表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/17

第四話 How does it taste?(お味はいかが?)

「…一体どうして…!それがそこにあるんだよ!」

口をワナワナと震わせ、ガムが叫んだ。ガムの隣にいるクレープ先生も静かに青ざめている。カヌレ探偵の手にある、小さな黒のメモリカード。破壊したはずだと喚く彼に、カヌレは静かに言った。表情はピンクレンジャーのマスクで全く見えなかった。

「もちろん破壊したさ。君はメモリカードを破壊した。…このメモリカードではない、別のメモリカードをね。」

「…は?!」

驚きの声に、カヌレは舐めてもらっちゃ困るよと首を横に振った。

「ノエル君がピアノを弾き終わった後、私はピアノを調べた。そして、このメモリカードを発見した。ちょうど誰にも見つからないように、ピアノの内側にはっつけてあったね?…もちろんただのメモリカードと思ったけど、普通ピアノに張り付けるわけがない。中身を確認している合間に、誰か取りに来るかもしれないと思ってね。悪いけど、私が持ってた空のメモリカードを代わりにそこに置いておいたよ。そしたらまさか破壊するとはね…。」

カヌレが静かにメモリカードを握りしめる。静かだが、闇を突き刺すような鋭い光、それでいてどこか悲しそうな声をしていた。

「…君の素性を私は知らない。どうしてここまでのことをするに至ったのかも、知らない。だからこそ、強いて言うならば……君は学年2位を取るほどの実力だった。…音楽の楽しみをもっと知って欲しかったな。」

その言葉にガムが膝をつくとともに、泣きそうな目で彼に寄り添うクレープ先生の手を、ミュージンジャーグリーンことガレット刑事が掴んだ。驚く彼女に、彼はしっかりとした声で応じた。

「…どのような理由があれ、お前の生徒は誤った。そばにいたお前に、先生としての資格は無い。」

その言葉にクレープ先生は体をびくりと震わすと、瞳を静かに揺らして目線を斜め下に向けた。


警察が来て、二人はすぐに署に連行された。

警察の事情聴取が終わると、ノエルが近くにいるマドレーヌに声をかけた。

「…僕は、作曲家を続けていいのかな…。」

「あ?何言ってんだお前イー。さっき、なるって言ってたじゃねぇかイー。」

マドレーヌがそう言うと、彼は少し後ろめたそうに下を向いた。複雑な気持ちが心の中を支配する。

「…レッテルは剥がれた…。でも、僕はあの時…確かに一度でも盗もうとしたんだ…許されることじゃ無い……。それなのにレッテルを剥がされてのうのうと生きてて良いのかって、迷うんだ。…複雑な気持ちだよ、あんなにレッテルを貼られて嫌だったのに、いざ剥がれてしまうとそれはそれで不安になるなんて…。」

俯く彼の頭を、マドレーヌがわしゃわしゃと手で掻き回した。思わずノエルがうわぁっと声を上げる。ひどくびっくりしていた。

「何するんですか!」

「…ウジウジしてんじゃねーイー!思うのは自由イー。結果的に罪が成立しなかったんだからありがたく思えイー!」

マドレーヌの呆れ返るほど元気な声に、ノエルの口角が上がる。それを聞いていたポムもそうよ、気にすることないわと笑った。

「あたしなんて、殺人犯そうとしてたし。」

「え?!」

ノエルが驚きの声を上げる。殺人犯そうと…?と彼が困惑する中、ガレット刑事が初耳だな…?とポムの方を振り返った。少し険しい顔になっている。カヌレが慌ててポムの方を見る。ポムもあっ…と口を滑らした顔をする。非常に居心地が悪いようだ。

「…殺人の場合は、殺人未遂があるからな。署で事情聴取だぞ。」

「違う違う!思っただけよっ。刃物とか手にしてないし!殺そうとしてないし!思っただけ!」

1番逮捕するべきはサバランでしょ!とポムが言い張る。内心少し焦っている彼女をガレット刑事がじっと見つめる。ゆっくりと口を開いた。

「ちょっと署に来てもらうか。カヌレ、お前もなんか知ってるだろうから、お前も署に来てもらうぞ。」

一瞬でカヌレが青ざめた。

「ヒィィィィィィッ!」


「…というわけで、呪いのピアノ事件はとりあえず解決?したわ。まぁ結局事情聴取されたものの、サバランが悪いってことで事態は落ち着いたけどもね。あたし殺人未遂も何も、行う前に踏みとどまってるし。…その後ピアノを調べたけど、他に特に仕込みはなかったから…とりあえずひと段落って感じかしら。まぁ…サバランとかが裏で根を張ってる可能性は否めなくはないけどね。」

