78 最終装置の場所
中央管理塔のホールに、静かな光が広がっていた。
空中に浮かぶ世界地図。
その地下には、巨大な封印構造が広がっている。
そして――
その中心に、一点の光があった。
AIが静かに言う。
《最終装置の位置を表示します》
光がゆっくりと拡大する。
アルトたちは思わず身を乗り出した。
ミラが言う。
「ここが……」
レオンが目を細める。
「封印の中心か」
地図はさらに拡大された。
そこに映ったのは――
巨大な地下構造だった。
都市よりも大きい。
いや、大陸規模の装置。
何重もの環状構造。
中央には、巨大な空洞。
アルトは息を呑んだ。
「……これは」
AIが告げる。
《世界核装置》
ホールの空気が一瞬止まった。
ガルドが言う。
「世界……核?」
AIは説明する。
《世界封印装置の中枢》
《全封印エネルギーの制御装置》
映像の中で、巨大なエネルギーの流れが見える。
世界中の古代都市。
エネルギー塔。
それらすべてが――
一点へと繋がっていた。
ミラが小さく言う。
「世界中の装置が……」
レオンが続ける。
「ここに集まってる」
AIは静かに言った。
《世界核装置が停止した場合》
数秒の沈黙。
アルトはその意味をすでに理解していた。
AIが続ける。
《封印は完全崩壊します》
ホールに重い空気が落ちる。
ガルドが低く言う。
「つまり……」
「ここが壊れたら終わりか」
AIは答える。
《肯定》
アルトは地図を見つめた。
「この場所はどこなんですか」
AIの光が揺れる。
《古代文明の呼称》
空間に新しい文字が浮かんだ。
ミラが読み上げる。
「……最終遺跡」
AIは静かに言う。
《文明最後の都市》
《封印の中心施設》
映像が変わる。
巨大な地下都市。
その中央には、世界核装置。
周囲には無数の防衛兵器。
ガルドが苦笑する。
「最後の砦ってわけだ」
レオンが言った。
「文明が最後まで守った場所」
アルトはゆっくり息を吐く。
「そこに行けば」
「封印を修復できるんですね」
AIは答えた。
《可能性は存在します》
だが、その光がわずかに暗くなる。
ミラが不安そうに聞く。
「……でも?」
AIは続けた。
《最終遺跡は封鎖されています》
アルトが眉をひそめる。
「封鎖?」
AIは説明する。
《終焉存在の覚醒を防ぐため》
《文明は最終遺跡を完全封印しました》
レオンが静かに言う。
「つまり……」
「誰も入れない場所」
AIは肯定する。
《通常方法では侵入不可能》
ガルドが腕を組む。
「じゃあどうする」
アルトはしばらく地図を見つめていた。
世界の中心。
文明最後の都市。
そこがすべての答えだった。
アルトは静かに言う。
「行くしかない」
ミラが顔を上げる。
「アルト」
アルトは仲間たちを見た。
ガルド。
ミラ。
レオン。
そして倒れているグラン。
彼らはここまで戦ってきた。
文明の真実を知った。
世界の危機を知った。
アルトはもう迷わなかった。
「最終遺跡へ行こう」
AIの光が静かに揺れる。
それはまるで、文明が最後の希望を託しているようだった。




