37 古代文明崩壊のヒント
地下都市は崩壊を始めていた。
アルトたちは迷宮の通路を必死に走る。
天井から石が落ち、床には亀裂が広がっていく。
ゴゴゴゴ……。
地面の奥で都市が崩れる音が響いていた。
ミラが息を切らす。
「はぁ……はぁ……!」
「まだ出口遠いの!?」
ガルドが前を走りながら叫ぶ。
「もう少しだ!」
その時だった。
通路の壁が大きく揺れる。
ドンッ!
崩れた石が通路を塞いだ。
ミラが立ち止まる。
「うそでしょ!」
グランが瓦礫を押す。
「通れない……!」
アルトは周囲を見回した。
横に、小さな通路がある。
「こっちです!」
一行はその通路へ飛び込んだ。
そこは、今まで通ってきた迷宮とは違う場所だった。
壁には古い装飾。
そして奥には小さな部屋があった。
エリシアが驚く。
「……ここは」
部屋の中央には石の台。
その上には、薄く光る水晶装置が置かれていた。
アルトの目が輝く。
「記録装置です」
ミラが叫ぶ。
「ちょっと待って!」
「今そんなことしてる場合!?」
天井からまた石が落ちる。
アルトは装置に近づいた。
「これだけは確認しないと」
彼は水晶に手を触れる。
その瞬間。
水晶が光り、空中に映像が浮かび上がった。
青白い光。
古代の都市の映像だった。
高い塔。
空を飛ぶ装置。
人々が行き交う街。
ミラが息を呑む。
「……すごい」
しかし、次の映像は違った。
都市の空に、巨大な影。
空を覆う飛行兵器。
そして――
光。
巨大な爆発。
都市が炎に包まれる。
エリシアが震える声で言う。
「戦争……?」
映像はさらに変わる。
別の都市。
そこでは地面が割れ、大地が崩れていた。
巨大な災害。
塔が倒れ、人々が逃げ惑う。
アルトは呟いた。
「……なるほど」
ミラが聞く。
「何が分かったの?」
アルトは映像を見つめたまま答える。
「古代文明は」
少し間を置く。
「戦争だけで滅んだわけではないかもしれません」
ガルドが眉をひそめる。
「どういう意味だ?」
アルトは指を差した。
「都市の崩壊」
「地殻変動のような災害」
エリシアが小さく言う。
「じゃあ……」
アルトは頷いた。
「古代文明は」
「大戦争と大災害」
「その両方で崩壊した可能性があります」
その時。
天井に大きな亀裂が走った。
ミシッ。
岩が崩れ始める。
ミラが叫ぶ。
「アルト!」
アルトは急いで装置から手を離した。
映像が消える。
ガルドが怒鳴る。
「もう行くぞ!」
アルトは最後に部屋を見た。
小さな記録室。
そこに残されていた古代の記憶。
そして彼は呟いた。
「古代文明は」
「何かと戦っていた……」
次の瞬間。
ドォォン!!
天井が崩れ落ちる。
アルトたちは再び通路を走り出した。
崩壊する地下都市から脱出するために。
しかしアルトの頭には、今見た映像が焼き付いていた。
古代文明が滅びた理由。
その真実は、まだ完全には分からない。
だが――
確かなヒントが、そこに残されていた。