ポムがため息混じりに言う。時間から数日後、カヌレとポム、フィナンシェとマドレーヌの四人はカフェロイヤルを訪れていた。店主バウムがそうだったのね…とコーヒーを淹れつつ言う。

「ドリップ教とかあたしも聞いたことあるわ〜。結構やばいやつよね。まぁ世の中やばいものなんて結構あるもんだし…。でもその呪いのピアノは、ポムちゃんたちのおかげで呪いじゃなくなったってことね?すごいわ!これでピアノちゃんも幸せね。フィナンシェ様、コーヒーどうぞ♡あたしなりのブレンドだけどもし良かったら…。」

「ありがとう、僕はブレンドコーヒーは結構好きなタチでね。美味しくいただくよ。」

「きゃー!そんなこと言われたらコーヒー量産しちゃうわ…本当素敵なこと言ってくれるんだからっ…一体どこからそんな言葉出てくるの?!喉?!もう喉からイケメンなのね?!構成されている細胞があたしたちとは違うんだわ。ああ…その細胞、一個だけでいいから欲しい!そして自宅の瓶に入れて永久保存したいわ…。なんてカッコイイのかしら…。」

両手を頬に当て、顔を赤らめる店主バウム。その隣でクレールがマドレーヌに、エスプレッソを提供する。少し不思議そうな声が飛ぶ。

「探偵より怪盗のがかっこいい!くそババア!…でも呪いのピアノは、呪いが解けたとはいえ…またサバランたちが利用してくる可能性もあって怖いですね…。カヌレさんを狙ったレーザーガンの謎も残ってますし…。レーザーも呪いとかも嫌だけど、怪盗ノクターン様が盗み出してくれるのなら…きゃー!それはそれで素敵っ♡呪いもイケメンには無効よね、もはや付加価値爆上げしちゃう…。怪盗ノクターン様ブランド…?やだ素敵すぎるっ。そんなのあったらいくらでも購入しちゃう!あ、でも盗まれちゃうから購入できない…きゃー素敵ーーーーっ♡」

クレールがニコニコとして、惚気始める。バウムがフィナンシェ様が1番よ!と怒号を挙げるとともに、カウンター側からも一人の男の抗議が上がった。カヌレ探偵の目の前で、ホットココアを作りながらホワイトショコラが言い始める。

「そうですよ!怪盗より探偵です。特にカヌレさんが1番ですよっ。呪いのピアノや、ドリップ教なんて、僕にとってはどうでも良いですね。それより、この前カヌレさんがレーザーガンで狙われたそうじゃないですか!怪盗ノクターンが庇ったのは認めますが…カヌレさんを守ったのはよくやったと思いますが…男の僕としては、ムカつきますね。怪盗ノクターンがまたもカヌレさんの周りをうろついてると思うと、腹立たしいです!僕は遊園地の時のことさえ覚えてますからね未だにっ。警察に逮捕されて、一生牢屋から出てくんなあんな怪盗!…カヌレさん、レーザーガンでまた狙われた時は僕を呼んでくださいねっ!いつでもあなたをお守りいたします。カヌレさんの身に何かあっては大変ですから…あ!御注文のホットココアです!今日も愛を込めて作らせていただきましたっ。カヌレさん、愛してます!」

そう言い切ってニコニコ笑顔でゴンとマシュマロ入りのホットココアを、カヌレの前の机上に置くホワイトショコラ。静かに固まりつつ、あ、ありがとう…といつもより硬い声でカヌレが応答する。その様子に気づいたポムがカヌレどうしたのよ?と横から顔を近づける。カヌレはあ…えと…と困り果てながら笑った。

「胃が…ちょっと…。」

「え?胃が?大丈夫なの?」

ポムが即座に心配気な顔をする。カヌレが慌てて、顔の目の前で両手を横に振った。

「あー、大丈夫大丈夫!いやまたレーザーガンで狙われたらと思ったら…ちょっと気が抜けないなと思って…そしたら少し胃がね……。」

大したことじゃないから大丈夫だよと慌てて言う。

「すぐに治るから。」

「そう…?あんまり無理しないでよカヌレ。誰だってそりゃレーザーガンで狙われたら、心に来るものよ…。」

ポムが少し気遣うように言う。カヌレはうんありがとうと感謝を示しつつ、チラッと横目でホワイトショコラを見た。彼もものすごく心配そうな顔をしている。

「カヌレさん、胃が痛いんですね。何かあったら僕に言ってくださいね。マシュマロ入れてしまいましたが、ホットココアで大丈夫でしょうか?もっと胃に優しいものにしますよ?」

「ああ、大丈夫大丈夫。これで良いよ。」

そう言って笑いながらコップをつかんだ。視線を下に向ける。

(いや…胃痛の原因お前だよ…怪盗ノクターンだろおまえ…。)

心の中で静かに突っ込む。そしてホットココアのコップを両手で掴んでいざ飲もうとして、気付く。波打つ表面からマシュマロの一面が顕になる。

(…ハートだと?!コイツ…ハートマシュマロぶっ込みやがった…ッ!何してんだお前ッ!)

