81 世界の中心遺跡
地下へ続く長い階段は、果てしなく続いているように思えた。
アルトたちは黙って歩いていた。
足音だけが、古代の石壁に反響している。
ミラが小さく言う。
「……どこまで続くの、これ」
レオンが答える。
「世界封印の中心だ」
「深くて当然だろう」
ガルドは剣を肩に担いだまま笑う。
「地下都市ってレベルじゃねえな」
グランも苦笑する。
「地の底だ」
アルトは前を見続けていた。
階段の先から、わずかな光が見えている。
青い光。
古代文明のエネルギー光だった。
アルトは足を止めた。
「……もうすぐだ」
最後の階段を降りる。
その瞬間――
視界が一気に開けた。
ミラが思わず声を上げた。
「うそ……」
そこに広がっていたのは
都市だった。
巨大な地下空間。
天井は見えないほど高い。
そしてその下に――
古代都市が広がっている。
無数の塔。
広い街路。
巨大な施設群。
まるで一つの国家が、そのまま地下へ移されたようだった。
ガルドが呆然と呟く。
「……都市じゃねえ」
「国だ」
アルトも同じことを思っていた。
そして、その都市の中央。
天へ伸びる巨大な塔があった。
封印制御塔。
そこから、世界中へ繋がるエネルギーが流れている。
ミラが指さす。
「あれ……!」
都市の奥に、巨大な装置が見える。
巨大な球体構造。
そこから無数のエネルギーラインが広がっていた。
レオンの声が低くなる。
「巨大魔力炉……」
その規模は、これまで見てきた遺跡とは比べ物にならない。
都市全体を動かすエネルギー源。
いや――
世界を動かす装置。
アルトはゆっくり歩き出した。
都市を見渡す。
そして気づく。
都市の周囲には、巨大な格納庫が並んでいる。
その中には――
古代兵器。
巨大ゴーレム。
飛行兵器。
戦闘機動装置。
無数の兵器が眠っていた。
グランが息を吐く。
「……軍事都市だ」
レオンが首を振る。
「違う」
彼は中央塔を見上げた。
「これは防衛都市だ」
アルトはその言葉を理解した。
この都市は
文明最後の砦。
世界封印システムを守るための都市だった。
ミラが静かに言う。
「ここが……」
AIの声がホールに響く。
《最終遺跡》
《世界核都市》
アルトはその光景を見つめながら言った。
「やっぱりそうだ」
彼は確信していた。
この場所こそが
文明が最後まで守ろうとした場所。
世界封印の中心。
アルトは静かに言った。
「ここが文明の最後の都市だ」
遠くで、巨大装置が低く唸った。
世界の運命を握る都市。
そして
その奥では――
封印の中心が、静かに脈動していた。




