぇけど入りゃ居るだろ、やってるっぽいし」

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