驚きとともに即座にホワイトショコラの方を見る。彼はん?と言った何気ない顔をしていたが、黒メガネの中の目が、完璧に強気の目をしていた。間違いなくこいつ怪盗だわと静かに確信するカヌレ。目線でこの野郎という気持ちを送り、静かにホットココアマシュマロ入りを飲む。めちゃくちゃ甘かった。ぐっ…となりつつも、静かに飲む。

マドレーヌがズカズカとカヌレの近くに歩み寄り、思わずあー!と羨ましそうな声をあげる。

「マシュマロ美味しそう!俺も!」

「これはカヌレさんだけの特別です!」

「ずりぃ!」

ホワイトショコラとマドレーヌがギャーギャー騒ぎ始める。

そんな中、フィナンシェが一人静かに手元の新聞記事を見て、眉を顰めた。真剣な瞳で文字列を読む。くぐもった声でつぶやいた。

「…ドリップ教……少し嫌な予感がする。一筋縄では行かなそうだね。」

フィナンシェのそばに置かれた、店主バウムのブレンドコーヒーから立つ湯気が、静かにゆらめいた。


ビスコッティはサバランと別れ、とある教会に来ていた。薄暗く、誰もおらず、もう使い古された手入れもされていない教会。蜘蛛の巣が張り、どこか埃っぽく、カーテンは擦り切れていた。彼は中央に立つと、スーツのネクタイをキュッと締め直した。ステンドグラスを背にする。

「…バブ。悪くないでちゅ。なかなか良い教会でちゅね。」

ステンドグラスの近くにあるのは大きなパイプオルガン。彼は2階へ上がりパイプオルガンの目の前まで来ると、椅子に腰掛け、狂ったような奇妙な音をかなで始めた。誰もいない教会に狂気じみた音色が響く。彼は低くくぐもった声で言い始めた。

「What a wonderful day this is. On a day like this, prayer to God is essential. By the way, are you a good person? ...I'm not asking for an answer. Whatever your answer, God will prove everything.(今日はなんて素晴らしい日なんでしょう。こんな日には、神へのお祈りが欠かせません。ところで、あなたは善良な人間でしょうか?…答えなど求めていませんよ。あなたがどう答えようと、神が全てを証明なさるのですから。)」

教会の中に散らばる蜘蛛たちが少しソワソワと動き始めた。それでも彼はやめない。

「Does it hurt? Oh, how pitiful. Don't lie, and there's no need to pretend to be strong. ...You think I'm kind? Yes, I suppose so. To me, you're nothing but trash. I can tell the difference between good people and bad people. Now, let's begin the feast. In this world, if we don't make distinctions, no one can be saved. As trash, will you at least try to struggle for us in the end?(痛いですか?ああ、なんて可哀想に。嘘はいけませんよ、強がる必要もないのです。…優しいですって?ええ、そうでしょう。私にとってあなたはゴミに等しい。善良な人間と害悪な人間くらい区別できますよ。さぁ、宴を始めましょう。この世は選別しなければ、誰も彼も救われないのです。せいぜいゴミとして、最後くらいは私達のために、足掻いてくれますか?)」

バブバフバブとビスコッティが笑い声をあげた。パイプオルガンをダンッと指で弾く。天井を見上げると、不敵な笑みを浮かべた。

「…ほーんと、楽しいでちゅ♡」

その時彼のポケットのスマホから音が鳴り響いた。なにやら通知音らしい。すぐにスマホを開くと、彼はにっこりと微笑んだ。一枚の画像が送られてきていた。

「That's wonderful. It's a lovely family photo. With so many people, no one will feel lonely. Those smiles are a sign of happiness.(とても良いですね。素敵な家族の写真です。こんなに人数が多ければ、誰も寂しくないでしょう。笑顔は幸福の証ですね。)」

