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異世界万事屋 ~ただし怠惰な店主のやる気次第~  作者: ぽてぽてサラダ
冒険者ガルラ
2/6

過去編導入

それはまだ人類と魔族が敵対していた時代のことだ。

冒険者ギルドには腕に覚えのある者たちが日々ひしめき合い、掲示板には魔物討伐の依頼が溢れかえっていた。そんな混沌の時代にあって、俺はどこの国にも属さない、森の中心部付近にある小さな村で生まれ育った。俺が十五になった頃には、進路なんてほとんど決まっていた。

村を出て、王都近くの冒険者育成学校に入る。

才能があるわけじゃない。だが田舎の村では体も丈夫な方だったし、森にも慣れていた。

それだけで十分だった。

村の連中は口を揃えて言った。


「せっかく外へ行けるんだ」

「冒険者になれば稼げる」

「今の時代、力があれば食っていける」


期待されていたんだと思う。でも――

俺はどうにも、そのすでに“誰かに決められた道”ってやつがあんまり好きじゃなかった。


毎日決まった訓練。

決まった規則。

決まった昇格。

決まった依頼。

強くなること自体は嫌いじゃない。むしろ好きだった。

けど、“誰かが作った強くなり方”をなぞるのはなんか違うと心の中で思っていた。


だから入学のために街を出る日、村の入り口で自分と同じくらいの年齢の獣人たちが乗る馬車を見送る大人たちが荷台から見えなくなったくらいの時、俺は王都へ向かう馬車から荷物だけ持って飛び降りた。


誰も通らない獣道。

山奥の洞窟。

古い遺跡。

魔物の縄張り。


行き先は特に決めていない。ただ、知らない場所へ行きたかった。

それが俺の、最初の反抗期だった。

一一一

最初は、本当にただの延長だった。


獲物を狩る。山で魔物を倒す。必要な分だけ持ち帰る。


村で育った頃と、やっていることはほとんど変わらない。違ったのは、獲物の質だけだった。牙は鋭くなり、鱗は硬くなり、肉は重くなった。気づけば、自分一人では処理しきれない量が拠点に溜まっていった。


だから街に出た。初めてまともな“街”に行ったのは、その時だったと思う。


獣の牙や魔物の素材を売れば、多少は金になる。そう聞いたから、それだけのつもりだった。


だが、商会の窓口で足が止められる。

「取引には、いずれかの所属証が必要です」


一瞬、意味が追いつかない。商人ギルド、冒険者ギルド、素材ギルド。どの冒険者もどこかに登録されていることが前提でそれがないものはそもそも“取引の対象に入らない”らしい。理由は、『責任と管理』つまり、保証のないものは扱えないということだ。


「どこにも所属してない場合は?」


受付の女性は少しだけ困った顔をしてから答えた。

「その場合は、まずどこかのギルドに登録してください。あなたの場合、基本的には冒険者ギルドに入ることになると思いますが...」 当然のような言い方だった。そこに例外は最初からない。


どこにも属していないという状態そのものが、この街では想定されていない。俺は袋を持ったまま、

その“枠の外”に立っていた。


「おい、それ」背後から声が落ちる。


振り向くと、そこにはごろつきがが立っていた。

「随分珍しいもの持ってるじゃねぇか。どっかから盗んできたのか?」

当然のような口調。確認でも会話でもない。俺は袋を持ったまま答える


「今それどころじゃないから、話しかけないでくれる?」

一瞬、男の顔が止まる。


次の瞬間、笑った。


「ハッ! 言ってくれるじゃねぇか。この取引の基本も知らない畜生の田舎もんが!」


距離が詰まる。周囲の空気がわずかに動くが、止める者はいない。


男の腕が大きく振りあがった。

次の瞬間だった。


男の姿が元いた位置から一瞬で消え去る。消えたというより、“そこにいる前提ごと抜け落ちた”ような空白だけが残る。


少し遅れて、商会の入り口の方から鈍い衝撃音が響き渡る。

重いものが壁か何かにぶつかった音がして、建物全体がわずかに揺れた。


そして、天井の一部が大きく大破しているのに気づく。

商会にいる人たちは一瞬、何が起きたのかしばらく理解できなかった。

呆気にとられて誰も動かない。誰も声を出さない。出せない。


その間、俺の頭の中だけが少し遅れて追いついてくる。


(あ......やったわこれ。)

気まずい。


非常に気まずい。


しばらく人とまともに接してなかったせいで、人との距離感が完全に抜けていた。

いつも魔物を相手にする感覚で、つい人を吹っ飛ばしてしまった感じだ。

(どうするんだこれ) 周りは一切動かない。


俺はゆっくりと視線を窓口の女性の方に戻した。


壊れた天井。止まった人たち。空気ごと固まってる商会。とりあえず口を開く。


「このぉ……天井の修繕費って」


少し間を置いてから続ける。


「あのひと持ちってことでお願いしてもいいですか?」


その一言で、ようやく現実に引き戻されていく感じがした。


はっとした受付の女性がぎこちなく帳簿を開く。


「……わかりました。ギルドにはそのように報告しておきます……」


「あっそうだ。ここから冒険者ギルドに行くにはどうすれば?」


「ここを出て右に行くと噴水がある広場に出るので、そこから赤い冒険者ギルドの旗が見えてくると思います。」

俺はギルドのだいたいの場所だけ聞くと商会から足早に去っていった。



とりあえず過去編に入ったけど、万事屋開くまでまだ結構時間かかりそう。

とりあえず異世界転生して俺TUEEEE!じゃなくて王道冒険ものみたいな感じだから気長に見てもらえると助かります。

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