明るい声が響き渡る。教会にいた蜘蛛は、どこかへと行ってしまった。

写真には十人が映し出されていた。八十代の男女二人、五十代の男女二人、二十代の男女四人、10代の男女二人…。まるで家族写真のように全員ほんの少し笑顔で、整列して並んでいる。服装は全員きちんとしたドレスやスーツなどだ。…が、顔が誰も似ていない。その上全員、目がどこか虚空を見ている。服は血に塗れ、完璧に血色がない人もいる。人によっては片腕が引きちぎられたように無かったり、閉じてる目から血が垂れていたりしていた。ビスコッティは画像に向けて小さく拍手を送った。

「Even a person who looks like sludge can look somewhat presentable in a photograph like this. Yes, I look much better now, at least presentable enough to be viewed properly.(汚泥のような人間でも、このように写真を撮れば、それなりに見えるものですね。ええ、見た目はかなり良くなりましたよ、ちゃんと見ることができるくらいには。)」

教会の外で一羽のカラスが鳴き声を上げた。


その頃カフェロイヤルでは、マドレーヌが思い出したように言った。

「そういや、カヌレを狙ったレーザーガンの男はいまだに捕まらねーのか?」

その言葉にフィナンシェが静かに頷く。

「…今のところはガレット刑事から何も聞いてないね。一応捜索してくれているみたいだけども。」

ポムが紅茶を啜りながら、当時のことを思い出す。静かにつぶやいた。

「事務所の窓を貫通してうちに来たとはいえ…飛んできた方向的には、多分南西の方面からなのよね。レーザーポインターで狙ってくるくらいだし、遠距離なんだろうけども…ちゃんと狙ってたところが怖いわよね。」

「そうね、あたしとしてもカヌレちゃんが心配だわ。もしまた狙われたら大変だもの。」

店主バウムがほおに手を当て、心配そうにカヌレを見る。彼女は慌てて手を振った。

「大丈夫ですよ、また狙ってくることももしかしたら無いかもしれないし…。」

「いや、レーザーポインターでわざわざ狙ってきたんだ、間違いなく君をまた狙ってくるんじゃ無いかと思うよ。」

フィナンシェは静かに考え込む表情をした後、カヌレの方を向いた。真剣な目で提案する。

「もし君達が良いのであれば、またしばらく共同捜査しないか?…僕やマドレーヌがそばにいた方が安全だろう。特にマドレーヌはかなり強いから、銃弾が来ても守れる自信がある。レーザーポインターで狙ってきたやつを捕まえるまで、どうかな?」

カヌレとポムの二人が顔を見合わせる。ポムが静かに頷いた。

「あたしとしてもありだわ。カヌレがまた撃たれたら大変だもの…あの時は怪盗ノクターンがたまたまいたから良かったとはいえ…。」

その言葉にカヌレがうん…と頷きつつ、チラッと横目でホワイトショコラを見る。彼はニコニコしていたが、少し目が笑っておらずフィナンシェの方を見ていた。あまりにドス黒いオーラが漏れ始めてるので、フィナンシェが気づく。ふっと微笑んだ。

「…安心してくれ。僕はどこぞの怪盗と違って、彼女に手は出さないよ。あくまで誰が良いかなんて決めるのは、彼女だ。」

「ええ、分かってますよ。ただカヌレさんの周りにうろつくハエが二匹に増えた状態に戻ったのが腹立つだけです…。せっかく事務所の再建も終わってハエが一匹カヌレさんのそばからいなくなると思ったんですが…すみませんフィナンシェさん、もしかすると僕そのうち怪盗とともにあなたを埋めます。」

ニッコニコで言う彼に、流石のフィナンシェも驚いた。店主バウムがちょっと!そんなことしたら許さないわよ!と怒号を飛ばす。が、フィナンシェは静かに微笑むと、ホワイトショコラの方を見た。

「…いや、素晴らしいね。それほどの度胸があれば、怪盗ノクターンの牽制になるだろう。君は案外、奴の天敵なのかもしれないね。」

そう言って気に入ったように微笑むフィナンシェと、ドス黒いオーラを放ちつつニコニコするホワイトショコラ。二人の間に挟まれたカヌレが静かに視線を斜め下に向ける。胃痛が静かに這い寄ってくる気がした。

マドレーヌがそんな空気などいざ知らず、クレールに意気揚々と話しかける。

「お前確か…なんか以前カヌレ達の事件に関して、調べたことあったんだっけ?確か親が新聞記者とか言う話じゃ無かったっけ?」

「ああ、あのガレット刑事の話の時のやつね。連続殺人事件とかでしょ?確かに調べたわよ。(※シーズン1、第四話参照)」

「そんでヨォ…ちょっと思ったのが、そのドリップ教とか呪いのピアノについて、過去のこととか調べられんじゃねーか?」

マドレーヌの何気ない提案に、ポムが確かに?!と驚きの声をあげる。クレールはしばらく考え込んでいたが、まぁできなくはないかとと頷いた。

「…一応父に電話してみます。日付はかかるかもしれませんが、もし過去の何かしらの記録や話題性があれば…記事として実家に残ってるかもしれないですね。私も気になるし、調べてみますよ。」

ついでにノクターン様の記事も郵送してもらって…と惚気始める。その様子を傍目にフィナンシェがそれはありだねと頷いた。

「もし、ドリップ教や呪いのピアノについて分かれば、今回のノエル君のような事態が過去にもあったのかとか、謎を少しでも解く鍵になるかもしれない。…特にドリップ今日に限っては、先ほど見ていた新聞に広告のチラシが載っていた。勧誘広告だが…怪しいとなれば僕らもいずれ潜入捜査せざる終えなくなる可能性もある。今のうちに手に入れられる情報は入手しておくに越したことないよ。」

彼の冷静な分析に、店主バウムがハァ…もう本当にかっこいい…やだあたし熱出ちゃうかも…と言い、柱に寄りかかる。

カヌレが驚いたように言った。

「え?新聞にチラシ?」

「ああ。これを見てくれ。」

フィナンシェが新聞から一枚のチラシをペラリと引き剥がし、全員に見せる。


ーーーFate is calling to you! Wouldn't you like to have your true worth recognized?!(運命があなたを呼んでいます!あなたの価値を正当に見出してもらいませんか?!)ーーーー


「うーわ、うさんくせぇ。」

マドレーヌが顰めっ面をする。チラシの面にはいかにもな綺麗な女性が映っていた。

「お、んでもこの女、結構美人じゃねーか。ちょっとお話…。」

「やめておけマドレーヌ、キャバクラの方がまだ安全だよ。」

フィナンシェの鋭いツッコミを聞きつつ、カヌレが広告の裏を見る。


ーーーNo matter the era, the environment will never allow you to fully utilize your potential. The world is practically not making use of you. But let's put an end to that waste here! Holy prayer will bring happiness to all!(どんな時代でも、環境はあなたの価値を活かしてくれることなどありません。世界はあなたを役立てられていないに等しい。でも、そんな無駄遣いをここで終わらせましょう!聖なる祈りが、全てを幸福へともたらします!)ーーー

ーーーet us pray to God who guides those who are lost, discriminates between good and evil, and governs the world in one order! Your holy prayer will become God's power. God sees everything, no matter how injustice or troublesome. So you no longer need to suffer alone. Let us seize happiness in a world where things are automatically sorted.(迷える人々を指し示し、善悪を選別し、世界を一つの秩序で支配していただける神に祈りましょう!あなたの聖なる祈りが、神のパワーにります。どんな理不尽もどんな迷惑も、神は全てを見ていらっしゃいます。だからもう一人で悩む必要はありません。自動的に選別される世界で、幸せを掴み取りましょう。)ーーー


「いかにも文面だね…。」

カヌレが静かに呟くとポムも頷いた。

「なによこれ、わざわざ英文で…。海外が現地なのかしら?」

ポムが訝しげに眉を顰めた時だった。


カランカラン。

カフェロイヤルの入り口のベルが鳴り響いた。すぐにホワイトショコラが対応に回る。

「いらっしゃいませ。」

入り口にはゼーハーと息を荒げた一人の男がいた。見知った顔に全員が驚く。

「フロランタンさん?!どうしたんですか?」

ホワイトショコラが恐る恐る聞く。彼は少し目を潤ませながら、呼吸を整えつつ、カヌレ達の方を見た。

「……兄さんが撃たれたんです。」

思わぬ言葉に全員が動揺する。フィナンシェが冷静にどういうことだい?と聞くと、彼は泣きそうになりながらも言った。

「…普通に仕事をしていたら、いきなり撃たれたみたいで…。同僚がレーザーポインターに気づいた瞬間に撃ち抜かれたみたいで……。」

「あいつは?!あいつは無事なの?!」

ポムの悲痛な叫びに、フロランタンは静かに瞳を揺らした。


読んでいただきありがとうございます!

深夜投稿失礼するぜ!昨日は投稿せずすまないッ筆が進んで…気づいたら投稿時間めちゃくちゃ過ぎてて、こうなったら前半後半に分けずに投稿しちゃおうで今日の投稿が遅れた作者です。猛省してエックスリンク貼らないでおきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